【10.9.13】医療費負担の減免、生活保護に夏季加算を――厚生労働委員会
国民健康保険法44条減免について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今日はまず、医療費の負担軽減についてお聞きをいたします。
国民健康保険法第四十四条は医療費本人負担の減額、免除について定めていますが、この制度の活用は一部の自治体にとどまってきました。昨年度、モデル事業として三十自治体で取り組まれ、この結果を踏まえて、国としても減免の新たな基準を保険局長通知で示そうとしています。
この間、医療関係者の皆さんからも、経済的な理由による治療の中断や受診を控えてしまう患者さんが増えていると度々指摘されてきました。また、医療費の支払のために借金を抱えてしまうという方々も多数おられます。こうした問題を解決できるように四十四条減免を運用しなければなりません。
モデル事業では、国からは次の基準が示されました。一つに協力医療機関での入院治療、二つに災害、廃業、失業などによる収入の著しい減少、三つ目に生活保護基準以下の収入でかつ預貯金が生活保護基準の三か月以内、このすべてを満たす世帯を減額、免除の対象とするというものです。
収入が激変した際の医療費減免は当然ですが、今、非正規労働者が増え、中小業者も十年以上にわたる不況の波に耐えています。恒常的に収入が少ないという世帯が増え続けているのが実態です。こうした方々も減免の対象とすべきではありませんか。
○大臣政務官(足立信也君) 国民健康保険法第四十四条のところでございますけれども、私も野党時代、むしろこれは未収金対策というもので、保険者が機能していないのではないかということで質問させていただいたことがございます。
今の御質問についてですが、厚生労働省としては近々に、できれば今日中にその基準というものを定めたいと思っておりますけれども、今委員がおっしゃられた三つのことがございましたが、恒常的な低所得者も対象とすべきではないかということにつきまして、これは生活保護の関係あるいは福祉的意味合いが非常に強くなってくる、それが医療保険での自己負担分の減免ということとどの程度、あるいはどういう意味合いの分け方が可能なのか等々、私はいろいろ問題があるのではないかと、そのように思います。簡単に言いますと、福祉的意味合いも非常に強くなってくる、医療保険の中での扱いだけでは済まない部分ができてくるのではないかと、そのようにとらえております。
○田村智子君 医療保険での対応も必要だと思います。
既に、減免制度を実施している自治体では、収入基準も生活保護の一一〇%から一三〇%にしていたり、入院だけでなく通院にも適用できるなどしています。自治体の判断で国の基準をより拡充できると、厚生労働省の通知でもこのことを明確にしてほしいと思いますし、当然、国の基準がこうだからと自治体に基準の引下げを強要するようなことがあってはならないと考えていますが、いかがですか。
○大臣政務官(足立信也君) 先ほど委員がお示しになられた三つの要件がありますけれども、これはまあ一つの、今のところは決定ではないということをもう一度重ねて申し上げます。
その中で、これに今までやっているし、取り組まれている市町村がここまで下げてくるというようなことはやはり望ましいことではないと思いますし、しかしながら市町村の自主性というものもやはり担保しなければならない。やっぱり、国の基準というものはそんな中でも最低限これぐらいはという感じの表現でございますので、それ、上積みの部分といいますかね、もっと市町村がやられるということについては、私はそれは望ましい部分があるのではないかと、そのようにとらえております。
○田村智子君 これまで医療費の減額、免除が広がらなかった大きな要因は、財政的な裏付けが明確でなかったということがあると思います。モデル事業では、減免した医療費の二分の一は特別調整交付金で国が補助をしています。この財政措置はこれからも続けていくと確認してよろしいですね。
○大臣政務官(足立信也君) 私どもとしては、基準を定めた以上、そしてそういう方々を何としてもそれが原因で医療が受けられないことのない事態にしたいということでございますから、減免額の二分の一の特別調整交付金、今後も補てんしていくという予定でおります。
熱中症対策として生活保護に夏季加算を
○田村智子君 次に、熱中症対策についてお聞きします。
消防庁のまとめによれば、七、八月、熱中症によって四万五千九百四十九人が救急搬送されています。そのうち、既に死亡していた方が百五十八人、昨年の三か月間の約十倍に上ります。こうした事態に厚生労働省はどのような対策を取ってこられましたか。
○大臣政務官(足立信也君) 御案内のように、この熱中症対策というものは、主に取り組まれているところは環境省を中心として関係省庁が連携を取り合いながらやっていくということでございまして、昨年、熱中症環境保健マニュアル二〇〇九というようなことも出しているわけです。
じゃ、厚生労働省としてはどんな取組かと申しますと、大きく分けるとやっぱり三つございます。国民全体に対する熱中症に対する理解を深めていただくこと。それから、地域においては保健所を中心に健康相談を行うために最新情報を保健所等が配信していただく、情報を提供していただくというようなこと。それからもう一つは、やっぱり職場の中での、異常な高温下ということも十分職場の中であり得るわけでございますので、職場における、都道府県の労働局に対して的確な指導の指示や業界団体に対する取組の徹底を要請するというような、この主に三点が厚生労働省の取組です。
そしてさらに、この九月三日、非常に残暑が厳しい中で、特にお年寄りの熱中症にかかりやすい方に対して予防等に対して再度注意喚起をするというようなことを自治体に対して事務連絡をしたところでございます。
○田村智子君 予防法の周知だけではこういう被害を防ぐことはできません。事態はもっと深刻です。
共産党東京都議団の調べでは、熱中症による住居内での死亡者、九月六日までに二十三区で百三十人、そのうち分かっているだけでも五十五人の方がクーラーを持っていませんでした。
