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【11.12.20】学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問主意書
学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問主意書
質問第五六号
学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十三年十二月八日
田 村 智 子
参議院議長 平 田 健 二 殿
学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問主意書
東日本大震災発生時に被災地はもちろん、首都圏においても保護者が迎えに来るまで子どもの安全を確保するため学童保育は全力をあげた。東日本大震災において施設に重大な被害を受けた学童保育も多く、子どもたちの安全を保障するため耐震性の確保は重要な課題である。学童保育は小規模な施設で運営され経済的にも大変な困難を抱えた施設も多く、耐震改修などの費用を確保するのも大変であり、地震から子どもの安全を守るために国や地方自治体などの支援が欠かせない。
以下、その観点から質問する。
一 東日本大震災において被災地では津波が襲ってきた時に学校と一緒になって子どもたちを懸命に避難させる、余震や停電の下で子どもたちを励ましながら保護者が迎えに来るまで子どもたちを保育するなど、学童保育は子どもたちの命と健康、安全を確保するために非常に大きな役割を果たした。また、首都圏においても帰宅できない保護者が迎えに来るまで子どもを保育し続けた学童保育も多く存在した。このように東日本大震災の際に子どもの命と安全を守るために学童保育は大きな役割を果たしたと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
また、今後も予想される大地震などの災害時に子どもたちの安全確保のために学童保育には積極的な役割が求められ、そのために地方自治体や国の支援を更に強化すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
二 東南海地震など大規模な地震発生の可能性が高まっており、地震から子どもを守るために耐震基準を満たした施設で学童保育は運営されるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。そのため、地方自治体が地域の学童保育を実施する施設の耐震化の状況について積極的に把握し、耐震化を促進するとともに、国においても耐震化の支援を行うべきではないか。
三 学齢期の子どもたちが日中生活する公立学校の耐震性の調査は文部科学省が行っているが、学齢期の子どもたちが放課後生活する学童保育を実施する施設の耐震化の状況について、政府は現に把握しているのか。
四 現在、厚生労働省は学童保育を実施する施設の耐震基準の達成状況について調査をしているが、調査対象の選定基準、調査対象数及びその学童保育を実施する全施設数(または学童保育の全事業数。以下同じ)に占める割合、学童保育を実施する全施設数を明らかにされたい。また、現行の耐震基準の施行後に建設された施設又は耐震改修済みの施設は、調査対象施設中どの程度の割合になるのか。
五 現在、厚生労働省が行っている学童保育を実施する施設の耐震基準の達成状況に関する調査は、比較的大規模な施設を対象としており、民間アパートや一戸建ての民家を賃借して運営している学童保育など小規模な施設は対象としておらず、調査対象も全学童保育の半分以下でしかない。保護者会が運営する学童保育は、小規模かつ古い建物で運営しているケースも散見される。これらの学童保育を実施する施設の耐震基準の達成状況について把握できるよう、学童保育を実施する全施設を対象として耐震基準の達成状況について調査を行うべきではないか。
六 耐震基準を満たしていない施設で実施されている既存の学童保育に対する国の支援策について明らかにされたい。施設の耐震診断への支援や、耐震性を満たしていないことが明らかになった施設の耐震改修、耐震基準を満たしている施設への移転などへの支援を行うべきではないか。
右質問する。
学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問に対する答弁書
答弁書第五六号
内閣参質一七九第五六号
平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦
参議院議長 平 田 健 二 殿
参議院議員田村智子君提出学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員田村智子君提出学童保育を実施する施設の耐震化に関する質問に対する答弁書
一について
放課後児童健全育成事業(以下「放課後児童クラブ」という。)については、東日本大震災の被災者を含め、放課後の児童の安全の確保にも大きな役割を果たしていると考えており、「子ども・子育てビジョン」(平成二十二年一月二十九日閣議決定)に基づき、受入児童数の拡充等の事業の充実に努めているところである。
二から六までについて
放課後児童クラブを実施するための施設(以下「実施施設」という。)の耐震化の状況については、全国の地方公共団体に対して、平成二十二年四月一日時点において二階建て以上である施設又は延べ床面積が二百平方メートルを超える施設について回答を求める調査(以下「耐震化状況調査」という。)を実施し、厚生労働省において結果の取りまとめを行っているところである。お尋ねの「調査対象数」については、耐震化状況調査の結果の取りまとめが終了した段階で明らかになるため、現時点においては把握しておらず、お尋ねの「調査対象数」の全実施施設数に占める割合及び「現行の耐震基準の施行後に建設された施設又は耐震改修済みの施設」の「調査対象施設」に占める割合についても、お答えすることは困難である。
また、平成二十三年五月一日時点における全実施施設数は、二万五百六十一である。
放課後児童クラブについては、耐震性が確保された施設において実施されるべきものと考えており、耐震化が必要な実施施設については、同省において市町村(特別区を含む。)による耐震化のための施設整備に対する支援を行っているところである。同省としては、耐震化状況調査の結果を踏まえ、耐震化の状況に関する調査対象の範囲も含め、実施施設の耐震化に関する支援の在り方について検討してまいりたい。