【11.07.12】厚労委員会――被災地の雇用支援を
岩手県大船渡ハローワークなど視察して
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今週末には第二次の補正予算案が提出されるということですけれども、厚生労働省所管の予算は僅か四十億円と、私、怒りさえ感じています。この間求めてきた医療機関の再建も雇用支援も全く反映されていない、待ったなしで求められている支援が先送りにされていくことに強く抗議をいたしまして、質問に入ります。
震災後、東北三県の離職票発行件数は六月二十六日までで約十三万件になります。一方で、有効求人倍率、これ四月の時点ですけれども、岩手県沿岸部で見ますと〇・二二と、大変厳しい状況です。六月三十日と七月一日に私も岩手県を訪ねまして、県の労働局やハローワークにも伺いました。被災地でお聞きをしました現状や要望に即して、今日は雇用の問題に絞って取り上げます。
まず、緊急雇用創出の基金事業についてです。被災された方に当面の仕事と収入を保障しようということで、県や自治体でも相当な努力が続いていますが、現状では瓦れきや汚泥の処理などが中心にならざるを得ません。これでは女性など条件が合わないという事例も少なくないとお聞きをしています。実際、陸前高田市や大船渡市、私も行きましたけれども、確かに大量の瓦れきの処理、これが最優先の課題であって、自治体がすぐに新たな仕事を創出する、これには相当な限界があると痛感をいたしました。
しかし、こうした条件の下でも、大船渡のハローワークでは、七月六日現在、基金事業での求人二百四人、これに対してハローワークの紹介は三百八十八人と、二倍近い応募があると言えると思うんですね。今後、自治体での具体化、こういう仕事おこしをやっていこうと、これどんどん進んでいけば、求人は大きく拡大すると思います。また、被災者の方も、仮設住宅への入居で生活が少し落ち着けば、応募する方が更に広がると思います。
だからこそ、各県からは基金の更なる増額が、二次補正に盛り込んでほしいと、こういう要望が強く上がっていました。残念ながら二次補正には入りませんでしたけれども、基金事業の期間の延長、増額、被災県の要望にこたえるということが必要だと、この方向を示すことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) 委員がおっしゃいましたように、これから被災地で生活再建をしていくためには、雇用を創出をして、仕事をしっかりつくっていくことが必要だと考えています。
このため、雇用創出の基金事業につきましては要件をかなり緩和をしておりますし、一次補正で五百億円の基金の積み増しを行いました。こうしたことによりまして、今、全国での雇用計画数はおよそ四万一千人、そして実際に雇用された人数が七月一日現在で一万一千三百十四人となっています。
基金を用意をいたしまして、いろいろなことが該当するようにはしています。県の取組などとしては、事務作業とか、そうした女性が今おっしゃったようにできるようなものもございますけれども、なかなか、基金を用意してありますけれども、それぞれのところの行政の回し、それからマッチングの問題などでしっかりまだ御本人のところまで結び付いていないということについては、ハローワークのまた応援の体制を増やすとか様々なことを、また職業訓練をしっかりできるコースを増やすなどして何とかマッチングをさせたいと思っています。
一次補正の五百億円がまだきちんと使い切れていないということもございまして、これからその活用状況などもしっかり把握をして、必要なところはまた積み増しをしたいと思っておりますし、三次補正の本格的な復興につきましてはまた新たな取組も考えていきたいというふうに思っております。
○田村智子君 今、一次で組んだ分がまだ使い切れていないと。だけれども、現場では何を心配しているかといいますと、岩手県の担当者や県の労働局の皆さんにお聞きをしましたけれども、皆さんおっしゃられるのは、この十一月から年末にかけて失業手当の給付期限が切れる方が相当数いらっしゃるということなんですね。今失業手当を受給をしている方、こういう方が今その手当を打ち切って基金事業で働く、これはなかなか難しいんですよ。
