日本共産党 田村智子
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【12.03.22】厚生労働委員会――川崎社会保険病院の売却および保育問題

一方的な「売却決定」、病院と地域は大混乱に

○田村智子 日本共産党の田村智子です。
 社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構の発足が、先ほどの質問にもありましたけれども、2014年4月1日と閣議決定がされました。私も、これは是非前倒しを検討していただきたいと思っています。
 同時に、それまでの間、RFOが存在をし、社会保険病院や厚生年金病院に売却方針があるがために地域医療の機能が損なわれると、こういう事態が起こることはあってはならないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 社会保険病院等の譲渡に当たりましては、年金資金等の損失の最小化を図ること、これに加えまして、やはり地域の医療体制が損なわれないよう十分配慮することが当然基本だと考えています。
 また、新機構への移行を平成26年4月1日としていますけど、それまでの間、譲渡病院の取扱いが決まらないと各病院も非常に不安定な状況に置かれるということから、移行までの間の譲渡対象病院については一定の時期に確定させる方向で検討していきたいと考えています。

○田村智子 その譲渡の対象となった病院について、具体にお聞きをしたいと思います。
 昨年12月月21日、譲渡決定の大臣通知が出された川崎社会保険病院です。新機構設立の法律ができて以降、県も市も譲渡を受けないと。どこが譲渡先となるのか分からないままでこの譲渡、売却の決定が行われたのは、川崎の社会保険病院が初めてのことです。
 これは、何を判断基準にしてこうした決定が行われたのか、お聞かせください。

○今別府敏雄 年金局年金審議管理官 昨年の12月6日の当委員会でもお答えをいたしましたが、譲渡に当たりましては、まず地元の意見、御意向を尊重するというのが基本方針でございます。それから、26年4月に設立をされます地域医療機能推進機構、これが病院グループとして経済的にも自立的に運営をしていくということも大事な観点であろうと考えております。それから、その際も申し述べましたが、自治体が直接引き受けるという場合にはそれを優先をするということを答弁をいたしました。
 今回もこの基本方針に沿いまして、具体的には、川崎市から11月の25日に、病院の運営主体にかかわらず医療機能を向上させたい、維持向上したいという要望が出ましたので、それを受けて判断をさせていただいたところでございます。

○田村智子 今お話にあった昨年11月25日、これは川崎市といいますか、川崎市長個人名なんですね。川崎市長個人が大臣あてに要望書を出した、これが全ての出発点なんですよ、具体的な決定の。
 この要望書を私も読みました。病院が赤字で医療従事者の確保が困難であると、これを主な理由として、譲渡による運営主体の選定も含めて、経営のいかんを問わず充実強化を図ることができるよう適切な措置を早急に講じられたいと、こういうものでした。
 しかし、この経営改善のため、赤字の改善のための努力や医療従事者確保のための努力というのはまさに病院がやっていたさなかだったんですね。昨年11月、12月は当月で黒字経営に転換をしています。それから、今年の4月、来月には20名以上の新規採用を内定していました。医師も一時期は15人体制、これを30人にまで改善をしていた。休診していた小児科も再開、産婦人科の開始も予定され、まさに職員のモチベーションも高まってきていた、そのやさきだったんですね。
 これまた具体に確認したいんですけれども、市長はこういう要望書を出した、だけど判断したのは厚生労働省であり大臣ですから、では、こういう病院の現状や今後の経営方針や努力を調べて、その上で、新機構への移行ではなく、これはもう民間売却だという判断をしたのかどうか。病院の現状や経営方針をしっかりと考えて民間売却だというふうに決めたのかどうか。これ、病院の皆さんからは何で自分たちの病院が売却なのかと、切々たる声が届いているんですよ。
 お答えいただきたいと思います。

○今別府敏雄 年金管理審議官 川崎の社会保険病院につきましては、もちろん市長の要望書は11月25日でありますけれども、法律の改正以来、ずっと御相談をさせていただいてきております。
 今、単月の数字をおっしゃいましたけれども、累積ではかなりの赤字がたまっておりますし、毎年かなりの赤字が出ておったという病院でもございます。
 市長とも私直接お話をさせていただきましたが、経営主体のいかんを問わずということで、地域の高齢化を踏まえて、今休んでおる病床を活用して医療病床を増やしたいとか、そういうことで、むしろ今の、現状の社会保険病院としての運営よりも経営主体を替えて今の医療機能を維持、更に向上させたいというお気持ちを感じ取った次第でございます。
 先ほども申しましたようないろんな観点、それから関係者と総合的にお話をさせていただいて譲渡対象として選定をさせていただいたと、そういう経緯でございます。

