日本共産党 田村智子
コラム

【13.05.16】橋下徹氏の個人的見解ではすまされない

超党派の女性議員で怒りの記者会見

 
記者会見場として案内した参議院会館の会議室、テレビカメラも入り、記者のみなさんが多数集まりました。
やはり国民の関心、怒りはおさまっていない、それを反映しての集まりだと実感します。

超党派の女性国会議員で記者会見を、という動きは、沖縄選出の無所属の参院議員、糸数慶子さんから始まりました。
こういう行動をするとき、何かいわゆる政局問題で、党派間の争いのように受け取られては、私たちの意図がゆがめられてしまいます。
沖縄の怒りを超党派の立場で伝えてきた糸数議員が、最初の声をあげていただいた。女性議員の一人として、感謝と連帯の思いでいっぱいです。

記者会見に参加した議員がみんな、前代未聞の暴言に率直な怒りをぶつけました。
ひとり1分半以内で、という打ち合わせなので、私も言いたいことをしぼって発言。

「戦争と軍隊に慰安婦は必要」「なぜ日本だけが批判されるのか」
元慰安婦の方々の苦しみも、侵略戦争の重大さも理解しない、公人として許されない発言。

「沖縄の米軍は風俗産業をもっと利用して」
これは、米軍の性犯罪は、性のはけ口がないことが原因というに等しい暴言だ。

このような発言を二日間にわたって発信し続けたにも関わらず、維新の会のみなさんが「個人の問題」というのならば、政党の存在が問われることになる。

取材していた記者からの質問もいくつか出ました。
どういう経緯での会見か、今後も共同で行動するのか(今回は記者会見のための共同です)、集まった議員以外にも賛同者がいるか(委員会などで出席できない議員が何人もいました。共産党ももちろん、高橋千鶴子衆院議員、紙智子参院議員は賛同しています)等々。

NHKの記者は「今回の発言は、高市早苗 自民党政務調査会長の発言についての質問に答えたもの。そのあたりはどう見ているのか」

安倍総理が披露する「歴史認識」、閣僚の靖国参拝など、この間の自民党の暴走のなかで起きていることは間違いなく、そのことを指摘する発言が続きました。
私も手をあげて、二点について意見を述べました。
一つは、橋下氏の発言はより重大で、この間の閣僚の発言とは次元が違うものだということ。だからこそ、自民党や公明党の議員にもよびかけたし、与党の議員も心情的には同じという議員がいるということ。
二つに、安倍総理の「慰安婦は強制ではなかった」という発言などが、橋下氏の発言の呼び水になったことは間違いない。
また、安倍総理は、その後の国会論戦や世論を受けて、今はこの発言をできなくなっている。国会で問われると、慰安婦問題についても、「歴代内閣の見解をひきつぐ」と言わざるをえないということも見ておく必要がある。

侵略戦争を「侵略」と明言せず、日本軍慰安婦は「強制ではなかった」と主張する。
この「歴史観」の本質を、ある意味、橋下氏の発言は示したのかもしれません。
だから、安倍総理は橋下氏の見解に「個人の考え」などという、甘いことしか言えないとみることもできます。

この会見から1時間後、議員会館の前で女性団体のみなさんが、緊急の抗議を行っていました。
私も激励に駆けつけて、今日の会見の様子を伝えたうえで、「男性もぜひ怒りの声をあげてほしい」とよびかけました。
「男には性のはけ口が必要だ」と開き直っているのです。
これは「性のはけ口」として女性をみる、恐るべき人権意識の欠落した意見ですが、同時に、男性の理性をも著しく貶めているのではないか。

ここまで発言を繰り返せば、もはや「撤回」などできません。
ならば、どのように責任をとるのか。橋下氏と維新の会につきつけていきましょう。