日本共産党 田村智子
コラム

【12.11.19】障害者の暮らしの場をつくるために

東京大集会で党代表の意見表明

突然の解散・総選挙、相次ぐ政党からの離脱者…。
市民団体が主催する様々な集会にも影響を与えています。

「暮らしの場の整備と本人修身のサービス利用計画を」〜第7回東京大集会。
東京都社会福祉協議会知的発達障害部会など4団体の主催で行われましたが、民主党から参加の国会議員が突然離党(都議会議員に変更)。
自民・公明は、直前まで衆議院議員=総選挙の予定候補者が参加のため途中で退席。
国会議員で落ち着いて参加できたのは私だけ。
日本にはやはり2院制が必要です。

障害者のみなさんが地域のなかで暮らせるように、「グループホームやケアホームをもっと整備してほしい」――集会のなかでダウン症の女性など当事者の方からも発言がありました。
発言の内容は、支援する方が援助はしても、言いたいことを自由に発言してほしいという主旨が貫かれています。
知的障害者・発達障害者の方がどうやって自分の意思を示すか、意志形成の過程から支援を大切にしてきたみなさんならではの企画です。

ある男性の方は、グループホームを「お試しさせてほしい」と話されました。
自身、グループホームで生活してみて「自分には合わない。都営住宅に1人で住みたい」と発言。
要求を型にはめない集会の運営に、とても共感しました。

政党の代表として20分+コーディネーターからの質問にこたえて5分。
事前に主催者からお話をお聞きし、厚生労働省からも説明をうけて発言を準備しました。
東京はグループホーム、ケアホームとも整備の遅れが顕著です。
その理由は、土地の高さ、家賃の高さ。これは特養ホームや保育所整備の遅れと同じ要因です。

そこで思い切って、未活用の国有地を利用するという政策を提起しました。
これは、小池晃さんが2010年に保育所・特養待機者の解決策として政府に提案したもの。
この提起が、東京都の福祉担当の部局からも大変歓迎されて、世田谷区では国有地への特養ホーム建設2か所が実現しています。

国有地というまとまった土地だけでなく、たとえば遺産相続の際に相続税が払えず国に土地を物納するという場合があります。
住宅地の戸建ての土地は、特養や保育所には狭い、民間デベロッパーも活用しにくい、そのまま塩漬けという場合が少なくないと聞きます。
グループホーム、ケアホームは、戸建て住宅が基本ですから、これは最適の土地になりえます。

この問題提起は主催者のみなさんには、新鮮だったようです。
その後の質問も、「どうやって特養ホームに利用したのか」という具体的なものでした。
特養も保育所も、自治体は待機者をどうするかが課題になっていて、自治体や地方議会が国有地の活用という問題に意識的にとりくんでいます。

しかし、障害者のみなさんは、現在、親と同居、都外を含めて施設に入所であれば「待機者」として顕在化しません。ここにとりくみの違いがあるように思えます。
一方で、自治体はそれぞれ障害者施設の増設計画を持っている。
特養や保育所と同じように、国に国有地の情報開示をもとめ、グループホームなどに活用できるよう自治体と社会福祉法人が協力してとりくむことが必要だと思います。

主催者の方から事前に説明を受けて、私も認識をあらためましたが、都外の施設での生活を余儀なくされている障害者は急増しています。
中でも、東京都が関与している施設ではなく、民間の施設の空きを自治体がつかみ、個別に入所した事例が深刻だというのです。

東京都の施設として都外にある入所施設は、家族が訪問するための交通費の補助があったり、家族や行政の福祉担当者との交流が定期的に保証されるようになっている。
ところが、1人だけ、長崎とか北海道の施設に入所すると、家族も訪問が難しく、孤立した生活になりかねない。
このように「任意」扱いで生活している東京の障害者は1800人規模。
これでは「棄民」ではないのか。

障害者基本法が制定され、障害者総合支援法が自立支援法の出直しとしてスタートする。
それで現実がどう変わるのかが問われています。
国有地活用、提案したからには、私もその実現に、当時者のみなさんといっしょにとりくもうと決意しています。