○田村智子 累積赤字が多かったというぐらいの話しか見えないんですよね。それを解消しようと思って一生懸命努力していたさなかなんです。
 実は、川崎市長そう言ったというけれども、私は、川崎市長も責任ある判断を下したのか、大変疑問なんです。3月7日、川崎市議会で我が党議員の質問に答えて川崎市長、何と答弁しているか。市が事前に民間譲渡を了承した経過はございません。一方で厚生労働省は、今お話しあったとおり、いや、出向いて意向を確認したと。もう言った言わないの話になっちゃっているんですよ。一病院の運命がこんな無責任なやり方で決められてしまうというのは私は異常だと思います。12月21日のこの譲渡の決定、病院の皆さんには、また医師を派遣していた大学の皆さんにとってもまさに寝耳に水、ニュースで初めて知ったという事態なんですね。
 それで、どうなっているか。川崎の社会保険病院というのは、3年前にもう地元の町会長さんや医師会長さん、大学関係者や川崎市なども参加をして、将来構想も検討をして、運営形態もやっと新機構だというゴールも見えて、医療体制の充実にも希望が見えて、ところが、突然ニュースであなたのところの病院はもう民間売却だと知らされるわけですよ。当然、職員の皆さんの中に動揺広がります。その不安から退職を希望する職員が相次いでいる。入院患者を受け入れても4月以降は医療体制が取れなくなってしまうと、このままでは。やむなく救急車の受入れを中止する、入院病棟は縮小と、こういう事態なんです。
 川崎市では、例えば末期がんの患者さんのための緩和ケアの病床というのはこの川崎社会保険病院がそのほとんどを担っている、非常に大切な役割を果たしていますが、この緩和ケアの病床も維持できるかどうかは今後分からないような状況なんですね。
 これ、やっぱり譲渡先の検討が何もないままに、市も県も手を挙げていない、自分たちの身分がどうなるか分からないというのを突き付けられている、これが現に地域医療の機能を著しく損ねる事態を招いていると思うんです。
 これ大臣にお答えいただきたいんですけれども、この事態を大臣としてどうお考えになるのか、是非お聞かせください。

○小宮山洋子君 厚生労働大臣 社会保険病院等の譲渡に当たりましては、譲渡までの間、必要な医療機能、これが維持されることが重要だと考えていまして、譲渡指示に際しましてもその病院運営団体の全社連に対してその維持を要請していますが、今御指摘のように、川崎の方では一部の入院機能が縮小したということ、これについては、地域住民の方に対して御迷惑をお掛けしていることは大変残念で申し訳ないというふうに思っています。
 こうした状況も踏まえまして、改めて、RFOと連携の下、全社連に対しましてこの病院の医療機能の維持に最善を尽くすよう勧告を行い、それとともに、関係大学に対しましても医師の確保について協力を要請をしています。
 全社連からは病院の医療機能の維持のために全力で取り組んでいるという報告を受けていますが、厚生労働省といたしましては、引き続きRFOや地元自治体とも密接な連携を取って適切に状況を把握をして、全社連に対しまして医療機能の維持に最善を尽くすように更に求めていきたいと考えています。

