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【12.03.16】論戦ハイライト:子育て新システムは保育実施義務なくす。導入やめよ
保育所の待機児童が深刻なときに、なぜ市町村の保育実施義務をなくすのか―。日本共産党の田村智子議員は16日の参院予算委員会で父母らの声を突きつけ、「子ども・子育て新システム」の導入をやめ、公的保育の責任を果たすことこそ必要だと迫りました。
「子どもの保育をどうするか。今この瞬間も苦悩している親がたくさんいる」
仕事あきらめた
田村氏は、待機児童問題の深刻な実態を突きつけました。▽申込者の4割以上が認可保育所に入れない(東京都足立区)▽保育先が決まらず母親の6割近くが仕事をあきらめた(民間機関の調査)▽保育所に入れず昼間は働けないので深夜にコンビニでバイトしている(足立区の母親の事態調査)―。
田村 当事者だけの問題ではない。日本社会の損失だ。
野田佳彦首相 ご指摘の通り。子どもを安心して産める社会を構築したい。
それでは、政府が狙う「子ども・子育て新システム」は待機児解消に役立つのか―。田村氏は、市町村が直接保育を行う義務を負うとする児童福祉法の規定が削除されると指摘。「新システム」では、入所に市町村が責任を負う現行制度とは異なり、保護者が自分で保育所などを探して直接契約を結ぶことになると迫りました。
田村 自治体は費用の一部を給付するだけだ。保育の義務がある現在と比べて市町村の責任が後退する。
小宮山洋子厚労相 すべての子どもに保育を確保する措置を講じる全体的な責務を市町村に課す。
「義務」ではなく全体的な「責務」だと弁明する厚労相に対し、田村氏は迫りました。
田村 待機児童一人ひとり、人数をつかんで保育が行われるまで義務を負うのか。
厚労相 ニーズを把握して必要な保育を確保する措置を講じる責務を負う。
田村 答えていない。保育所整備の義務は今の法律にもある。なおかつ、保育を行う義務を負っている。
他党議員から厚労相に対して「同じ答弁を繰り返すな」との声が上がるなか、田村氏は、保育所に入れない場合でも市町村に何らかの保育を行う義務があると認めた裁判の判例をあげ、「保育実施義務の規定は極めて重い。そういう義務を課すのか」と詰め寄りました。
厚労相は答えられず「義務があってもこれだけ待機児がある。新しい仕組みが必要だ」と開き直るだけ。田村氏は、「多いのは認可保育所をつくってこなかったからだ」と指摘し、畳みかけました。
田村 待機児童の人数をつかんで保育がなされるところまで市町村が義務を負うと法律に明記するのか。
厚労相 数をつかむとは書かない。ニーズをつかみ必要な施設を用意する責務を負う。
待機児童の人数さえ把握しなくなると認めた厚労相。田村氏は、「一人ひとりに義務を負って保育をすると明記されなければだめだ」と強調しました。
役割後退させる
これに対して厚労相は認可外保育所やNPO、保育ママなど「多様な受け皿を増やす」と釈明。田村氏は「希望的観測だ。市町村の役割を大きく後退させる」と批判し、こう強調しました。「直接契約の認可外保育園だって何カ所回っても入れない。だから市町村にもっと義務を果たしてほしいというのがお母さんの声だ」
(2012年3月18日(日)「しんぶん赤旗」より)