日本共産党 田村智子
コラム

【13.09.08】2020年五輪までに政治がやるべきこと

原発、ヘイトスピーチ、障害者施策の遅れ…

東京でのオリンピック開催が決まり、朝からニュースは興奮気味の報道が繰り返されました。
複雑な心境です。

一番の引っ掛かりは、福島第一原発をコントロールできていると豪語した安倍総理のスピーチです。
炉心がどうなっているかもわからず、汚染水は大量に漏れ続けているもとで、何をコントロールできているのか?
東京には汚染水は来ない、という意味ならば、断じて許せない発言です。

オリンピック召致が始まった時からの引っ掛かりは、東京外環、外環のその2、臨海部の新たな大規模開発の狙いです。
オリンピックが錦の御旗になって、住民の反対を抑え込む、それが危惧されるほど、マスコミ報道は過熱しています。

東京に建設資材や職人が集中したら、被災地復興の妨げにならないか。
そもそも、東京一極集中が問題になっている時に、さらに人も金も東京へ流れることにならないか。

首都圏直下地震の備えも含め、心配を始めるとキリがないほど、東京都のオリンピック招致には問題点がたくさんあります。
一番怖いのは、そういう問題点を口にすることがはばかられるような雰囲気が広がって行くことです。

これにどう立ち向かうか。
2020年東京オリンピックは決定した、ならば開催までにやるべきことを、真っ正面から提起して、都民、国民がつくりあげるオリンピックにしなければ。

原発事故。
安倍総理が責任をもって安全を保障すると約束したのですから、これまでの延長線は許されません。
復興を掲げるオリンピックですから、福島はどうあれ東京は安全、などという政策は絶対に認められません。
国が事故収束を直轄で行うことこそ必要でしょう。
東京電力が、汚染水対策もまとまな予算を組んでいなかったことは明らか。
労働者多重請負の過程でピンハネが横行。原発で働いたこともない、ネジをボルトで閉めたこともないという人も借り集められている実態があります。
被曝線量の管理も、ベテラン労働者が線量上限を超えてしまうことのないように、国が責任を持つべきです。

公共事業。
これが問題です。被災地復興の妨げにならない規模で行うこと、競技をする上で必要なものと、オリンピックに乗じて進めようとしている事業を見極めなければなりません。
選手村など一時的に必要とした建物をその後、どのように活用するか。
高齢者、障がい者、若者など、住宅弱者が利用できる後利用も視野に入れるべきではないのか。
足りなすぎる、都営住宅、グループホーム、特養ホームなどに使うことはできないか、今から問題提起してはどうか。

オリンピア精神。
ヘイトスピーチが東京の街で続いていて良いのか。
他国や他民族への憎しみや蔑みに、オリンピック開催都市の代表として、都知事が本気になって思想的に立ち向かうべきです。
東アジアの緊張を平和的に解決するメッセージや、都市外交を展開すべきでしょう。

パラリンピック開催都市として。
公共機関のバリアフリーのみならず、心のバリアをなくす努力も必要です。
特別支援学校が劣悪な教育条件をどうするのか。
障がい者の雇用や社会参加をどうすすめるのか。
街の中に当たり前に障がい者の方の姿がある、こういう街づくりをどうすすめるのか。

2020年までの7年間、やるべきことは山積みです。
ことらも、オリンピック開催が決まっているのだからと、攻勢的に東京都や国に迫る気概が必要でしょう。
お祭騒ぎで、気がついたら、大規模開発ばかりがすすんだ、こんなことにさせるわけにはいきません。
開催決定を覚めた目で見ているわけにもいきません。
さあ、私たちにもやるべきことが山積みです。