【14.03.18】東日本大震災復興特別委員会 液状化問題、放射線から子どもを守る施策について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
津波被害からの住宅やなりわいの復興は本当にこれからというときに、いよいよ消費税の増税は秒読みとなってしまいました。被災地に大きな負担となる消費税の増税、これはやるべきではないということを冒頭申し上げまして、質問に入ります。
東日本大震災では、液状化も大きな被害をもたらしました。二月下旬に、最も大きな被害となった千葉県の浦安市を視察をいたしました。下水道や幹線道路の本工事はまだこれからというのが実情です。中でも遅れているのが住宅地の液状化の対策で、政府は国負担二分の一で市街地液状化対策事業をスタートさせています。これは、面的に再液状化が起こる危険性があるそういう区域について、住宅地をブロックごとに隣接する公道と一体として地盤改良を行うというものです。
これ、住宅地も含めて国の負担があるということで浦安市でも大変歓迎をされているんですけれども、実は事業開始というめどが市内ではまだ立っていません。昨日の東京新聞でも大きく報道がされていまして、東京新聞によれば、事業が始まるのは全国で茨城県の潮来市だけというふうに報道がされています。この遅れの一番の要因は、全世帯の合意が条件だが、その住民合意が難しいということです。浦安市の場合、国や市が負担をしても、一戸当たり百万から二百万円の費用負担が必要になると。高齢者世帯ではこれが払えないという声が起きていたり、あるいは、既に個人で一千万ぐらい掛けて地盤改良をやったと、また負担するのかという声もある。また、示された工法が首都直下地震に通用するのかという疑問の声も出てくると。
こういうのに対して浦安市は、市の職員が休日返上で、本当に夜遅くまで住民の皆さんへの説明を繰り返したり、合意が取り付けられるように一生懸命努力をしているんですけれども、なかなかこれが困難です。お聞きしますと、応援の人員って来ていないということなんですね。
根本大臣にお願いしたいのは、まず応援の人員を、これ専門的な疑問にも答えるということも必要ですので、是非検討していただきたいということと、実はこの事業、全体の復興の交付金の予算などの関係があり、二〇一四年度までというふうにされているんですが、いまだ事業のめどが立っていませんので、まさか二〇一四年度で終わるわけではないですよねという声も起こっています。当然事業延長もあるということも含めて大臣にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(根本匠君) 東日本大震災からの復興については、復興の基本方針において、復興期間を十年間とした上で、復興需要が高まる当初の五年間を集中復興期間、平成二十三年度から二十七年度と位置付けております。さらに、事業の進捗などを踏まえて、集中復興期間後、平成二十八年から三十二年度、この施策の在り方を定めるということにしております。まずは平成二十七年度までの間に復興交付金を活用して速やかな復興を進めていただきたいと考えておりますが、集中復興期間後の平成二十八年度以降における復興交付金の扱い、これについては、他の復興事業とともに、それまでの進捗状況などを踏まえながら、財源を含めてその在り方について検討する必要があると考えております。
事業のより一層の推進に向けた支援については、住民合意形成のためのコーディネートに要する費用を復興交付金の対象としておりまして、浦安市も活用しているところであります。また、技術的にも、公共施設と宅地の一体的な液状化対策工法、この工法について、技術的なガイダンスとして国交省が取りまとめて、被災自治体に対し情報提供を行うなどの支援をしております。今お話のありました液状化事業に関する経験や知識を有する他の自治体職員の派遣についても、浦安市から御要望があれば適切に対応していきたいと思います。
今後とも、事業が円滑に進むように、国交省などと連携しながら支援してまいりたいと思います。
○田村智子君 これは進捗はもうゼロという状況ですので、是非、進捗状況を見て、期間の延長を検討もお願いしたいと思います。
それから、浦安市の場合、この市街地液状化対策事業は十六区域が対象になっています。実は、その対象外のところも面的な被害が明らかに大きいなと思える住宅地があります。私が訪ねましたのは、ディベロッパーが広い一区画に住宅や私道、駐車場を一体に整備して販売をした地域で、私道を挟んで玄関の高さが違っちゃっているというぐらいの被害になっているんです。至る所がうねりがあったり、地盤沈下があったり隆起があったりという状態です。しかし、私道が中に入っている、こういう地域でもあり、なかなか住宅地の事業の中に入れ込むことが難しいというような説明を市からは受けているということなんですね。
