【14.04.14】決算委員会 短期保険証問題、保育園待機児童問題について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
初めに、前回の質疑で残してしまった質問がいっぱいあったんですけれども、一つだけ厚生労働省に質問をさせてください。
国民健康保険の保険税・料を滞納して資格証が発行されていても病気の治療が必要な場合には短期保険証の発行は可能であると、これは前回、厚労大臣に御答弁をいただきました。二〇
〇八年十月三十日の国保課長通知で、被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合に短期保険証が発行されるという取扱いが示されています。
この通知についてはこれまでも国会で議論があって、当時、二〇〇八年十一月ですけれども、舛添大臣は、一時払いが困難であるという申出さえあれば結構で、医療の必要性という要件は必要ではありません、医療の必要性についてはお医者さんじゃないですから分かりません、申出があれば即出すと、こういうことが趣旨でございますという答弁をされています。
ところが、名古屋市では、医療を受ける必要について、三か月程度就労不能な疾病という基準としていて、風邪などの軽微な病気では短期保険証は出せないという説明もしているようです。お医者さんに診てもらう前に三か月就労が不能かどうかというのはどうして分かるんだろうかと。そもそもこんな基準では、相当重篤な状態でなければ短期保険証は出さないと門前払いするに等しいことになってしまいます。
そこで、一つだけ確認をさせてください。本人が窓口で病院に行く必要があるんだということを申し出る、そして医療費の自己負担の一時払いが困難だと、こういう申出があればまず短期保険証を発行すると、こういう取扱いだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
資格証明書、これは先生御指摘のように、市町村の窓口、保険料を納付できない方々に対して、資格証明書で納付相談をきちんとさせていただきながらきちんと納付をしていただくという努力をするためのものでございます。ただし、そういう資格証明書が出ている方につきましても、今御指摘のように、医療を受ける必要があるんだと、今まず自分で払っておいて後から払戻しを受けるということが間に合わないんだ、そういう負担ができないんだと、そういう申出をしていただく、緊急的な対応ということで申出をしていただくという場合には、市町村の方では短期の被保険者証、それで一部負担金だけで受けられるというものを交付ができる扱いを示しているところでございます。
この扱いにつきまして、前の答弁にありますように、医療を受ける必要と、まず、医療費を一時的に払うことが困難かどうかということ、それは申し出ていただきますけれども、その場でそれを事実かどうかを確認するまでのいとまがないということは多々あるだろうと思いますので、やはりそれはまず交付をしまして、それからまた、その納付の期限、その被保険者証の期限の中ではまた少しでも納付できないかというお話合いの機会を持たせていただく、その後においてそういうことは必要だと思いますけれども、まず交付をしながら医療の確保に努めるということも必要だろうというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 命に関わる問題ですので、済みません、前回の積み残しで一問お聞かせいただきました。
保険局長、御退席いただいて構いません。ありがとうございました。
じゃ、続けます。今日は、待機児童の問題をまずお聞きをしたいと思います。
待機児童、引き続き深刻な状態にあるということは認識同じだと思います。ここはちょっと認識をお聞きしようと思ったんですが、時間の関係で省きます。
都市部での問題の一つは土地の確保であるということはもう明瞭で、だからこそ政府の待機児加速プランでも国有地の活用ということが挙げられてきました。これは、昨年、私、予算委員会でも取り上げまして、国有地の活用なかなか進まないのは、たとえ定期借地が認められたとしても、その賃料が大変に高い、無償又は低廉にということを求めました。その後、国有地活用が具体に進むような施策が取られているのかどうか、お願いいたします。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、待機児童の八割が都市部に集中しておりまして、そこで保育所などの保育の受皿を確保していくには、とりわけ土地の確保が重要というのはもうそのとおりだと思っております。
待機児童解消加速化プランでは、支援パッケージの一つとして、賃貸方式や国有地も活用した保育所整備を進めているところでございまして、国有地につきましては、実は財務省さんに大変御協力をいただいておりまして、連携して、利用可能な国有地に関する情報を積極的に自治体に提供いただいているところであります。
すなわち、厚生労働省と財務省財務局から各自治体に対して、具体的な国有地の情報提供、リストをお示しし、また、貸付け等スキームに関する周知を行っているところでありますが、財務局からは、各自治体を訪問をして、今後利用可能となる国有地に関する情報、具体的には、廃止予定宿舎が所在する待機児童五十人以上の市区町村全てに提供いただいているところであります。財務局の個々の照会窓口までその中でお示しいただいているなど、かなり丁寧な対応を行っていただいております。このように財務省との連携によって、国有地の活用は積極的に進めて、一定の実績も上がってきているというふうに承知をしております。
