コラム
【12.10.22】シャープのリストラ 労働局は指導を
奈良・広島のみなさんと厚労省に要望
10月19日の行政監視委員会で、復興予算がリストラ進行中の大企業にも補助金として流し込まれていることをとりあげました。
名前をあげて指摘したのは、シャープ。
奈良県天理市の工場など、複数の事業所で国内立地推進補助金を受けることになっています。
補助金を受ける天理市と亀山市の工場で新技術の製品化を計画、ここに事業を集中するために全国的なリストラを開始。
リストラの手法は、これまで何度も問題にしてきた希望退職の募集。説明・面談と称して退職強要も始まっていると思われます。
この質問は、委員会開会が決まったのが突然で、情報を集めながら調べながら時間との勝負で準備をしました。
シャープの名前をあげることも質問前日の夜決めました。
そのため、工場がある地域の党組織にも質問のお知らせをしていませんでした。
ところが時を同じくして、奈良県・広島県の共産党からの要望で、シャープのリストラについて厚生労働省の見解を聞くという場を、山下よしき議員がつくっていたのです。
なんというタイミング! 私も急きょ、同席させてもらうことにしました。
今、現場で何が起きているのか、奈良県では葛城工場が撤退になるのではないかという情報も流れているそうです。
1065人の従業員をかかえる工場。市の雇用状況だけでなく、経済や財政にも大きな影響をあたえるだけに、市や市議会も工場の縮小や撤退の計画がどうなのか、説明するよう何度も求めているとのこと。
ところが、「工場には責任ある立場の者がいない」と、説明は全くない。
広島では、11月からの希望退職の募集と説明しながら、すでに退職届を手渡しての面談が始まっているといいます。
リストラはやりたい放題が認められているわけではありません。
30人以上の雇用変動(退職や整理解雇など)を計画している場合、最初の離職者がでる1カ月前までに「大量雇用変動届」をハローワークに提出すること、また離職者への再就職支援計画を持つことが義務づけられています。
ところが、希望退職を説明するリーフレットには、再就職の情報として、人材派遣会社パソナとリクルートの連絡先が書かれているだけ。
これには厚生労働省も驚きを隠せませんでした。
山下よしき議員、前参議院議員の仁比聡平さんも、そして私も、今こそ厚生労働省が決意を示す時だと迫りました。
リーマンショック後の「派遣切り」に対しては、厚生労働省は通達を出して、労働者の権利を少しでも守るよう少なくとも動きをつくりました。企業向けに労働法制にや解雇問題などでの裁判例を説明するパンフレットもつくりました。
「電機リストラがこれだけ問題になっている時に、新たな通知をなぜ出せないのか」
「労働者が退職強要を相談に行った時、どういう対応をするのか」
「人権無視の退職強要が現に行われていて、労働局が企業への啓発指導をしても事態が変わっていない。どう変えるのかを考えるべき」
法律の限界があるのは百も承知です。
労働契約(退職や解雇も労働契約そのものです)は、民間と民間の契約であって行政は立ち入れない。人権侵害や解雇権の乱用などにあたるかどうかは、裁判によって判断される――この労働契約法自体に大きな問題があることも。
それでも、あきらめるわけにはいかない。政治を動かさなければならない。
現場のたたかいの大切さ、現場と結んだ国会でのたたかいの大切さ。
リストラ問題にとりくむなかで、何度も実感しています。
経済産業省にも、補助金の目的は「雇用創出」ではないのかと迫っていこうと、私達も知恵もつくし作戦ねって、大企業のやりたい放題に立ち向かっていきます。