【11.03.25】厚生労働委員会――被災者の住居と収入の確保を
雇用促進住宅など公的住宅の活用を急いで
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
昨日に引き続いて、被災者支援についての質問を行います。
体育館などでの集団での緊急避難から一日も早く生活の場を保障するということも求められています。仮設住宅の建設だけでなく、民間住宅を借り上げて仮設住宅の指定をする、あるいは公的機関が管理する住宅を提供するなど、あらゆる手だてを取っていただきたいと思います。
昨日も質問の中にありましたけれども、厚生労働省の所管ではいち早く雇用促進住宅の入居を認めたと。既に入居が始まっているところもあります。最初、入居を認めるという通知では、緊急避難所として使う場合にはガス、電気、水道は使えませんというのが出たものですから、私も意見言いましたし、各方面から意見があって、今は使うことも認められていると。やっぱり避難する方々の身になって、心の通う支援にしていかなければならないと思います。
今、この雇用促進住宅については、緊急避難用の利用は一か月、避難住宅としては六か月という期限が示されています。これは災害救助法の規定を受けてのことだとは思いますが、やはり今回の災害の大きさ、被害はこれまでと全く異なります。仮設住宅の建設だけでも一年を超えるだろうと言われていますので、是非一か月とかこの六か月という期限については機械的な運用ではなく実情に合わせて柔軟に対応すると、このことを今から自治体や被災者の方に伝えて不安を取り除くことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) 私も田村委員がおっしゃるとおりだと思っております。
その一時的な住宅、これは災害救助法に基づくそこに指定された方で住宅のなくなった方に入っていただく、これは原則六か月ということで、それから、仮設住宅などができるまでのつなぎ的な緊急避難場所として使われる場合は原則一か月ということで、ただ、おっしゃったように、今回の未曽有の被災の状況からしまして、そこは柔軟に対応していきたいと思っております。
○田村智子君 雇用促進住宅がいち早く入居が始まっていますので、今後、公営住宅とかあるいはUR団地が活用できるようになれば、やっぱり入居実績のあるこの雇用促進住宅がどうだったかということが参考になっていくと思うんです。是非、被災者に寄り添った支援を進めていただきたいと思います。
国が直接かかわる住宅としては国家公務員宿舎もあります。昨日、財務省に確認したところ、公務員の合同宿舎は東北、関東管内だけでも二千三百九十一戸提供できると。これは公務員の合同宿舎。それに加えて、厚労省の単独所管、これが百八十四戸、国土交通省も三百戸利用可能だというふうに昨日お聞きをいたしました。
これらの住宅は、聞きましたところ、即入居も可能な状態、ほとんどがそうだろうということでもあります。既に財務省の方からは、政府の緊急災害対策本部の方にこういうふうな数字も示しているんだけれども、具体化がまだこの本部で進められていないというふうにもお聞きしています。
早く自治体ごとに戸数も明らかにして、一日も早く活用できるようにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 御指摘いただきましたように、できるだけ早く落ち着いた生活ができるようにしていくという取組で、住宅の問題は大変重要だと思っております。
御指摘のとおり、厚生労働省が管理する宿舎のうち百八十四戸をリストアップして、地方自治体からの依頼により無償提供を行ってまいりたいと考えているところでございますが、こうした取組は政府全体で統一的に行っていくことが重要であるということになっておりまして、今御指摘がありましたように、財務省取りまとめということになっております。
三月二十三日には、被災者の受入れの具体的な作業を進めるため、受入れ可能施設の個別情報が必要になることから、政府の緊急災害対策本部からの指示により、財務省が各省に対して個別情報を提出するよう作業依頼があり、三月二十四日に提出したところでございます。
こういった取組、これから進んでいくわけでありますけれども、委員からのお話もありましたので、財務省に対しても、厚生労働省として働きかけをしていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 緊急災害対策本部、大臣がいらっしゃいますので、これは早くもう入居可能なところから本当入居を進めていかれるように、是非本部の中で早急にお話し合いいただきたいと思いますが、一言お願いします。