このほかにも、土地を賃借して保育所を整備する場合に、通常の整備費のほかに土地借料を加算して補助することとしているほか、賃借物件によって新たに保育所を整備する場合の賃借料の補助といった取組によって、地域の実情に合わせた保育所の整備が進められるよう支援を行っているところであります。
今後とも、待機児童解消に向けて、国としても全力で努力をしてまいりたいと思っております。
○田村智子君 その初期投資の補助の上限も、三百万円から二千万円に引き上げたというふうなことも説明の中でお聞きをいたしました。
これは、世田谷区で国有地を活用して増設した保育所の賃料が、高いところでは年間一千七百二十六万円にもなるということは私も昨年御指摘をいたしましたら、そうしたら上限が二千万円、初期投資で、やれば何とかなるんじゃないかということで御努力いただいたというふうにお聞きしているんですけれども、賃料というのは一回で終わらずに、毎年毎年、一千七百万のこの賃料を払わなければならないというわけで、しかも、そもそも国が算定する保育所の運営費、まあ委託費ですけれども、これは土地代というのが見られていないわけですね、構造上。それで、毎年、世田谷区でいえば、安いところでも四百万近く、高いところは今言った一千七百二十六万という賃料、これを負担できる仕組みにはなっていないわけです。
森大臣にもちょっと認識をお聞きしたいんですけれども、やはり待機児童解決の緊急施策として、公有地の無償又は低廉での貸与、これ、国だけではなくて都道府県も、用地取得費の補助に踏み出すとか、あるいは利子補給を行うなど、その土地の確保に対する直接的な支援ということを検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおり、平成二十五年度の賃借料、上限を二千万までに上げたんですが、それは一回限りでございます。賃借料は毎年発生するということ、御指摘のとおりでございますので、待機児童解消のために有効な方策を更に検討してまいりたいと思います。
○田村智子君 是非御努力を、昨年議論したときも麻生財務大臣はなかなか固い答弁で、どうしてもお金は払ってもらうんだということだったんですけど。土地の活用という点で、やっぱり待機児童の解消と一体に国有地活用されるって非常に大切だと思いますので、森大臣からも是非財務省への働きかけもお願いしたいと思います。
保育所が足りないと、なかなか設置が進まない要因のもう一つは、保育士の確保もなかなか厳しいという問題があります。
安倍総理は、昨年四月十九日の成長戦略スピーチの中で、「保育士の資格を持つ人は、全国で百十三万人。しかし、実際に勤務している方は、三十八万人ぐらいしかいません。七割近い方々が、結婚や出産などを機に、第一線から退き、その後戻ってきていません。」と、こういうふうに述べられました。私、これ大変重要な問題提起だと思います。厚生労働省の調査でも、保育士の退職理由、最も多いのは、保育士自身が家庭との両立が難しいと、これ二五・六%、四人に一人です。次いで、近い将来結婚、出産を控えていると、この方もつまり両立は難しいということだと思います。
こういう仕事と家庭の両立支援を担う保育士が自らの両立が困難で退職せざるを得ない、これは女性の活用という面からも、また直面する待機児童問題の解決という面からも放置できない事態だと思います。保育士自身が仕事と家庭の両立ができるような支援が急がれると思いますが、森大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおりでございまして、非常に難しい問題がございました。つまり、保育士の方がお子さんができたときお子さんを預ける保育園が見付からないという、まず、自分の子が待機児童になってしまうという問題。もう一つ、一旦離職した後、保育士としての資格を生かしてまた働きたいと思っても、どうしても短時間の勤務しかできない。その短時間の勤務が、保育園が認めている短時間勤務と時間帯がマッチングがなかなか難しい。保育園の方は例えば朝早くとか夜遅くの短時間が足りないわけでございますが、昼間の時間だけの短時間勤務とのマッチングというのが非常に難しい。二つの課題が主にあると思います。
最初の方ですけれども、平等ということで、保育士のお子さんであろうとも、その他のお子さんであろうとも、平等に保育園に入れなければいけないということで、待機児童問題の中で保育士のお子さんが待機することで保育士が仕事を辞めざるを得ないという状況がずっとございました。そこで、今回、平成二十七年度からの本格施行が予定されている子ども・子育て支援新制度の中で、これは市町村の判断により、保育士等の子供、優先的な利用をすることができるというふうにいたしました。そのことによって、保育士のお子さんが保育園に行けば保育士が仕事を続けることができる、そのことによってほかのお子さんも預かることができるということで、国民の皆様の御理解を得てまいりたいというふうに思います。
短時間勤務のマッチングについては、そもそも短時間勤務という制度が使えるようにはなっているわけでございますが、先ほどのような問題点がございますので、更にこの点を解消できるように努力してまいりたいと思います。