例えば、山田町なんですけれども、瓦れき処分の求人、日当は六千円で期限は三十日と、こういう条件なんです。これで仕方ない点はあると思います。しかし、これは月収にすれば恐らく十二、三万円行くか行かないかですよね。しかも、三十日たった後に仕事がどうなるか分からない。こういう条件の下では、やっぱり今失業手当で生活を落ち着けて、仮設への入居もして、これから仕事をどうしようかと、こういうふうに被災者の方が考えるというのは、これはある意味当然のことだと思うんです。
今使い切れていないからということで、更なる積み増し、増額、あるいは期間の延長、これはまだ結論出せませんということでは、私駄目だと思うんです。だって、二次で組まなかったら、三次いつになるか分からないんですもの。そうしたら、十一月や年末に間に合うのかという、そういう声が起こるのは当然なんです。だから、県からは、十一月以降、やっぱり基金事業の具体化がどれだけできるのか、やらなきゃいけないという思いで不安の声を上げています。
やっぱり被災された方々の仕事と収入、これは切れ目をつくっちゃいけないんだ、しっかり支援するんだと、基金の大幅増額、期間の延長、県の要望にこたえると、大臣、これ是非約束をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 今回の震災で被災された方々が職を失っている、その職をしっかりつくるということが、これは本当に大事な、我々としては一番力を入れてやっていかなければいけないことだというふうに思っております。
そういう意味で、この雇用創出基金事業も今回特別につくったわけでありまして、したがって、まずはこれを最大限利用していただきたいというふうに思っております。まだまだ資金的には余裕もありますので、私、事あるごとに、首長の皆さんとお会いしたときには、是非この基金事業を使っていただいて、町や市で、これをやりたい、あれもやりたいというときにこの基金事業を使っていただいて、そこで市民の方々を、失業されている方をそこで雇用をしていただく、このことがこの基金事業をつくった目的でございますから、是非活用していただきたいと。
資金的には私どもは十分用意をしているつもりでありますし、これからも用意をするつもりでありますから、どうぞ、先生の方もこの基金事業を勧めていただきたいというふうに思っております。
○田村智子君 是非お願いしたいと思います。
次に、一次補正で創設をされました被災者雇用開発助成金についてお聞きをいたします。
震災で離職をした人を雇用した企業に年間九十万円、大企業の場合は五十万円の助成金を支給するという制度ですけれども、岩手県などからは条件緩和など制度拡充の要望がされています。
改善が必要だと言われている一つの点は、一旦解雇せざるを得なかった従業員を再雇用した場合には助成の対象外となってしまうということなんですね。六月三十日の朝日新聞では岩手県山田町の事業者の例を紹介していますけれども、町内六か所のスーパーあるいはガソリンスタンドを経営している、津波で全壊した、事業者は、従業員の方はまずとにかく現金が必要だろうと困難な中でも退職金を払って、店舗を再開するときには必ず声を掛けると、こう言って約百人泣く泣く解雇せざるを得なかった、その後、何とか再建のめどを立てて、元従業員を雇用しようと助成金の申請に行ったが、新規採用ではないから対象外だと言われてしまった。
これ、事業者にとってはベテランの従業員は事業再開の一番の力ですし、労働者にとっても働き慣れた職場に戻りたいという思いは強いはずです。それだけに、非常に使い勝手の悪い助成制度だという声もこれ起こっているんですね。これをどう受け止めるかと。
もちろん、解雇をせずに雇用調整助成金で頑張ったと、こういう事業者の方、たくさんおられます。でも、泣く泣く解雇した方も。
事業者は、どちらも同じ困難抱えておられながら、再生の道を進んでいると思うんです。是非、再雇用についても助成の対象とする、あるいは何らかの支援制度の対象にする、こういう改善を早急に行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(小林正夫君) 委員御指摘の被災者雇用開発助成金、これは今回の大震災による被災者をハローワーク等の紹介により継続して一年以上雇用することが見込まれる労働者として雇い入れる事業主に対して支給する、こういう措置でございます。
