コラム
【12.11.29】視覚障害者の方々が「ラジオでテレビを聴く」ために
「日常生活用具の対象にできる」――厚労省が自治体への周知を約束
衆議院が解散したもとで、現職国会議員&東京在住者として、解散後も平日は連日、議員会館での仕事があります。
29日は視覚障害者のみなさんと一緒に、地上デジタル放送対応ラジオについて、厚生労働省の担当官と話をしました。
地デジ移行で、山間部などテレビが見えなくなる地域、テレビ購入が困難な低所得世帯など、支援策がいくつかとられました。
ところが、視覚障害者のみなさんは取り残されていたのです。
地デジ対応のラジオが製品化される前に、完全移行が行なわれ、ラジオからテレビの音声を聴くことはできなくなりました。
その時のことを、「テレビがとりあげられたととても寂しく感じた」というYさん。
この秋、やっと地デジ対応型のラジオが製品化されました。
点字でガイドブックを用意している機種、日本点字図書館の検証でももっとも障害者の使い勝手がよいと評価されている機種、2万円を大きく超える価格。
「生活必需品として購入の支援をしてほしい」――国の政策によってラジオでテレビが聴けなくなったのですから、これは当然の要求です。
厚生労働省は、障害者自立支援法に定める日常生活用具として購入費用の一定額を給付することは可能、という見解を明確に示しました。
何を日常生活用具とするかは、各自治体が決めています。すでに給付対象にしている自治体も数は少なくともあるようです。
住んでいる場所で差がでないようにと、あらためて求めました。
自治体の担当者を集めた会議で、地デジ対応ラジオ製品の文書も示して、厚生労働省の見解を伝えるとのこと。
視覚障害者のみなさんは、地デジ移行の何年も前から、「ラジオでテレビが聴けなくなる。なんらかの対策を」と求め続けていました。
地デジ化を担当する総務省は「製品がないので、経済産業省に要請を」といい、経産省は「それは総務省だ」というなどたらいまわしにされたそうです。
政府も製品化を大手電機メーカーに打診したけれど、けんもほろろの対応だったようです。
「対応機種の製品化と普及がすすんでからの完全移行」ということが、なぜできなかったのか。
要望が出されていながら、なぜ製品化がこんなに遅れたのか。
社会的障壁をとりのぞくというもんだい意識を、議員も、行政もつねに持ち続けていかなければなりません。