○田村智子 私、もう一歩踏み込んで求めたいんですけれども、やっぱりこの病院の場合、一般入札なんですよ、売却だから、県も市も手を挙げていないから。そうすると、職員の皆さんの不安というのは一般入札されるという事実がある以上拭えないんですね。
 川崎の社会保険病院の職員の皆さんって決して高い給料じゃないんですよ、お話聞きましたけれども。だけれども、公的病院で私たちは医療を頑張りたいという思いで働いてもみえていたんですね。そうすると、私は、この一般入札という方針をこのままにしていていいのかというふうに、こう思えてならないんです。
 これによって一番被害を受けるのはやはり住民の皆さんなんですね。目の前に立派な病院がある、だけれども救急でそこに運び入れてもらえることはできないと。それから、もう民間に売却と分かれば、これ担当医がいなくなるということはもう患者さんにとって大きな影響を与えるものですよね。
 大臣、恐らく私は、大臣が決定を下すに当たって、私が今挙げたようなこと、これまで3年間の川崎の社会保険病院が地域と一緒になって頑張ってきたような努力とか赤字転換させるための努力とか、そういうことをちゃんと担当の部局からお聞きになっていなかったんじゃないんだろうかと、こういうことも私、思えてくるんですよ。
 もしもそうであるならば、この民間売却という、事実上の民間売却という決定を出したことを、その過程を検証をして、問題があるんだと思えばそれ白紙撤回するという政治決断も必要じゃないかと思うんです。その上で、川崎市とも、全社連とも、それから地域とも、もちろん医療の関係の皆さんともやっぱり真摯に話し合って、医療機能をどう回復させるかと、ここに力尽くすことも必要じゃないかと思うんですけれども、検討していただけないでしょうか。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 今、細かいことを聞いていないのではないかという御指摘がございましたが、それぞれの病院につきましては細かく聞いております。その結果、判断をしています。
 川崎社会保険病院につきましては、譲渡の指示後、地元自治体から譲渡条件に関する意見書が提出され、それとともに、地元の自治体ですとか医療関係団体、関係大学などの参画の下でRFOで譲渡検討委員会が開催をされまして、譲渡条件を審議するなど譲渡に向けた手続が進められています。
 こうした中、地元自治体に加えて自治会からも譲渡手続を迅速に行って譲渡先を早急に決定をすることが求められています。このため、厚生労働省としましては、こうした地元住民の要望にこたえて、譲渡条件に適合する適切な譲渡先を早急に決めること、これが重要だと考えていまして、引き続き手続を進めています。
 また、地元自治体と厚労省は、連携図りながら、今御指摘の、いろいろな病院の機能が低下をして地域の住民に御迷惑を掛けるということがないよう、最小限になるように、経営委託先団体の全社連に対しまして、そこの病院の医療機能を維持するようにということを最大限努力をするようにということの働きかけも併せて行っていきたいと考えています。

○田村智子 知っていたというなら、私、重大だと思いますね。厚労省のその決断が、大臣の決断が、現に迷惑を与えるような事態をこれ引き起こしているんですよ。
 大体、11月25日に市長が要望書を出して、市長に意向を確認に行ったのは12月12日ですよ、お聞きしたら。それで12月21日に決定と。病院に動揺が広がらないはずはないんですよ。こんなやり方続けられたら、病院たまったものじゃないですよ。
 私、もう一点お聞きしたいんです。
 3月7日の川崎市議会で、健康福祉局長は次のように答弁しているんです。多額の累積赤字を抱え経営状態が悪化していることから、国からは、本市が川崎社会保険病院の譲渡を受けない場合には民間譲渡が避けられないとの説明を受けていたと。これ私、昨年も厚生労働委員会で取り上げましたけれども、RFOは、赤字の大きい病院は譲渡、売却するということを既に決めていて、厚生労働省は、その自治体に対しては、新機構に移行して存続という選択肢は示さず、県や市が買わなければ民間に売却することになるんだと、こう迫っているんですか。だとしたら大問題だと思いますけど、いかがですか。

○今別府敏雄 年金審議官 これも12月6日にお答えをいたしましたが、RFOが譲渡対象施設を選定をするということはございません。先ほど御説明をしたような観点から厚生労働省で決定をするということでございます。
 それから、川崎市も、一部入院機能の縮小の動きが出ましたので、そういう意味でも、早く次の引受先を決めて地域医療の向上が目指せるように早く手続を進めてほしいと、これは市あるいは地元の自治会等からも要望を受けておりますので、速やかに入札手続を進めてまいりたいと考えております。

○田村智子 地元が要望を出しているのは、もうとんでもない事態になっちゃったからなんですよ。とんでもない事態の引き金を引いておいて、地元から要望があったから民間譲渡を進める、早く進めるんだと。これはもう開き直りも甚だしいと私言わざるを得ないと思います。
 今お聞きしたように、RFOはそれで選別していないと言うんですけれども、昨年も取り上げました、やっぱり鳴門の社会保険病院も、2011年6月の厚労省のアンケートに徳島県は、譲り受けることを検討するつもりはないと回答していた。ところが、その後、県が買わなければ民間譲渡になってしまうので、公的病院の存続のためにはやむを得ないと県が買い取る決断をした、こういう報道が繰り返し行われてきています。県はそれで医療機能をそのまま確保できるのか、県の財政状況では今の診療体制保つことは困難だと、既に診療体制の縮小が取りざたをされていると。
 私、やっぱりこんなことを繰り返したらいけないと思うんですよ。2年後には新機構ができる、地域医療の機能を推進させることが目的だ、だけど、今RFOで社会保険病院などをどんどん売りさばいていこうとする、これ矛盾なんです。
 私、厚生労働省やるべきは、病院の売却に必死になることじゃないと思いますよ。国会が附帯決議上げたからとか、RFOは売るのが役割だからとか、そんなことで売るのに一生懸命になるんじゃなくて、いかに早く新機構に移行するか、それぞれの病院の経営の健全化や地域医療の機能の充実いかにして図っていくかと、このことに全力を注ぐべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 今委員も御指摘いただきましたけれども、社会保険病院等については、国会の附帯決議でも、RFOから推進機構への改組までの間、譲渡に向けた取組を推進するということが求められています。それに当たりましては、その譲渡に当たっては、年金資金などの損失の最小化を図ること、それに加えて、地域医療の体制が損なわれないよう十分配慮することを基本といたしまして、それで、あくまでも地元自治体の理解を得ながら譲渡手続を進めるということで、先ほど申し上げたような仕組みで今進めているところでございますので、なるべく早く方向性を見出したいというふうに思っています。