○田村智子君 自らも母親になって、あるいは男の保育士さんもいらっしゃいますので、父親になって更に保育士として働くということは、やっぱり親御さんの気持ちもより分かるようになるんだ、やっぱりそういう保育士さんが自分の力を本当にどんどん使って日本の子供たちを育ててほしいなというふうに私は思っているんです。
ちょっと具体に問題を指摘したいと思うんです。現在、やはり保育士さんたちが自らの家庭との両立が難しいと思っている大きな原因に、長時間保育が当たり前になっているという問題があります。
現在、保育所は十一時間の開所、八時間保育というのを基本としていますけれども、事実上、都市部などでは多くの保育所が十二時間、朝七時から夜七時、あるいは十三時間、朝七時から夜八時など、こういう開所が当たり前のように行われているわけです。これ、もちろん社会全体の労働時間の短縮ということに本当に取り組んでいかなければならないんですけれども、直面する保育士さんのこの長時間保育の負担、その軽減をやっぱり急いで取り組まなければいけないと思います。
ここでは構造的な問題を指摘をしたいんです。
今、保育所の運営費となる保育所委託費、ここでは人件費として基本的に見るのは八時間保育の分だけなんですね。延長分、十一時間やそれを超える分というのは、十一時間分の延長ですね、これは加算で見て、保育所全体では一人ないし二人分の人件費ぐらいにしかならないわけです。
しかも、この八時間というのは、子供たちへの直接の保育の時間がまさにその八時間であって、保育士の皆さんは月間の保育計画を立てたり、保育の記録や保護者へのお便りを作ったり、行事の準備をしたり、会議も行うし、当然休憩時間というのも取ることが求められています。それらの時間を含めた保育士配置の人件費にはなっていないと。当然、お子さんが来る前に準備もあります。帰ってからの片付けもあります。その分が全く人件費として見られていないわけですね。ですから、保育園の園長さんなどからは、八時間保育ならば、子供と関わる時間は六時間、その他の業務に二時間というようにして保育士配置を見るべきだというふうに指摘もされています。これは真っ当な指摘だと思います。
こういう保育所委託費の構造が日常的な、常態的な保育士さんの人員不足を生み、そして一人の保育士さんが担う仕事が増え、保育士さんの長時間労働が常態化してしまう原因になっているんじゃないだろうか。保育士の過度な負担、これを招いていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
まず、保育所における保育時間でございますが、フルタイムなどの一般的な就労時間が七時間から八時間であること、そして子供たちは一日の生活リズムの中で一定時間保育所で過ごすことを考えて、まず八時間を原則としているところでございます。ただ、同じフルタイムでありましても、労働者によりまして始業時刻、終業時刻が違ってきますし、また通勤時間なども考慮することが必要なことから、現行の保育所では十一時間の開所を求めているところでございます。
その上で、議員御指摘になられた点でございますが、十一時間開所をして保育を提供するために必要な経費として、まず保育所運営費によって、保育士の休憩時間を確保する観点あるいは長時間開所に対応する観点から、配置基準上の人数を超えて保育士を一名加配をしているほか、開所時間であります十一時間を超えて延長時間を実施している場合には、開所時間の始期と終期における保育ニーズに対応するための保育士一人を延長保育事業の基本分として別途加配するという措置をとっているところでございます。
この考え方は、新制度におきましても、保育必要量として最大で十一時間までとする保育標準時間認定に係る保育必要量でございますが、この考え方は現在の十一時間開所と変わるものではございませんが、ただ、現行におきまして、この十一時間の開所時間については延長保育事業の基本分等によって対応してきたところでありますけれども、これは、やはりその開所時間の範囲内にもかかわらず延長保育の一部とされていては分かりにくいという指摘もございます。また、補助対象とされていない保育所も現に存在しているということがありますので、この新制度の保育標準時間認定を受ける子供の公定価格の設定におきましては、この〇・七兆円の財源をベースとした質の改善の事項としまして現在の延長保育事業の基本分と同等の内容を公定価格の本体に組み込むとともに、保育士の勤務シフトを組みやすくして、かつ保育士の負担軽減など図るために更に三時間分の非常勤保育士の人件費をプラスすることとしております。
このほか、新制度では例えば三歳児を中心とした職員配置の改善なども予定をしているところでございまして、これらによりまして保育標準時間認定の子供の利用に適切に対応することができると考えているところでございます。
○田村智子君 これ、ですから、八時間超えた分は保育士さんを一人って、一人は無理でしょうって思うわけですよね。どういう保育所も一人は加配していますって、それは無理なんですよ。現に、昨年、杉並区で昨年開設した保育所で次々と保育士さんたちが辞めていくという事態が起きたんですよ。それは、開所したばかりでいろんな負担も多かった、国基準でいろいろやってみても、とてもじゃないけど人が足りないと、もう担任の保育士さんが燃え尽きるようになってしまって、自分の体がもたないって途中で辞めていく異常事態が発生したりしたんですね。
やっぱり今のこの保育士の国の配置の仕方というのが、先ほど指摘したような八時間保育を基本として人件費を見ているというこのやり方は、これはもう現場とはそぐわないというふうにしか言いようがないわけです。
