日本共産党 田村智子
コラム

【13.03.22】入所不承諾は約1200人でも待機児童は52人?!

認可保育所増設を遅らせた国の責任は重大

3月21日の厚生労働委員会、TPP問題の質問に続けて、保育所待機児童の問題をとりあげました。
候補者時代からずっと、「厚生労働省につきつけたい」と思い続けた1問。
待機児童数のカウントをごまかすな!

私が国会議員の秘書として働いていたとき、小泉内閣が「待機児童ゼロ」を華々しく掲げました。
ところが、「構造改革」の名のもとに行われたのは、公立保育所への国庫補助金の廃止(三位一体で地方交付税措置に)、定員超を4月当初から認める規制緩和、そして、認可外での保育を受ければ待機児童数に入れないという待機児童の定義変更。

待機児童の定義を変えることに、党議員団は猛烈に抗議しました。
保育関係者も猛反発しました。
これらの意見を受けて、厚生労働省は「従来の待機児童数と、新定義の待機児童数を両方公表する」ことを約束していました。
ところが、今や、申し込んでも入れなかった児童数を厚生労働省は集約することさえやめてしまったのです。

同じ時期、東京都では「認証保育制度」を華々しく打ち上げ、これが待機児童解決策であるかのように自治体に「認証増設」を求めました。
お庭がなくてもよい、面積基準、保育士配置基準も認可基準を下回る、株式会社が参入して利益を配当金にまわしてもよい――企業参入と安上がり保育に、待機児童問題の解決をゆだねるかのようなやり方、これが急激に東京都内に広がりました。

私はこの頃(2003年〜2005年)、足立区で国政候補者として活動していました。
党区議団が、認可保育所の増設を区に迫っても「認可はつくらない、増設するのは認証」と、開き直りともいえる態度表明が繰り返されたことを鮮明に覚えています。
(ちなみに、足立区は土地が足りないということはありません。同じ時期、大規模工場跡地の利用が検討されていたのですから。)

認可を増やさず、認可外保育を受けられれば待機児童にもカウントしない。
このやり方が10年スパンで続けられた、この矛盾がこの数年の間に爆発的に表面化したともいえるでしょう。
お母さんたちが行政不服審査法に基づく、入所不承諾への不服申し立てに立ち上がった杉並区。
2012年度4月1日の待機児童数は52人と発表されました。
これをみれば、規模の小さい認証保育があと何か所かできれば足りる、と言われれば「そうかな」と思ってしまう。
ところが認可保育所の入所申し込みが不承諾となった児童数は1200人近かったのです。

もちろん、認可外保育や保育ママさんの果たしてきた役割は大きいです。
私自身、子ども2人とも0〜2歳まで、認可外の家庭的な保育所でお世話になったことを、今でもとてもよかったと思っています。

しかし、認可保育所への申し込みが増え続けているのに、認可保育所をつくらずに済ませてきたこの間の保育施策には、大きな怒りを禁じえません。
この2〜3年、東京都は「待機児童数は減っている」と発表。しかし、2010年度〜2012年で、申し込んでも入れなかった人数は2000人も増えているのです。

やむにやまれない思いで、集団での不服申し立てに立ち上がったお母さんたち。
この行動が、やっと待機児童の深刻さを国にも認めさせることになりました。
お母さんたちの声に行政がどうこたえるか。

委員会質疑では、田村憲久大臣が私の主張を事実上認める答弁をしました。
「認可保育所に入れないということに対して大変な憤りを感じておられるということでございますから、ぜひとも、東京都を含めまして認可保育所の整備、これをご協力いただきたい」
「待機児童の換算の仕方事態が今のままだと正確な数字をつかめていないということでございますから、新しい制度においてはより正しい数字をつかめるような、そんな努力をしてまいりたい」

つかえる答弁は大いにつかう。
国にも東京都にも、この間の易きに流れた保育施策の誤りを反省してもらいましょう。
そして、子どもの命と安全、豊かな育ちを保障する保育施策を、今度こそ実現させましょう。