七月、東京豊島区で四十八歳の男性がクーラーも扇風機もない部屋で死亡した状態で発見されました。救急隊員が体温を測ると、死亡後数時間たっていたのに体温は四十度、意識がもうろうとしていたのか、携帯電話には番号にならない数字の発信記録が残っていたと新聞報道されています。この方は野宿生活から自立して清掃の仕事を頑張っていた、そういう方が暑さで命を落としてしまう。今年が特別に暑かったで終わらせるわけにはいきません。
経済的な事情でクーラーがない、壊れても買換えができない、この場合にどのような支援策がありますか。
○大臣政務官(山井和則君) お答え申し上げます。
全国の都道府県の社会福祉協議会が低所得者向けに生活福祉資金貸付制度というのを行っております。この制度におきましても、低所得者世帯が日常生活を送る上で一時的に必要と認められる経費も貸付対象とされているところでありまして、今年の夏のように猛暑が長期にわたり続いている状況を考えると、エアコン等冷房機器の購入や修理に伴う一時的出費も、地域によっては日常生活を送る上で一時的に必要な経費と認められ貸付対象経費となるものでございます。
○田村智子君 その制度が本当に知られていないんです。是非危機感を持って周知してください。また、返済は月々千円とか二千円ぐらいでよいとか、柔軟な対応をするよう各自治体に周知していただきたいと思います。
同時に、新たな支援策が必要ではないか、この検討をしていただきたいんです。その一つは、生活保護の夏季加算です。クーラーがあっても電気代が心配でつけられないという方が多数おられます。例えば、昼間はヘルパーさんがいる一時間だけヘルパーさんに申し訳ないからクーラーをつけた、あとは夜寝る前の二時間ぐらい、電気代は六月の二倍以上で五千円を超えてしまった、食費を削るしかないのかと気が重くなるという方がいました。電気代が心配でクーラーの設定温度は三十度という方もおられました。
暖房費がかさむ冬には冬季手当があるように、夏季手当を創設してほしいという要望も寄せられていますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今、厚生労働省の中にはナショナルミニマム研究会というのを政権交代後設置をいたしまして、国家が保障すべき最低限度の生活というのはどういうものなのか、いろいろなデータを公表して施策を打っております。
その議論の中で、今おっしゃっていただいたことについて二点をきちっと把握をして、どういうナショナルミニマムが必要か一度検討していきたいと思っております。その一つは、実際の夏の電力消費がどういう形に増加をしていくのかということを再度きちっと把握をしていこう、あるいは生活保護の世帯の方々のクーラーの保有率というのも正確にきちっと捕捉、把握をしていこうということを実行をしようというふうに考えているところでございます。そしてその後、全体の生活保護の在り方について、これは、冬季加算というのは今あるわけでありますので、そことの関連性も含めて検討をしていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 是非、低所得者同士を比べて結果を出すようなことはやめてほしい、本当に一般世帯の中での夏季の電力消費がどうなのかということも含めて検討していただきたいと思います。
生活保護の皆さんも、今でもおふろは三日に一回とか、食事は一日に二回しか取らないとか、そのおかずも納豆だけとか、もう限界まで生活費を切り詰めておられる方がおられますので、これ以上電気代のために節約しろというような冷たい方向が出ないようしていただきたいと思います。
ヨーロッパでは、二〇〇三年に猛暑に襲われ多数の死者を出してしまいました。その後すぐに低所得世帯の実態調査が行われ、クーラーの支給などの対策も取られました。
日本でも各地で自治体や医療機関などが独自の対策に乗り出しています。大阪府吹田市では、今年八月、四か所の消防署で会議室を二十四時間利用できる熱中症シェルターとしました。医療機関や介護事業者の皆さんも独自に心配な高齢者を訪問して、場合によっては病院の待合室で涼んでもらったり水を配ったりと、懸命の努力をしています。
厚生労働省としても、従来のやり方を超えた対策が必要です。熱中症シェルターの設置や訪問活動など、国としての財政的な支援も行って対策を講ずるべきではないでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今御指摘いただいたこの熱中症防止シェルター、まあ避難所でありますけれども、今環境省が指針を検討している最中でございまして、地域における活用などについて、それを受けて厚生労働省としても可能な協力をしていきたいというふうに考えておりまして、重要性は認識をしております。
○田村智子君 これで終わりますが、その環境省では、公的な住宅ではクーラーの設置を義務付けることも必要ではないかと、こういう検討も行われていますので、今大臣御答弁あったように、是非、夏季加算であるとか、あるいは低所得の方への見舞金、一時金など、是非踏み込んだ検討をしていただきたいと思います。終日三十度を超える日が続く中、クーラーもない部屋で耐えるしかないと、クーラー購入や電気代の支援もないと、これが今年の夏でした。涼しい場所の提供も含めて、是非これ続けていっていただきたいと思います。
私も、この質問を準備するに当たりまして、短い期間でしたけれども、実際に低所得の方々がどんなふうに夏を過ごされたかということでお聞きをしました。ある方は、もう人工透析を受けていて水分を取ることを制限されていると、それでもクーラーのない部屋に住まわれていると、これ九十歳の方なんです。こういう方に貸付金でお金借りてくれっていうふうに言えるのかということが今問われていると思うんですね。もう胸がつぶれるような現実が日本の社会に本当に広がってきています。政治の貧困が国民の貧困を広げてしまうと、こういうことが起こることは断じて許されません。
是非、今後も、地球温暖化に伴って、今年のような夏の暑さというのがこれで終わるわけではないと思います。これからは熱中症による死亡者は一人も出さないんだと、そのための新たな対策を強く求めて、質問を終わります。
○委員長(柳田稔君) お答えはいいですか。
○田村智子君 はい、いいです。