○田村智子 これまで私紹介した事実を見ても、これ自治体が、市長が明確に民間譲渡を認めたともはや言えないような状態、この川崎の問題というのは非常に無責任なやり方で私は決定が下されたと言わざるを得ないと思っています。何より厚生労働省が、大変な苦労をしながら働いている医師や看護師の気持ちを非常に傷つけるようなやり方を、これをよしとするということは非常に問題だと思います。
 私、これ今後も社会保険の病院の問題については個々の病院の問題も含めて詳しく見て取り上げていきたいと思っています。

子ども・子育て新システムで「最低基準」は見直されるか

○田村智子 残された時間で、予算委員会でも取り上げました子ども・子育て新システムについて、落ち着いて若干お聞きをしたいと思います。
 予算委員会では、私、待機児童は新システムの下でどのような対応になるかということをお聞きしたんですね。速記録で大臣の答弁を確認しましたが、ニーズを把握して、そして待機児童などはあっせんをして入れるような措置をとるというふうにお答えをいただいています。この入れるような措置をとるというのがどういうことなのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 子ども・子育て新システムでは、保護者が施設と契約をするという新しい形になりますが、特に要保護児童、障害児などの特別な支援が必要な場合ですとか待機児童が生じている場合には、市町村が施設に対してあっせんや要請などの利用調整を行うとともに、施設には応諾義務を課します。そして、正当な理由がない限り受入れを義務付けます。こうした仕組みを通じて、保育の必要な子供が確実に保育を受けられるようにしていきたいと思います。
 絶対的に需要量が供給量を上回る場合は、結果的に保育を受けられない子供、待機児童が生じること、これはあり得ますけれども、このような場合には、これまでの仕組みとは異なって、市町村が保育の需要見込み量を記載した計画を作成し、これに基づいて必要な保育を確保するための措置を講ずる責務を負う制度にしています。
 この新システムの中では、総合こども園とか保育所だけではなくて、質が確保された認可外の保育施設、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育など、多様な保育を財政支援をする対象にしていますので、こうした多様な保育を最大限活用する、そのことによって各市町村で必要な保育を確保していきたいと考えています。

○田村智子 あっせんをして調整をして、あっせんした子供については応諾義務を保育の施設の方に課すと、これは必要なことだと思います。
 問題は、あっせんも受けられなかった子供、これについては後々の計画を作って入れるようにしていくということですけれども、やっぱり目の前で入れない子供が残されるというのは、これはそういうことでいいんですよね。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 ちょっとお答えの仕方が難しいですけれども、現在もこれだけの保育所に入りたくて入れない待機児さんがいらっしゃるわけですね、予算委員会の繰り返しになってしまいますけど。そうすると、今の仕組みの中で、待機児さん、これはやはり潜在的な需要も含めてこれからも増えていくということが考えられる中で、今の制度のままやるのではなくて、新しい今申し上げた多様な受皿になるところを用意をして、一定の基準を満たしたら指定をし、そこに財政支援をしていくという新しいやり方にした方が、その入れないお子さんは明らかに減っていくと。
 そういうお子さんを一人でも減らして、就学前の全ての子供たちに質の良い学校教育、保育をつくるという新しい方向に今の政権では踏み出したいと考えているところです。