これ、森大臣にもお聞きしたいんですけれども、今局長からお話あったとおり、来年度からの新制度に向けて今保育所の委託費どうするのかという検討が行われています。先ほど説明があったとおり、基本的には今までを踏襲するわけですね。一応、その延長保育で毎年毎年予算ベースというふうに見てきたものをちゃんと委託費の中に、運営費の中に十一時間分は見ますよというふうにはするんだけれども、それじゃ、新たに保育士の配置が長時間保育に対応するような配置がなされるかといったら、そうはならないわけなんですよ。
これは、やっぱり保育に直接当たる人件費しか手当てしていない。この問題とか、やはり八時間を超えるところはだんだん人が増えてだんだん人が減っていくでしょうというんですけれども、私も夜七時まであるいは八時近くまで子供を預けて働いてきましたけれども、六時以降、たくさんいるのは当たり前なんです。十一時間以降もたくさん子供たちがいるのは当たり前。そういう構造での実態に合わせた委託費の在り方というのをやはり検討していくことが必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 大変難しい問題であるなと思いながら伺ってまいりました。
子ども・子育て支援新制度におきましては、もちろん現行を踏襲するんですが、その上でさらに、質改善項目ということを現場の要望を勘案して盛り込むこととなっておりまして、委員の御指摘も深刻に受け止めてまいりたいと思います。
社会全体の、また長時間労働、また子育て中の企業での働き方の在り方の見直しとともに、この保育の、目の前の保育士さんの負担ということもしっかりと目を向けてまいりたいと思います。
○田村智子君 是非具体の検討をお願いしたいと思います。
もう一点、新制度の下で確認したいことがあります。
保育士さんの処遇の問題も、これ与野党問わず昨年の国会でもいろいろに取り上げられてきました。やっぱり、保育士さん途中で辞めちゃう理由が、これだけ大変な仕事で、こんなに責任が重い仕事をしているのに、これだけの給料なのかという問題もあるんです。もう月二十万円行かないような給料で働いている保育士さんがいっぱいおられます。
私が確認したいのは、保育士さん、やっぱり長く働き続けたらちゃんと給料が上がっていくというシステムが必要だと思うのですが、新制度の下では、民改費のように、平均経験年数に応じて委託単価が上がる仕組みになっていくのかどうか。そして、その仕組みが永続的なものとなるのかどうか。現行の制度でいいますと、保育士さんの人件費というのは十年頭打ちなんですね。それでいいのかと思うんですよ。十年を超えたら、どんなに働いても国基準では給料は上がらない。これ問題だと思うのと、その平均経験年数に応じて単価が上がる仕組みが途中で終わっちゃ駄目、ずっと続いていく、永続的に続いていくということでお約束をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
保育の量的な拡充と質の改善を進めていく上で保育士の確保は大変重要でございまして、そのため、処遇の改善を進めていくこと、これは今議員おっしゃったように、与野党問わず一致した重要な問題というふうに受け止めているところでございます。
これまでの保育所の運営費におきましては、民間施設給与等改善費によりまして、常勤保育士等の勤続年数、経験年数に応じて運営費を加算することでベテラン保育士の処遇改善を図ってきたところでございます。子ども・子育て会議で検討を進めております新制度の公定価格におきましては、現行の民間施設給与等改善費の仕組みを参考に、職員の確保、定着を促進する仕組みを取り入れていく方向で検討いたしているところでございまして、三月の末に取りまとめていただきました公定価格の骨格案におきましては、処遇改善等加算という項目を盛り込んでいるところでございます。
この詳細な設定に当たりましては、現行の民間施設給与等改善費と同様に、職員の勤続年数やその経験年数に応じて加算額がアップしていく仕組みを維持するほか、加算率の区分の上限であります十年以上よりも長い場合の対応についても検討することとされているところでございます。
今後は、これを踏まえながら、仮単価の設定など、新制度の施行に向けた準備を進めていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 是非長く働き続けられるシステムになるようお願いしたいと思います。
こうした保育士の不足が指摘される下で、甘利大臣に今度はお聞きいたします。
産業競争力会議では准保育士という提案がされていて、これがマスコミでも大きく取り上げられました。実は、この准保育士は、二〇〇七年にも規制改革会議で同様の提案が行われました。そのタスクフォースの会合はくしくも第一次安倍政権のときで、このときは受験科目などを保育士よりも少なくする、こういうふうにして保育士の資格の簡易化を図るということが二〇〇七年には提案をされ、猛反発に遭ってこれは実現しなかったわけです。今回はといいますと、更に緩和の方向で、民間認証資格でいいんだという提案になっています。