この助成金は、被災者を取り巻く厳しい雇用状況の中で、その雇用機会を少しでも増やすことを目的としております。委員御指摘の、一度解雇した労働者を再度雇い入れた場合にこの助成金の対象とする、こういうことについては、一つとして、震災で事業を一時中断していた事業主が事業を再開する場合は以前働いていた労働者を再雇用するのが一般的である、こうした再雇用を促進するのに助成金は必ずしも必要ないと考えられること、そして二つ目には、被災地の事業主の中には労働者を解雇せずに、先ほど先生おっしゃったように、休業手当を支払って雇用の維持に取り組んできた方もおられます。一度解雇した労働者を再び雇い入れる場合も助成対象とすることは雇用の維持に取り組んできた事業主よりも手厚い支援を行うことになり不公平感があること、そういうことから適当でないと考えております。
ただ、事業再開を目指す事業主にとっては資金面での支援を必要とするケースも多いと考えられております。このため、ハローワークにおいて、日本政策金融公庫等が行っている融資制度等について周知を行っています。
さらに、事業の再開に当たり以前働いていた労働者を再雇用する場合には、例えば今までと違う仕事に就いてもらうことなど、こういうことも想定され、様々なコスト負担が生じることも考えられます。こうしたことから、事業主の負担を軽減するために別途何らかの支援が行えないか、検討しているところでございます。
○田村智子君 是非、同じ枠組みで難しいのであれば、別の支援策をやっていただきたいと思います。
もう一点、この制度の中でやっぱり指摘したい問題は、この雇用開発の助成金は一次補正予算が成立した五月二日より前に採用した場合にも対象外とされていると、これ重大だと思うんです。
例えば、石巻市の被災者の方、沿岸部ではもう働けないと離職をして内陸部の事業所に四月十八日に採用された。事業者が助成制度ができたと聞いて、これ活用しようとしたら、五月二日以降に採用した人でないと対象とはならないと言われてしまった。予算の成立が五月二日だからというのは余りにしゃくし定規で、政府の支援の遅れで対象外になったにすぎないんですね。これ、遡及して対象とするとか、やはり同種の何らかの助成制度を検討する、これもやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(小林正夫君) 雇入れに対する助成金、これは対象となる求職者の雇入れに対して助成金を支給することでその就職を促進する、このことが目的で支給するものでございます。このため、助成金の創設前に雇い入れられた労働者について、助成金の創設後、事後的に助成金を支給することは、助成金の対象となる労働者の雇入れを促進するという助成金本来の目的を果たすことにはならないため適当ではない、このように考えています。
先ほどの質問で答弁したように、事業主の負担を軽減するために別途何らかの支援策が行えないか、現在検討しておりますので、この検討を更に進めていきたい、このように考えます。
○田村智子君 なかなか納得できない点もあるんですね。この特に五月二日の線引きというやり方は、今日は質問はしませんけど、仮設診療所の建設についても起きているんですよ。四月中に大変な努力をして仮設診療所を造って診療を始めた開業医さんおられるんですが、これも補助の対象は予算成立後だといって補助対象から外されてしまっている。
例えば、三次補正でやっぱり新たな支援制度を雇用の分野、医療の分野、つくろうという。同じように、これは三次補正の予算成立前に立ち上がった事業者はその対象外とされるなんてことをやられていたら、これは何というんですかね、再建の足を引っ張るようなものじゃないのかと私言わざるを得ないと思うんです。
これ、もう一点だけ確認しますけれども、今この開発助成金については何らかの支援策をやると、これ三次補正を待たずして早急に検討してやるということなのかどうか、この点だけ確認をさせてください。
○委員長(津田弥太郎君) 時間になっておりますので、簡潔に答弁してください。
○大臣政務官(小林正夫君) 委員の御指摘に沿う方向で努力をしていきたいと思います。
○田村智子君 終わります。