○田村智子 保育所を本当に増やす、サービス広げるって、これは私も全然否定しないんです。ただ、現に目の前に待機児童がいてどうするか、これ今も課題なんです。だから、新しいシステムをつくる場合に一歩も二歩も踏み込んでこの子をどうするかということをやってほしい、これがお父さん、お母さんたちの思いなんですね。
 私は、だから、こだわった保育実施の義務を市町村は、やっぱり待機児童を持っているようなところは特に果たすと、市町村が臨時的に保育をするような場を設けてでも保育が不可欠な子供にはそれを保障するということが私は求められているんじゃないだろうかというふうに思えるんですよ。だけど、市町村の実施義務というのを外してしまうということがそうした踏み込んだ努力ということになっていかないんじゃないか、私はそのことを非常に危惧しているのと、やはり、新システムに関する基本制度を読んでいても、需要が供給を上回った場合、調整してあっせんすると、ここまでしか書かれていなくて、あっせんを受けられない子供をどうするのかということは全く示されていないんです。内閣府に聞いても厚生労働省に聞いても、検討中です、検討中ですというだけで終わっているんですよ。だから、やっぱりそれでは見えなくなってしまう、今現に解決が求められている問題が見えなくなってしまうんじゃないかというふうに思えてならないんですが、ここは平行線になりそうですのでまたの機会に質問したいと思うんです。
 もう一つなんですけれども、こうやってじゃあっせんをしようとして、保育所の方は、市町村の方は入れたいがために今もやっています、定員を超えて入れる。最低基準でいえば、廊下の面積まで数えて、あと何人入れられるでしょうと入れる。私、これはいかがなものかと今思っています。
 認可の保育所、最低基準を満たす保育所というのは本当につくらなきゃいけないし、もっと言えば、今の最低基準というのは、面積にしろ人の配置にしろ、これは国際的に見て低いと。やはり新システムの下ではこれを向上させることが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 子ども・子育て新システムでは、質の確保のためにその客観的基準を満たす施設を財政支援の対象として指定をします。この指定基準につきましては、今の基準を基礎とします。
 そうしながら、学校教育、保育の質の確保向上の観点から、職員配置の基準の引上げなどを検討していきたいと考えていますので、こうした質の改善については、税制抜本改革の財源を基本としながら取り組んで、少しでも委員がおっしゃるように質の良いものに変えていきたいと思っています。

○田村智子 ごめんなさい、最低基準は引き上げるということになるのかどうか、ごめんなさい、ちょっとよく分からなかったんでもう一度お願いしたいんですけれども。面積の基準など最低基準を引き上げるのか。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 それは、今の基準を基礎といたしますので、今の基準をそのまま守っていくと。それで、特に総合こども園の新しくつくろうとしているところを中心に質の確保をする観点とインセンティブを掛けるという意味もございまして、職員配置の基準は引上げをしていきたいというふうに考えているということです。

○田村智子 私、この場ではちょっと面積基準のことだけちょっとお聞きをしたいんですけれども、今待機児童の多いところではその最低基準を小さくするような、本当にそれぞれの条例でもっと面積基準を狭めていいという動きがどんどん強まっているんですね。
 2010年10月に、社会福祉法人が運営する愛知県碧南市の認可保育園で、栗並寛也ちゃんという男の子がおやつのカステラを喉に詰まらせて、事故後、40日後に病院で亡くなったという事故が起きました。これ、ゼロ歳児が急増したために、まだ一歳になったばかりの子供でもゼロ歳児の部屋から1歳児に移した。ゼロ歳児、1歳児の面積基準というのは、本当は、動き出す前の子供、寝返りするぐらいの子供は1・65平米、動き出した子供は3・3平米。ところが、この愛知県碧南市では、ゼロ・1歳児は動き出す子も含めて1・65平米となっていたと、こういうことなんですよ。そうすると、これが親御さんにとっては、いろんな事情で事故が起きたかもしれないけれども、面積基準が狭められて詰め込まれたがために起きたんじゃないのかと、こういう懸念も持っていらっしゃるんです。
 今見てみれば、大阪市などは今まさに条例で、ゼロ・1歳児、1・65でいいと、こういう動きを起こしているんですよ。
 少なくとも、新システム、この検討の過程で、最低基準を狭めていいというこの動き、これは止めることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○小林正夫 委員長 厚生労働省高井雇用均等・児童家庭局長。
 なお、時間が過ぎておりますので、簡潔にまとめていただきたいと思います。

○高井康行 雇用均等・児童家庭局長 私からは現在の最低基準の運用について申し上げますと、御指摘のように、匍匐しない子供については1・65平米以上、匍匐する子供は3・3平米以上となっておりますけれども、御指摘のように、実際の運用が、匍匐する子しない子に対する適用について自治体によって違いが見えましたので、保育所のこの施設基準の考え方を昨年明確にしたところでございます。

○小宮山洋子 厚生労働大臣 済みません、一言いいですか。
 おっしゃる御懸念は分かります。待機児さんが多い一部の都市部でその面積基準を少なくてもいいという、そこを狭めることは私も最大限努力をいたしました。ですから、そこのところが広がっていくことがないように、しっかりと子供の安心できる最低基準が守れるように、それは最大限努力をしたいと思います。