保育については、これまで政府自身が、量の拡大だけではなくて質の向上も求められる、だから一兆円の新たな投入を行うんだということを言ってきたわけです。私も、子育て経験者が保育を協力する、支援するという立場で活用されていくことは、これは否定しませんけれども、准保育士という提案は、これは保育士の代わりに准保育士雇っていいという話になってきますから、これは政府が言ってきた量も質も保障された保育ということとは矛盾していくんじゃないかと思うんですが、甘利大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘の准保育士につきましては、三月十九日に開催をされた、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議を開いたわけですが、そこにおきまして民間議員より提案がありました。育児経験が豊かな主婦層の就労機会の拡大の視点から、例えば民間認証の新たな資格を設けることによって、育児経験のある主婦層の就業機会を増やし保育所の質の向上を図るとの御提言があったわけであります。
御指摘のとおり、先ほど来御指摘をいただいておりますが、待機児童に関わる保育士の確保として潜在保育士の活用、再就職支援というのは重要であります。そして、准保育士なるものがそれに取って代わってしまうということであれば、確かに御指摘のような問題が出るんだろうというふうに思っております。
この点、民間議員の御提言は、潜在保育士の活用、再就職支援は進めることを前提として、例えば民間認証による新たな資格を設けることは、将来保育士を目指す主婦層のモチベーションの確保等につながり、結果として保育所における保育の質の向上や保育士不足の解消にも資するという観点からの提案であるというふうに認識をしているわけであります。
いずれにいたしましても、民間議員の提案も踏まえた具体策については、御指摘のとおり、保育の質の確保に十分に留意をしつつ、今後、厚労省とも調整しながら議論を深めていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 今も保育の支援員など、資格とは違うところで働いている方はいるんですけど、今度は准保育士という別の資格というのを持ち出してきているわけですから、ここに危惧が集まるのは当然なんです。
私は、保護者というのは、預けられれば誰でもいい、どこでもいいなんて思っている方はまずいらっしゃらないと思うんですね。安心して子供を託して、子供の成長に一緒に寄り添ってくれる、そういう保育を求めていまして、育児経験と保育士というのもまたこれは別のものだというふうに言わなければならないと思うんです。
改めて厚生労働省に聞きたいんですけれども、毎年、厚労省は保育所などにおける子供の死亡数の調査を行っていますが、この直近の調査では認可保育所と認可外の施設とで死亡数がどうなっているか、示してください。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
平成二十五年に自治体から報告のあった保育施設における死亡事故は十九件でございました。施設類型ごとに見ますと、認可保育所で四件、認可外保育施設で十五件となっております。
○田村智子君 これは私も資料でお配りをしました。それがどういう事故だったのかというのを情報開示を、赤ちゃんの急死を考える会が行ったものをまとめていますので、御覧いただきたいと思うんです。
これ、子供たちというのは圧倒的に認可保育所が多いです。認可外の保育所を利用している子供さんというのは恐らく一割にもならないんじゃないでしょうか、認可の保育所と比べると。それでこれだけの死亡事故でいうと違いが出てくるわけですね。資料の中を見ても分かるとおり、無資格者だけで見ていて死亡の事故が起きているというのが何件か出てきているわけです。やはりこういう事故に見舞われた方々は、とりわけ准保育士の提案というのを撤回してほしいというふうに考えてもいるわけです。
四月八日には、保護者の皆さんが意見書を産業競争力会議などに提出をしていますけれども、その意見書を提出されたお一人は藤井真希さんという方で、保育中の事故が原因で子供さんを亡くされたお母さんです。藤井さんは二〇一〇年十一月に、自分の通院のために生後五か月だったさつきちゃんを大阪府八尾市の事業で紹介された女性に預けました。保育士資格はなかったけれど、育児経験のある先輩お母さんなら子供を安全に預かってくれるだろうと信じてしまったと藤井さんは言っています。預けたのは僅か一時間です。ところが、その一時間で、元気だったさつきちゃんは、なぜか心肺停止になって救急搬送されて、心臓は蘇生したけれども脳死状態となり、意識が戻らないまま昨年十月、三歳で亡くなられました。
死亡との因果関係は現在裁判で争っているところですけれども、子供を、さつきちゃんを預かった女性はうつ伏せ寝にしていたと。女性は、講習を受けていたけれども、うつ伏せ寝が赤ちゃんにとって危険だということは知らなかったと藤井さんに話したということです。藤井さんは、女性は子育て経験を過信していたようだった、保育士の勉強量と短期間の講習とでは全然違う、子供を亡くして、一時的な預かりでさえ専門知識が必要だと痛感した、長時間子供を預かる保育所ではなおさら大切だ、資格は重視するべきだと、育児経験と保育の能力は全く別なものであると痛切に感じていると、こういうふうに述べられておられるわけです。
保育中の死亡事例は、今も、悲しいかな、少なくなく、こうして起きています。保育の質の向上が求められているというときに、こういう事故が起こっているのに准保育士の導入というのは、これは進むべき道を逆行することになるんじゃないでしょうか。甘利大臣、もう一度お願いいたします。