しかし、再液状化の危険性があるのではないかという不安は現にありますし、浦安市でいえば市内の八〇%が液状化の被害を受けたわけで、この十六区域以外でも何らかの対策が必要だというところはあると思うんです。そこをどうするのかという検討も是非行っていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(根本匠君) 液状化対策、これは今国交省が中心になってやっていますが、どういう現状か、あるいは課題がどういうものがあるのか、そこは国交省ともよく話を聞いてみたいと思います。
○田村智子君 これ市民からは埋立てのずさんさを指摘する声が多数上がっています。傾いた家をジャッキで直そうとしたら、家二軒分の敷地にまたがるほどの大きなコンクリートの塊が砕かれずにそのまま埋められていたと、こういうことも聞かれていまして、是非、例えば開発業者に費用の一部負担を要請することなどができないのかということなども含めて、住宅地への支援というのを引き続き検討をお願いしたいということを重ねて要求したいと思います。
次に、放射能の被害から子供を守るということで質問いたします。
福島県では、原発事故を踏まえて、子供たちの健康を長期に見守るために、甲状腺検査を事故当時の十八歳以下の県民全てを対象に行いました。二〇一一年十月から本年三月までの先行検査は、二月七日時点で二十九万人余りの対象者のうち二十七万人の子供たちが終了しています。これは県外に避難している子供も含めての検査であって、関係者の努力には本当に敬意を表したいと思います。この検査で、報道のとおり、小児甲状腺がんが三十三人、四十一人が疑いありとされました。
子供の甲状腺がんは百万人に一人とも言われていて、福島では二十七万人のうちがんの確定診断が三十三人ということですから、これは国としても重大な関心を持つべき結果だと考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(浮島智子君) 今御指摘にございましたけれども、県民健康管理調査の中で、事故時十八歳以下であった方、約三十六万人対象として甲状腺検査を実施いたしました。その結果には国としても大きな関心を持っているところでもございます。
また、これまでに甲状腺がんとされた方が三十三名、そして甲状腺がんの疑いがあると診断された方を含めると七十四名とされておりますけれども、国内外の専門家の見解によりますと、原発事故によるものとは考えにくいとされているところでもございます。しかし、国といたしましても、今後、長期にわたって甲状腺検査を行う必要があると考えておりまして、引き続き必要な技術的、財政的な支援を全力で行ってまいります。
○田村智子君 これは医療関係者から様々な意見がありますので、長期的によく見ていただきたいと思いますが、この検診の調査は、県立福島医科大学、保健センター、学校などで甲状腺の超音波検査を行って、画像判断の結果が後日送付されるというもので、結節や嚢胞が認められても、その大きさが結節で五ミリ以下、嚢胞で二センチ以下のA2という判断の場合はその結果とそれから二年後に検診をという、こういうのが送られてくる。
いろんな不安の声があって、それを、結果をどう見るかというパンフレットなども同封されているんだということもお聞きをしているんですけれども、個別の十分な説明というのが行われていなくて、これはやっぱり保護者の方々の不安につながったというのが一巡目の検査だと思うんです。
二巡目がいよいよ四月から始まります。同じようにならないような工夫がやはり求められているというふうに思うんですね。
例えば、やはり声として起こってくるのは、画像を見ながら説明を受けたい。それ私、当たり前の思いだと思うんですよ。A2と言われたと。嚢胞があると言われたと。でも、どれぐらいの大きさなのか、二センチ以下だと言われても、それがどれぐらいの大きさなのかも保護者の方は画像を見ないから分からないわけですよね。それを見ながら、お医者さんが、こういう状況ですよ、だからいついつに検診しましょうねって御説明をされるだけでも、かなり気持ちとしては違ってくるというふうに思うんですね。
また、福島のお母さんたちは、それが長期的に検査が行われることがちゃんと記録をしていきたい、されていきたい、公的にもその記録が認められていきたい。だから、健康管理手帳なども持って、そこに検査の結果はこうだったって医師がちゃんと書いてくれるというようなのを持っていれば、これまた全然違ってくると思うんですよ。そういうやはり工夫が求められると思うんです。
