日本共産党 田村智子
コラム

【12.09.01】東電からの「自立」の道は険しい…

我が家の太陽光発電事情

狭い敷地の3階建て、南向きのベランダからは強烈な日差し。
10年ほど前に建てた我が家は、毎年夏になると、子どもたちが使う3階は日中サウナのようになります。

毎年のように猛暑が続き、これだけ日当たりがいいのなら、うちでも太陽光発電がガンガンできるのでは…と、何度か考えていました。
東電の原発事故、火力発電を復活させたことを理由に電気料金の値上げ、新たな「安全神話」でまだ原発にしがみつこうとする経済界と政府――「太陽光発電をいまやらずして、いつやるか」という思いが、今年に入ってからむくむくと頭をもたげていました。

というわけで、何カ月か前に、いくつかの業者に見積もり依頼をしてみました。
こんなに日当たりがいいんだからと、期待しながら。
ところが…結果は意外なものでした。「採算がとれる見込みが薄い」というのです。

私も、初めてまじまじと家の図面をみました。
屋根は、南側の傾斜の部分が少なく、ほとんどが北側に傾斜する構造だったのです。
そのうえ、デザイン性のためだけに南側の屋根の真ん中にアーチ状の突起物がついているのです。
(新築当時、まだ保育園児だった娘に「あれは何?」と聞かれて、「小人さんの家がついているんだよ」などと暢気に応えていたのですよね…)

太陽光パネルが南側にはほとんど設置できない、北側でも発電はできるが当然発電量は落ちる。
「経費−補助金」と「節約できる電気料金+売電料金」の差し引きがおもわしくない、というのです。
こんなに、こんなにお日様が当たっているのに!

日本の住宅建設が、自家発電など度外視して行われてきたことの証明かと、考えさせられました。
設計過程で「太陽光発電は?」と、ちらりとは考えました。けれど今ほどの問題意識もありませんでしたし、夫婦とも収入はあまり多くはありませんでしたから、具体的な話にはしませんでした。
将来の自家発電の可能性を考えた設計が当たり前になっていれば、こんなことにはならなかったでしょう。
同じような経験をしている方は少なくないのでは?

あきらめがなかなかつかず、屋根のアーチを外すことはできないか、ベランダの壁に設置する方法はないか、ベランダに物置を置いてその上にパネルをつけるのはどうか、北側も雪国対応のように角度をつけたパネル設置はできないか…など、業者の方に色々注文をつけて調べてもらいましたが、どれも現時点では得策ではないこともわかりました。

「採算とれる」という業者の見積もりをみると、値引き額が大きいからだとわかりました。
公契約の運動や「まともな賃金を」と主張している身には、なんだか切ない見積もりです。

さあ、どうするか。
採算だけじゃないんだよな。
「東電からの自立」に道を開きたい、これは我が家の原子力発電への決別の一歩でもある。
おおげさですが、それが「太陽光発電を」という考えの一番土台にある気持ちなんですよね。