○国務大臣(甘利明君) 保育所における死亡事故、あってはならないことであります。そういった意味では、御指摘のとおり、保育所における保育の質の確保というのは極めて重要であります。そして、先ほど来お話が出ております民間議員の提案の中にも保育所の質の向上を図るということが記述されておりまして、保育所の質の確保が前提とされているものと認識をいたしております。
一方で、現在でも、保育士の配置基準は満たして、その上で、その保育士を助けるという意味で保育士資格を有しない者が保育所において働いているという現状があります。このような保育士資格を有しない保育従事者も含め、将来保育士を目指す主婦層のモチベーション確保等のためにこのような新たな資格を活用するということは、結果として、保育所における保育の質の向上であるとか保育士不足の解消にも資すると考えているわけでありまして、言わば、要するに保育士の負担を周りがどう軽減していくか、そして、それを通じて安全と質の確保を図っていくということであるというふうに理解をしておりますが、いずれにいたしましても、保育の質の確保に十分留意をしつつ、先ほど来話題に上がっております民間議員の提案を含めて、今後厚労省とも調整をしながら、いかにあるべきかという議論を深めていきたいというふうに思っております。
○田村智子君 これ、じゃ、厚生労働省は、こうした准保育士という提案についてはどのような見解を持たれているんでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) 准保育士の創設に関しては、三月十四日の産業競争力会議雇用・人材分科会において御提案があったところでございますが、四月四日の経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議におきまして、田村厚生労働大臣から准保育士の創設に関して発言があったところでございます。
その趣旨を簡潔に申し上げますと、まず一点としまして、産業競争力会議からの御提案は、主婦等の子育て経験者が広く子育て支援分野で活躍することを推進すべきとの御趣旨であると認識しておりまして、その点については積極的に検討していきたい。二点目でございます。その一方で、准保育士等の資格を創設をして、仮に認可保育所等の配置基準に算入する場合には、保育の量の確保のために質を犠牲にしたとの批判を受け、保育の専門職である保育士を求める保護者の期待には応えられないので、厚生労働省としては、保護者の要望に応えるためにも、引き続き保育士の確保に全力で取り組んでいくということでございました。
実際に、本年四月八日に、保護者の団体から私どもも准保育士の導入を懸念する意見書の提出を受けているところでございます。したがいまして、厚生労働省としては、田村大臣の発言の趣旨に沿って適切に対応していきたいというふうに考えております。
○田村智子君 これは、もし准保育士という資格がつくられて、そういう方が保育の現場で働くということになりますと、例えば、先ほど来言っている保育士の処遇の改善にも結び付かなくなっていくんじゃないだろうか。当然、准という立場になれば、これは給料も保育士よりも低いというふうになっていく、それが保育士全体にどういう影響を与えるかということも危惧がされるわけです。
実際、二〇〇七年のときの規制改革の会議の中では、恐らく保育士さんたちの給料は多少安くなるでしょうと、そういう代償は払わなければならないけれど、相対的に安い賃金でもいいから働きたいというお母さんたちが働けるようになるという大きなメリットがありますなんていう議論がされて、二〇〇七年当時は准保育士ということが議論されていたわけです。また、この二〇〇七年のときは、子供を育てるのと学歴は関係ないとか、団塊の世代は育児経験を持っている、年を取ると子供はかわいいものだなどと、何というか、保育士という仕事をおとしめるのかと思えるような発言が繰り返された経験があるわけです。こういうことが、政府直属の会議でまた繰り返しちゃうのか、非常に危惧します。
そうじゃなくて、お手伝いに来るんだということであるならば、何も資格化する必要ないです、今だって支援者という形で入っていただいているわけですから。
是非、甘利大臣、これ撤回を求めてほしいと思うんです、森大臣にもね。これは保育の現場に重大な問題をもたらす、撤回すべきだということを求めていただきたいんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 名前がそう付いているわけではないですけど、いわゆる准保育士なるものが保育士に取って代わるということであるならば、そういう御指摘はごもっともだと思います。保育士をしっかり補佐してその仕事を助けていくという意味で、要は制度設計という部分もあるんではないかと思います。
もちろん、保育士資格を持ちながら保育の現場に出てこれないには理由があって、それは、自身の子供が待機児童になってしまう、あるいは待遇がいずれにしても低過ぎるという御指摘がありました。この両面、確かに自分の子供を一人預ければ、保育の現場に出ていない保育士経験者の人が見れる子供の数というのは一対幾つという割合で増えていくわけでありますから、その資格を持ちながら保育の場に出てこれない方の環境整備をしていくということももちろん重要だと思いますが、いずれにいたしましても、設計次第でこの御指摘の危惧も当たってしまうことにもなるでしょうし、設計次第で有効にいろいろ活用できるということにもなろうかと思います。