こういう検討を、是非、県の取組ではありますが、これは国も費用負担をしているわけですから、県と相談、助言などもしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
この福島県の健康管理調査の甲状腺検査でございますけれども、約四六%の方に小さなしこりや嚢胞が認められております。この結果について多いのではないかという御不安をまた抱いておられる方がおられるということも認識をしております。
このため、環境省におきましては、まず青森、山梨、長崎の三県で、約四千五百人のお子さんを対象に検査を同じように行った結果、約五七%のお子さんにしこりや嚢胞が認められたという結果を得ております。福島県の四六%という数字が特別に多いものではないというふうに認識しておりまして、これは丁寧に御説明をしていきたいというように思っております。
また、検査結果の説明や相談体制の不十分さという御指摘でございますけれども、先ほど触れていただきましたが、リーフレットを作成し同封をするというようなことをしたりしておりますが、これに加えまして、保護者の方々からの御要望に応える形で幼稚園、保育所、小中学校に出向きまして検査結果の説明会を開催し、医師などが質問にお答えするというような取組もするなど改善が図られてきていると承知をしております。
環境省といたしましても、このような取組に対しまして財政的、技術的な支援をするなど積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○田村智子君 確かに、大規模に甲状腺のエコーの検査というのは確かに子供たちにやられていなかったことなので、だから、もちろん私も、全体の傾向がこれからどうなっていくかということはつかんでおくことは必要だと思いますが、私がお聞きしているのは、やっぱり個々の方の健康管理をどうフォローしていくかということなんですね。そこにやはりどうしても不安があるわけですから、国がやっぱり原発事故に対する責任というのはあるわけですから、不安に応えるということは是非検討いただきたいというふうに思うんです。
私、やっぱり、お医者さんにというのは大切なことだと思うんですよ。学校の先生とか保健師さんが個別に健康相談に乗れるような体制もつくっていらっしゃるという説明も受けました。それももちろん大切だと思うんです、体の全体の状況をどうですかって相談できることは。だけど、やっぱりお医者さんに画像を見ながら説明していただきたいという思いはあるわけですよ。これは是非検討していただきたいのと、それをやるためには、具合が悪くなったから診てもらうお医者さんだけでなく、そういうことができるお医者さんの体制が必要で、どういう医師の体制をつくるかということも国からの支援が必要だと思うんですけど、その点についてもいかがでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
ただいまの医師に直接というような体制が必要ではないかという御質問でございますけれども、これまで先行調査として三年間取り組んでまいりました方法でございますけれども、やはり標準的なきちっとした形を構築していくということで、福島県立医科大学が中心になりまして、甲状腺の専門家が少ない中、内外の、県外の専門家の協力も得つつ検査を着実に実施をするということを優先してきたところでございますが、平成二十六年度からは住民の方々にとって身近で丁寧な説明の時間を取ることも期待できます地元の医療機関のドクター、医師による検査も計画されております。
このような取組で、地元の方々のニーズにお応えするような、できるような体制を少しずつ着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 これは、二〇一二年度時点で、医療施設に従事する医師の数というのは人口十万人に対して福島県は百七十八・七人と、全都道府県の中で四十四位という深刻な実態があるんですね。是非、これ国挙げて、全国的な医師の支援とか、緊急的にはそういうことも含めて検討いただきたいと思います。
もう一点、子供の健康管理については福島県に限定される課題ではないという声、やっぱりあるんです。昨年末、宮城県の丸森町の小学校の養護教諭とお話をしたんですけれども、県境のあちらとこちらで放射線量は同じなのに施策が全然違うという声が聞こえています。これ、県をまたいだら健康診査は必要ないということに、私これ合理性がないと思いますので、是非、福島県を越えたところは国の責任ということを検討いただきたいと、ちょっと時間が来てしまいました、これ要望にして、また次回質問したいと思います。
ありがとうございました。