○国務大臣(細川律夫君) 委員御指摘のその住宅関連については、対策本部の方で私からも申し上げておきたいというふうに思います。
失業手当、雇用調整助成金の制度活用を
○田村智子君 被災地では、多くの方々が当面の収入のめどがないと、こういう不安も抱えておられます。
この当面の生活費ということについていえば、雇用保険の失業手当あるいは労災保険の休業補償、この支給が急がれると思います。この点でも、厚生労働省はいち早く、震災で事実上働くことも賃金の受取もできない場合、失業とみなして失業手当を支給するという特例措置を実施しています。
ただ、この対象に原発事故に伴う避難者を含むのかどうか、ここはまだ明確になっていないと思います。二十キロメートルの避難指示はもちろんですが、三十キロメートルの屋内退避の対象地域も、これ事実上事業所に入ることできない、出かけるというわけにいかないわけですから、当然特例対象となると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 委員御指摘の、この原発の放射能により休業を余儀なくされた避難民の人たちに対する生活保障ということについて、これについては原子力損害賠償法というのもございます。したがって、この法律との関係をきちっと整理もしなければいけませんけれども、しかし、この原発の放射能で避難をされている皆さんに対して、雇用保険法の特例措置の適用についても前向きに検討していくということにしたいと思います。
○田村智子君 この原発事故は、東京電力の責任が問われるというのは当然だと思います。同時に、やっぱり原発推進行政を進めた国の責任も問われているわけで、やはり避難している方々が一日も早く当面の生活費が受け取れるよう、失業手当についても前向きに検討していただきたいと思います。
この失業手当、給付できると通知は示されているんですが、被災者の方に周知をされなければ、届出もされず給付もできないわけです。避難所におられる方、また住居に戻っておられる方、被災地を避難されている方、こういう方に漏れなく迅速に周知する手だてが必要です。今、職員の皆さんがリーフレットも作って避難所を回っているというお話も聞いていますが、これ、物理的に回り切れないと思いますね。
ですから、受給の手引のようなものを避難所に置くとか公的機関に置くとか、これ是非やっていただきたいし、テレビやラジオの活用など、マスメディアとも協力して一気に徹底すると、これ是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 委員御指摘のように、この被災した地域の事業所の労働者であった者がこの震災により休業を余儀なくされた場合、あるいは震災によって一時的に離職を余儀なくされて再雇用が予定されるというような場合に特例的に失業給付が受給できるような措置を講じてきたところでございます。
したがって、こういう措置が被災された皆さん方に十分に知っていただくということが本当に委員御指摘のとおりでございますので、私どももこの特例につきまして、安定所の窓口相談はもとより、ホームページへの情報掲載や避難所におきます出張相談も行っておりますが、さらに、委員御指摘のように、いろんな工夫を重ねて周知徹底をしてまいりたいと、このように考えております。
○田村智子君 実際の給付までということを考えますと、特別な手だてが幾つも求められていると思います。中でも体制をどう取るかと。大変大きな被害で給付の対象となる方が相当数おられると。実際、仙台市内でハローワークが二十二日に開庁したら相談者が余りに多くて諦めて帰る方もおられたと報道されています。今、職員の皆さんも懸命に努力されているとは思うんですが、今後、事務手続も膨大になる、それから被災者の方は通帳も銀行や郵便局のカードもないと、こういう方々にどう手当を支給するのかと。これは本当に、体制で考えれば、職員の絶対数が足りないというのは明らかだと思うんです。
昨日の委員会の中で大臣は、都道府県の労働局から、全国から人も集中してというふうに答弁されましたが、被災地の外でも不況の影響で今求職者の対応で人手不足というのはもう深刻になっていると思うんですね。そういう中で、この間、国家公務員の定員削減というのが行われて、来年度見てみても都道府県労働局の職員は百三十六人の純減、ハローワークだけ見ても百八人の純減の計画になっているんです。私、これは見直しが必要だと思います。また当面、被災地のライフラインが復旧したらという条件付かとは思いますけれども、外から職員が応援に入る、こういうこと考えなきゃいけない。そのときには、やっぱり退職者の方が専門的な知識やノウハウを生かして臨時に職員として体制をつくるということなども検討が必要かと思います。