いずれにいたしましても、民間提案も含めて厚労省としっかり議論をしていきたいというふうに思っております。
○田村智子君 この問題はまた議論をしたいと思います。
稲田大臣、お待たせいたしました。次のテーマに移ります。
規制改革会議、三月二十七日に選択療養、今度は医療の話です、の創設についてという論点整理を行いました。これ、患者と医師が合意をすれば、保険外診療に対して保険外併用療養費を支払うという枠組みです。しかも、対象とする治療をリスト化しない、個別の治療について極めて短期で保険外併用療養費ができるかどうかということを回答を出すというふうに言われているんです。
国内未承認薬の使用など、対象とする医療は事実上の臨床研究になるわけで、しかも、これを定型化しない、個別だ、極めて短時間で判断だというふうになりますと、通常の臨床研究では、医学的に妥当なのかどうかと、インフォームド・コンセントが適切かとか倫理的に妥当かなどということをきちんと倫理委員会などでチェックすることがやられるんですけれども、こういうことがしっかりやられないままにどんどん保険外併用が広がるということが危惧されるわけですね。
患者の安全や医療の有効性をどのように担保するつもりなのか、まず内閣府室長、お願いします。
○政府参考人(滝本純生君) お答え申し上げます。
今御指摘ありましたように、選択療養といいますのは、国があらかじめ対象を定める評価療養の制度では必ずしも応えられない患者の個別ニーズに迅速に応え得る改革案として提案されたものだと理解しております。
患者の自己の選択によって保険診療と併せ受ける保険外診療であって、一定の手続、ルールに基づくものと、その一定の手続、ルールの枠内のものとされているところでございまして、安全・有効性をどのように確保するかといったようなことにつきましては次回以降の規制改革会議で議論されることになっておりますけれども、今意見として出ておりますことを申し上げれば、例えば患者の疾患、保険診療の内容とか、あるいは併用する保険外診療の目的や内容などを記載いたしました診療計画書を提出させると。それからまた、選択したからといって何でもかんでも認められるというものではございませんで、合理的な根拠が疑わしいような医療でありますとか、あるいは効果がないんだけれども不当に国民の医療負担を増やすようなもの、そういったものについてはチェックをして除外をするというようなことを考えておりますので、当然何らかのエビデンスを添付させるというようなことも考えられておりますので、こういったことについて具体的にどのように安全性などを担保していくか、これは厚労省などとも意見交換しながら今後詰めていく課題だと、そのように考えております。
○田村智子君 現在でも、先進医療というところでは保険診療と保険外診療を組み合わせて受けられるようになっています。これは治療を決めたり薬を決めたりしてやっていることなんですけれども、その中の先進Bというものは薬事承認を前提としない評価療養、これは未承認薬とかを使う、そういう医療をやっているわけですけれども、それでさえも、それが適切に行われるかどうかという審査は六か月、今、更に短くして三か月にしようという努力をしているわけです。これぐらいを取らなければ安全性を最低限確保できない、有効性が確認できないと。確からしいかどうかということが見極めができないということで、そういう仕組みになっていると思うんですよ。これよりも短くして、しかもこの治療というふうに決めないというんですね。患者さんが申し出たものについて一件一件、これが保険外の併用ができるかどうかを考える。一体どういう仕組みなんだろうと思うんですけれども。
これは、もう一つ確認したいのは、この選択療養は、保険診療への導入していくんだと、その治療や薬をですね、保険診療にしていくんだということを前提とするということを前提としない制度ではないですか。
○政府参考人(滝本純生君) お答え申し上げます。
規制改革会議で今議論されておりますことは、今申しましたように、評価療養のように保険導入のための評価を行うものではなくて、評価療養だけでは必ずしも十分に対応できないものに個別に対応していこうというものでございますので、その限りにおいては保険収載を前提とすることを前提としていないということは事実でございます。
ただ、今後の議論でございますが、先ほど申しましたように、合理的根拠が疑わしい医療の助長などを防止する方策なども検討していくことにしておりますし、それから、評価療養に値すると期待される実績が幾つか集まればできるだけ早期に評価療養に移行させていく、そのようなシステムも併せ検討していこうということでありますので、保険収載されない診療をいたずらに増やしていこうと、そういったことを狙いとしているものではございません。
今の規制改革会議の状況は以上のようなものでございます。
○田村智子君 稲田大臣にお聞きします。
昨年十一月、この問題で公開ディスカッションが行われていて、大臣は、保険適用まで行かなかったとしてもずっと併用して、保険適用の分と自由診療の分と混合でずっと認めていっていいじゃないかという発言をされているんですよ。
ある医療技術、ある薬品、薬剤、これが選択療養制度の下ではずっと保険収載されないでずっと混合診療で続けられていくという意味ではないんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 御指摘の昨年の十一月の公開ディスカッションにおける私の発言ですが、かなり長い発言をいたしております。
