【12.08.10】税と社会保障の一体改革特別委員会――反対討論
採決の強行に抗議、消費税増税は断じて認められない
○田村智子 日本共産党を代表し、社会保障と税の一体改革関連法案に反対の討論を行います。
まず冒頭、本日の委員会での委員長不信任動議について、当の委員長が小会派の討論を認めないという運営を行ったことに重ねて強く抗議いたします。
今国会での消費税増税法案の採決はやるべきではない、これが国民の圧倒的多数の世論です。民主、自民、公明の増税連合による採決の強行は断じて認められません。消費税増税は、国民生活も日本の経済、財政も危機に陥れる愚の骨頂ともいうべき政策です。
先月発表された国民生活基礎調査では、生活が苦しいという世帯は過去最多、六割を超えました。この声に耳を傾けず、消費税を一〇%に引き上げたらどうなるか。個人消費が冷え込み、国内経済は更に低迷、税収も回復どころか一層落ち込むことは誰の目にも明らかです。
また、消費税は余りに欠陥の多い税制です。中小企業が価格に転嫁できない、逆進性が強く、低所得者への対策が必要、医療機関は損税を強制されているなど、本委員会でも繰り返し深刻な問題点が指摘されましたが、政府からも、民主、自民、公明の発議者からも何一つ抜本的な対策は示されていません。
社会保障のためという増税の目的も、本院での審議で完全に崩れました。
三党の修正によって、消費税法の附則には、社会保障財源を消費税とすることで機動的な対応が可能となり、成長戦略及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する旨が明記されました。
現に、政権交代後、予算執行が凍結されていた八ツ場ダム、東京外環道などの大型事業が一気に息を吹き返し、今後十年間で自民党からは二百兆円、公明党からは百兆円の大型公共事業プランまで提起されています。これでは、消費税増税は大型公共事業のための打ち出の小づちではありませんか。
社会保障のためどころか、国民にとっては、消費税増税に加え、社会保障の切捨てが襲いかかることも明らかになりました。
本委員会の質疑では、適正化、効率化、重点化の名の下に、介護保険料、国民健康保険料の一層の引上げ、介護サービスの新たな抑制、混合診療解禁の検討などが行われることを政府も法案発議者も否定しませんでした。
現在、金融審議会では、保険会社による医療や介護の現物給付についての議論も行われてお
り、保険会社など営利企業の医療、介護への参入を狙っていると言っても過言ではありません。自助、家族相互及び地域の支え合いが社会保障の基本という社会保障制度改革は、憲法二十五条が定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、その権利を保障するための国の義務を著しく矮小化するものであり、断じて認められません。
子ども・子育て新システムに関する法案は……
○高橋千秋委員長 おまとめください。
○田村智子 保育の市場化を進め、公的保育制度を後退させるものとなっています。保育施策への予算増を消費税増税の口実としながら、その額は七千億円。国の基準の低さから、現に地方自治体が単独で負担している一兆円にも届きません。しかも、保育所の建設費補助の規定が削除されており……
○高橋千秋委員長 おまとめください。
○田村智子 待機児童対策などが安上がりな保育施策に傾倒する懸念があります。
政府の言う社会保障と税の一体改革では、日本の社会が良くなる道は見えません。我が党は、消費税に頼らず社会保障充実の道があることを対案として示してきました。
○高橋千秋委員長 時間が来ております。おまとめください。
○田村智子 消費税増税を許さず、国民とともに真の改革の道を歩む決意を述べ、反対討論を終わります。