日本共産党 田村智子
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【12.08.27】退職強要やめさせよ/電機大手 厚労相 「相談複数なら調査」

 電機大企業が相次いでリストラ計画を発表し人員削減を進めるなか、日本共産党の田村智子議員が27日の参院決算委員会で退職強要が行われていると追及し、「実態を調査し、直ちにやめさせるべきだ」と迫りました。


 
 パナソニック、NEC、シャープなど大手電機メーカーは相次いでリストラ計画を発表。労働組合「電機・情報ユニオン」の集計では、昨年以降77企業で12万人を超えています。

 田村氏は、パナソニック茂原工場(千葉県)は県・市から約34億円の補助金を受けていたことを示し、迫りました。

 田村 茂原工場を買い取ったジャパンディスプレイは国策で2000億円規模の融資を受けるが、パナソニックからの雇用継続など、なんの条件もない。人員削減や工場の譲渡・撤退の場合は、計画の段階で地元公共団体との協議を約束させることが必要だ。

 小宮山厚労相 提案も含めてどういうことが可能か検討したい。

 田村氏は、「希望退職」の形をとって、過酷な退職強要が行われていると切り込みました。1万人のリストラを計画するNECで、電機・情報ユニオンへ寄せられた相談を紹介します。

入院先で「説明」

 ―退職に応じないと表明しても「業務命令」として2カ月に6、7回、なかには10回もの面談が繰り返される。

 ―入院中の労働者の病院に行って希望退職の説明をする。

 ―うつ病で自宅療養中の労働者を喫茶店に呼び出し1時間にわたって退職の説得を行い、応じなければ自宅に繰り返し電話をする。

 田村 「希望を募る」という範囲を超えている。

 小宮山厚労相 退職勧奨は全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況の場合には違法な権利侵害になるとのべた最高裁判例がある。家庭の状況、名誉、感情等に十分に配慮されるべきとされている。

 田村 NECは、「こういうやり方は退職強要に当たらない」と当局に確認していると説明している。

 厚労省労働基準局長 企業から相談があった場合、裁判例等の説明にとどめ、問題がないと断定的な回答を行うことはない。 

 田村氏は、2000年2月に神奈川労働基準局長が、「退職勧奨の許容される限界を超えるもの」を示した助言文書(別項参照)を紹介。2009年4月に厚労省が発行したパンフレットにも、1980年の最高裁判決(下関商業高校事件)が紹介されていることも示しました。

NEC調査する

 田村 NECでは、退職に応じなかった労働者を別室に移し、仕事を取り上げるなどみせしめ、パワハラともいえるやり方もはじまっている。退職強要の実態は、直ちに調査してやめさせるべきだ。

 小宮山厚労相 企業に出向き事実関係を確認した上で、法令や裁判例を説明する指導を実施している。NECの例についても出向いて調査し必要な指導をすることが必要と思う。

 田村 複数の労働者から退職強要が疑われる事例の相談があった場合、組織的にやられていると疑い調査し、指導すべきだ。

 小宮山厚労相 一つの企業の複数の労働者から相談が寄せられた場合は、こちらから企業に出向いて事実関係を確認し、必要な指導をする必要がある。

 田村氏は、労働基準監督署などへの徹底と、労働者をたらいまわしにすることなくワンストップでの相談ができるようにするよう要求。小宮山厚労相は「委員から指摘のあったことがないよう徹底をしていきたい」と答えました。


神奈川労働基準局長の助言文書

 次のような場合は、退職勧奨の許容される範囲を超える。

 (1)出頭を命ずる職務命令が繰り返される場合

 (2)被勧奨者がはっきりと退職する意思がないことを表明した場合に、新たな退職条件を提示するなどの特段の事情がないのに執拗(しつよう)に勧奨を続ける場合

 (3)勧奨の回数及び期間などが退職を求める事情の説明及び優遇措置などの退職条件の交渉に通常必要な限度にとどまらず、多数回、長期間にわたる場合

 (4)被勧奨者に精神的苦痛を与えるなど、自由な意思決定を妨げるような言動がある場合

 (5)被勧奨者が希望する立会人を認めたか否か、勧奨者の数、優遇措置の有無などについて問題がある場合