今委員が御指摘の前の部分ですけれども、私は、原則は、いいものだったら保険適用すべきである、それが皆保険制度の趣旨だということは当たり前のことですよ、そんなことは規制改革の人間は誰でも分かっているし、変な治療をどんどんやらせて自由診療、混合診療を認めていけと、そんなことを言っているわけではなくて、評価療養を認めて保険適用されない場合、ずっとそのまま混合診療を認めていく場合、今、このシンポジウムで例になった場合がまさにそうだったわけですが、そういったときには認めてもいい場合があるのではありませんか、そういう選択肢を認めるということはどうなんですかという、そういう質問をしたわけであります。今御指摘のような高額な薬が保険収載されないままになることを一般的に認める趣旨で言ったものでもないし、また全面的に混合診療を認めるべきであるという趣旨で言ったわけでもありません。
また、今回、この公開ディスカッションで挙げられた事例は、保険外で扱う薬剤の価格が非常に安くて企業が治験のコストを回収できないといった理由で薬事承認に至らないケースであって、高額な薬について意図的に保険適用を申請しないというケースでもありませんし、むしろこういう場合に保険外診療を認めないことで一般の方々が治療を受けられないという、そういうケースについて質問したということでございます。
○田村智子君 これ、保険外併用の制度で、効果が認められれば当然保険収載されていくわけですよ。先進医療、評価療養の制度というのはそういうもので、ディスカッションの中で問題になったのはカフェイン併用療法のことだと思うんです、私もそれ読みましたので。
これは、あのときなぜか事実誤認があるみたいで、カフェイン併用療法というのは今評価療養の対象となってきましたし、今は第二相試験まで進んでいて、保険適用されるんじゃないかという方向に進んでいるということなんですよ。だから、もし先進医療の中にも入らず、保険外と保険医療との併用がずっと続いていくという治療があるとすれば、有効性がかなり確からしくないというものしか考えようがないんですよ。有効性があるだろうと思うものは先進Bとかにどんどん入れていけばいいんですもの、未承認薬だって。先進Bの在り方を検討すればいいだけであって、何も今ある先進医療とは別個で、保険外の治療がどんどんできるようにしていくということを新しく別の制度としてつくる必要性はないはずなんです。
しかも、これは難病団体の皆さんからも、そんなことをされちゃったら私たちは何の治療を信じていいのか分からない、医師と患者の個人的な話合いで、あなたにこういう薬はどうですかとお医者さんから言われたと、それを信じていいのかどうか分からない、制度としてないわけですから。そういう対等な立場でもないのにってことになっていったら大変なことが起こるんじゃないのかと。難病、慢性疾患の当事者団体は、過去に医師が自由に投薬できることによって多くの難病患者の生命と健康に大きな被害が生じた経験を有しているんだと、だからこのような新たな制度というのはつくる必要はないということを意見表明もされているわけですよね。
これはやっぱり考える必要はないんじゃないですかね。先進医療の方を見直すということでいいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) あくまでも今規制改革会議で提案されているのは、混合診療の全面解禁ではなくて、選択療養制度という新たな制度を提案をしております。
そして、その会議で議論として主に想定されているのは、困難な病気と闘う患者が、自分で納得して、自分で費用を払ってでも保険外の治療を受けたいと希望したときに、保険が受けられるはずの診療まで全額自己負担を強いられたり、また、別の病院に移ってくれと言われたりする、そういう患者にとって気の毒な状況を打開をしようということでございます。このため、保険外診療を併用してもできるだけ保険給付がなされ、保険診療に係る経済的負担が治療の妨げにならないように、現行の評価制度では必ずしも応えられない患者の個別ニーズに迅速に応え得る改革案として問題が提起をされたものであります。
もちろん、必要かつ適切な医療というのは基本的には保険診療で行われるべきだというふうに考えております。評価療養に値すると期待される有効な実績が幾つか集まれば、評価療養、先進療養に移行されるシステムが検討されるべきだというふうに考えております。
○田村智子君 これ、治療の、定型化しない、医者と患者の個人の契約でその申請を出す、私、非常に危険なものだというふうに思います。現に難病、慢性疾患の当事者団体からは、確かに海外、未承認薬がなかなか使えない、それは承認の体制をもっと整えて承認を早くできるようにすればいいことなんだと。私たちが求めているのは、やっぱり保険で自分たちの病気が治してもらえるような、そういう薬を早く開発し、承認をし、そして私たちが使えるようになることなんだと。
保険外との併用というのは、それは保険外の薬って高いですよ。これやっぱり、それができる方できない方、お金がある方ない方の違いというのをつくり出してしまうことにもなりかねない。それから、先ほど言った有効性や安全性のチェックも十分にできない危険性がある。これはよくよく慎重な検討が必要だと思いますし、私は先進医療や未承認薬の承認のシステムなどを検討すべきだということも申し述べたいと思います。またこれも議論したいと思います。
ありがとうございました。