こちらの体制を取るのが遅れたがために被災者の皆さんへの当面の生活費になる手当の支給が遅れると、こういうことがあってはならないと思いますので、是非思い切った検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) これも委員がおっしゃるとおりだと思います。
最初は命を守るための医療などが必要で、その後は今度は生活再建のために雇用の関係の相談などが多くなるというのは当然のことでございまして、今もハローワークに特別の相談窓口をつくっていますが、そのほかにも避難所に出張して相談をするということもやりますので、そういう意味では阪神大震災のときよりも何倍かの多い増員をしなければいけないと考えておりますので、今おっしゃったアイデアなども考えさせていただきながら、しっかりした体制が取れるように努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 どうぞよろしくお願いします。
もう一つ、実は計画停電に伴う雇用の不安というのも起きてきています。計画停電が行われている首都圏は非正規の労働者も多くて、時給制、日給制の方々など、賃金が大幅に減るのではないか、あるいは解雇されるのではないかなど、非常に切実な不安が今広がってきています。
この計画停電に伴う休業について、実は労働基準局がまず出した通知が、計画停電は事業主の責任ではないと、労基法に定める休業補償の必要なしと、これだけ一方的に三月十五日に出されたんですね。しかも、その事業主の責任ないという根拠は何かといえば、戦後間もない昭和二十六年、一九五一年に電力不足から停電が相次いだと、このときに出した通知が根拠だという、そういうものなんです。この通知がインターネットなどでも話題になって更に不安を広げています。これ、事業主の責任ではないというのは当たり前なんですが、同時にこれ、労働者の責任でもましてないわけです。
その後、十九日にはさすがにQアンドA出されまして、その最初の設問では、賃金の補償については労使がよく協議をするようにというふうになっていますし、中小企業の場合は雇用調整助成金の活用もできると続く設問の中で紹介しています。
本来、厚生労働省の仕事というのは雇用を守る方にあると思うんですね。是非、労基法違反じゃないよという、これが独り歩きするんじゃなくて、助成金制度の活用を積極的に呼びかけたり、体力のある大企業には雇用の維持は当然だと、むしろ拡大もやれと、こう要請することも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) これもおっしゃるとおりだと思います。
そういう意味で、最初にその事業主の責めではないからというのを出してしまったためにいろいろ混乱を起こしたことは申し訳なかったと思っています。その後、その雇用調整助成金で対応ができるということをQアンドA作りましたが、これも先ほどから御指摘があるようにみんなに届いていないということで、これも御提案をいただいた商工会議所にきちんと伝達をするなど、いろんな手だてを取って安心していただけるようにやっていきたいと思っています。
○田村智子君 最後に一問なんですが、昨日、医療費の窓口負担のことでお聞きをいたしました。医療関係者の中にはまだ、あの通知はほとんど被災者はもう無料というか、当面は猶予ですね、していいよという通知だとは思うんですが、医療機関の中には、被災者だと判断をして猶予、まあ事実上の免除になるでしょうと、そういう手続やった、ところが保険者の方からレセプトはねつけられて、確認が不十分だと、結果として医療機関の持ち出しになってしまうんじゃないかと、こういう不安の声がまだ相当聞かれているんです。
是非、医療機関がこの方はもう猶予だと、窓口負担徴収するわけにいかないと判断した場合はそれを尊重すると、保険者がはねのけるようなことをしないと、これ是非御答弁いただきたいんですが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) それはもう仕組み上は先生のおっしゃるとおりで、御本人、被災された御本人の申請で、私は被災者ですと、今払えませんと、したがって窓口負担分は今払えませんということになると、その御本人の窓口負担分も含めて医療機関は審査支払機関に請求をして全額を受け取れるという仕組みになっておりますので、医療機関とそれから審査支払機関、さらには保険者にも周知徹底させていただきます。
○田村智子君 終わります。