日本共産党 田村智子
ニュース

【11.05.01】財金・厚労・国交委員会連合審査――巨大開発の予算見直しを

東京外環道(16キロに1兆3000億円)を中止し被災地復興予算へまわすべき

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 国民年金の国庫負担分の二分の一への引上げは消費税増税をやらなければできないかのような議論、これには合意できません。法人税減税や証券優遇税制の見直し、不要不急の大型公共事業や軍事費など、歳出の見直しで二分の一への引上げを行うべきだと私たちは考えます。
 このことを申し上げて、今日は国土交通大臣に質問いたします。
 野田財務大臣は四月一日に、公共事業予算のうち五%分を留保することを全閣僚に要請をしています。国土交通省としては、この具体化をどうしているのか、留保を決定した事業があるのか、このことをまずお答えください。

○国務大臣(大畠章宏君) 田村議員にお答えを申し上げます。
 ただいまの御質問でありますが、平成二十三年度当初予算の執行に当たって、財務大臣から、公共事業・施設費について五%を一つのめどとして執行を一旦留保し、今後必要な事業を見極めながら被災地への重点化を図るという方針が示されたことは御指摘のとおりであります。
 私どもといたしましては、直轄事業については、国自らの予算執行であり国の判断で執行を留保することが可能であることから、当初の予定どおり配分し、予算執行段階で五%を留保いたしました。補助事業については、国以外の者による予算執行であることから、社会資本整備総合交付金等を原則として五%留保して配分するとの方針で対応しております。
 なお、この留保というのは条件が付いておりまして、国民生活の安全、安心にかかわるもの等については留保を解除する段取りになるとの方針が財務大臣からも示されておりまして、現在、政府全体で議論をする上で対応してまいりたいと思います。
 なお、具体的にどこか留保したところはあるのかと、こういうことですが、現在具体的に留保しているという、まあ全体的に今検討しているところであります。

○田村智子君 つまり、事業としての見直しはやっていないということで、結局このままでは五%の留保というのは、国の直轄事業でいえば工事の発注を若干後ろにずらしていって帳じり合わせで五%留保するということで終わってしまうと思うんです。私、それでいいのかなということを震災を受けて考えなければいけないと思います。
 例えば、東京外郭環状自動車道、練馬―世田谷間の僅か十六キロに総事業費一兆三千億円、これをそのまま進めるのかどうかです。事業の進捗状況を見ても、昨年度初めて用地買収の予算が組まれて、この執行はまだほとんど行われていないと言っていいと思います。道路建設としてはまだ未着手です。大震災を受けて、この十六キロに一兆三千億円、総事業費ですね、このまま計画を進めるのかどうか。事業そのものの見直しをするチャンスだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(大畠章宏君) ただいまの御質問でございますが、確かに東京外環は首都圏三環状道路を形成し、首都圏の都心方向に集中する交通を的確に分散するという機能を持つものでありまして、交通渋滞の解消や沿線あるいは沿道の環境の改善を図る上で重要な道路と認識しております。そういうことから、平成二十一年の五月に整備計画を策定したところでございます。
 御指摘の点でございますけれども、東京の直下型というような災害というのも予測されておりますので、どのような形でこの東京の災害対策に備えるかと。今回の東日本大震災においても、二つの道路が並行して走っていたので、片方が使えなくなっても片方で生活物資といいますか水や食料を運べたというのもございます。そういう経験を踏まえながらこの対策についても取り組まなければならないと思いますが、東日本大震災からの復旧復興は現下の最優先課題でありますが、今申し上げましたように、東京の外環を含めた環状道路の早期整備というのも首都圏における渋滞緩和あるいは防災上の観点からも必要と考えておりますが、現在の段階ではそのように考えているところであります。

○田村智子君 そんなこと言っていたら被災地への重点化なんかできないですよ。東京と東北は全く違います。既に網の目のように道路が張り巡らされているのがこの首都圏です。しかも、今直下型というお話ありましたけれども、東京外郭のこの十六キロというのは大深度の地下なんです。そこが安全だという、そういう検証が本当に行われているのか、このことも疑問を持たなければならないと思います。
 それに、外郭自動車道は地域住民の皆さんの中で今も根強い反対運動続いていまして、練馬区のジャンクション予定地地域では、町が自動車道路に分断されてしまう、近くに小学校もあって子供たちの安全どうなるのかと、排気ガスによる健康被害はどうかと、たくさんの懸念と反対の声が今も聞かれているわけですね。
 四月十六日には、三鷹の外環道路問題連絡会からは、この外環道路の予算は東日本大震災の復興費に充てるべきであると、こういう要望書が国土交通大臣の下にも届いていると思います。
 震災などなかったかのように、こうやって自動車道路がまた首都圏の中で続けられていく、あるいはスーパー港湾が進んでいく、こういう巨大開発事業が何一つ見直しをされない、それでいいのかということは本当に考えなければならないと思います。
 時間が来ましたので終わりますけれども、やっぱり予算も技術も労力も、日本の企業の力を災害復興に振り向けるべきときなんです。そのためには事業の見直しも必要だということを強く申し上げて、質問を終わります。