日本共産党 田村智子
コラム

【13.08.15】終戦の日 ニコニコ動画で生演説

戦死者を美化する安倍総理に物申す

参議院選挙から、ニコニコ動画への出演機会が急に増えました。
選挙中には、ネット街頭演説の生中継で、吉良よし子さんの応援演説。360度の電光掲示板に囲まれた空間に、リアルタイムで視聴者の書き込みがめまぐるしく流れて行く、すごい企画だなと驚きました。

同じやり方で、終戦記念日に主張したいことを1人10分で、という企画。
お立ち台に立った状態で、全身を映すカメラが、右へ左へと移動する、こういう場面では演説原稿を持つと不自然になってしまう、まさにぶっつけ本番状態です。

私は2番手。トップバッターは、軍事評論家、元自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄氏。
これはすごい組み合わせです。
出番待ちで、田母神氏の演説を聞いていると、アジアへの侵略戦争という考えは、中国などのでっち上げ、これは情報戦だという。妄想と言いたくなる内容です。
しかし、視聴者からは次々に支持する書き込みが。
いわゆる「ネット右翼」を含め、テレビでまず流れない主張に、待ってましたという人が少なくないのでしょう。
重石を飲み込んだような気持ちになります。

私の出番。この雰囲気に飲み込まれてなるものか。
だいたい次のようなことを話しました。

今日は立場の違いを越えて、戦争を起こさないということを誓う日だと思う。
ところが政府主催の戦没者追悼式典で、安倍総理は不戦の誓いを口にしなかった。アジアという言葉さえ出てこなかった。
それどころか、戦争をきれいごとにする言葉を並べていた。

ーー愛しいわが子や妻を思い、残していく父母に幸多かれ、ふるさとの山河よ緑なせと念じつつ、貴い命を捧げられたあなた方の犠牲の上に、今私たちが享受する平和と繁栄があります。
(安倍総理の式辞より)

日本兵の戦死者のうち6割以上が餓死だと言われている。
食べ物も持たせず、現地で奪い取れと命じて、餓死させた政治の責任をごまかすことは許されない。
日本には資源がないから、アジアへの侵略は権益のために止むを得ないことだったのか、とんでもない。
日本の炭鉱は、戦後に大量の石炭を産出していた。国内の作業を支える資源が枯渇していたのではない。
中国への侵攻を拡大するために大量の資源が必要となった。

戦争の犠牲があったから、日本の繁栄があるというのも、ごまかしだ。
技術者、芸術家、労働者、日本の産業と社会の担い手がたくさんいたはず。それを無残に戦死させたのではなかったか。
食糧も鍋釜も、戦争のために国内から奪い尽くした。
戦争がなければ、日本社会はもっと発展していたはず。

戦死者を靖国神社の神にして、侵略戦争をすすめた政治の責任をごまかすことは絶対に許されない。

戦争美化の政治家は、戦後も、アメリカの戦争や武力攻撃に一度として異議を唱えていない。
こういう政治家が、憲法変えて軍隊を持つと主張する。
戦争の準備ではなく、核兵器廃絶や戦争を起こさせないための努力こそ求められている。

あっという間の10分でした。
映画「少年H」のワンシーンが、思い浮かびました。
「玉音放送」を聞いた後、軍事教練用の銃を、戦争推進派の学生に取られないよう山に埋める。
その帰り道、家族を戦争で失った友人の姿に、H少年は叫びます。
「この戦争は何やったんや!」
この問いは、今日の日本の政治に突き刺さっています。

さて、この演説にどんな書き込みがあったか。
実は話している最中は見ないようにしていました。反論したくなるだろうし、そんなことしたら10分ではたりないし。
けれど、同行した秘書のIさんから送られてきた写真をみると、それはその通り、などの文字が見えます。
結構頑張ったのかな、私。

本当の論戦はこれからです。
世界から明らかに孤立する戦争美化の主張に、歴史の事実とともに、反戦平和の世界観を示していかなければ。
戦争を推進する政治の責任を問い続けていきます。