日本共産党 田村智子
コラム

【12.06.12】市街地での軍事訓練に抗議の宣伝

迷彩色の自衛隊が都内を行進

 
朝8時、板橋区の西台駅に到着すると、横断幕、プラカードをもったみなさんがずらりと並んでいました。
防衛省に中止を求め続けてきた自衛隊レンジャー訓練、とうとう実施日を迎えたのです。

これまで様々な行動にとりくんできた市民のみなさんが、次々にマイクを握り、あらためて市街地での訓練の中止を求め、抗議の意思を示しました。
区外から駆けつけた、私と宮本徹さん(衆議院東京ブロック予定候補)も、この間の防衛省との攻防、レンジャー訓練の内容も紹介しながら、市民のみなさんに訴えました。

「災害支援ありがとう でも市街地での軍事訓練はやめて」
「その銃を誰に向けるのですか」
それぞれの思いをこめた宣伝物、数十人のただならぬ気迫の宣伝に町を行く人も注目し、心配そうにビラを読む女性の姿もみられました。

マイクで話をする女性も、「こんな訓練が行われるのはとても不安で、今でも涙が出そう」と震える声で訴えていました。その気持ち、私と同じです。
なぜこんな訓練をするのか、軍服で戦闘モードの若者たちが行進するのが当たり前の時代になんてするわけにはいかない――そう思うと怒りと悔しさで涙がこみあげるのです。

 
これまで私達が防衛省と丁々発止のやりとりをし、訓練中止を要請したことは決して無駄ではありませんでした。
6月に入って、陸上自衛隊が住民説明会を2回開催。
市街地を行進する人数は、30人からしぼりこみ17人とする。
2列縦隊での行進はやめて1列にする。
市民の安全確保のために、レンジャー隊以外の自衛隊員が同行する。
ルートは、商店街をさけて自衛官の官舎脇を通る。
など、当初計画が変更されていることも、宣伝の中で報告されました。

住民説明会では、市民からは疑問や意見が何点も出されたそうです。
「災害対応の訓練ならば、なぜ銃剣を持って行進するのか」という質問のなかで、この訓練が災害対応ではなく、市街地行進の訓練であると、陸上自衛隊も認めざるをえなかったそうです。

冷たい雨が今にも降り出しそうな中、1時間以上、駅前に立ち続けての宣伝。
9時には、私は国会に向けて出発しなければなりません。
レンジャー部隊がどのように行進するのか見届けなければと思いながら、みなさんを激励して私は駅に向かいました。
その直前、荒川土手で監視・抗議行動をしているみなさんから、「トラックでレンジャー隊員が到着した」との連絡が入りました。
ヘリコプターで東富士演習場から移送され、上陸作戦まがいの訓練で荒川土手に降り立つと聞いていたので、ここでも変更がなされたようです。

国会での日程の合間、昼休みに、訓練の様子を私の事務所のスタッフに確認。
写真もメールで送られてきました。
行進は、3人のレンジャー隊員+警備の自衛隊員2人+指令を出す教官 で、かなりの間隔をとって行われたようです。
写真には、これまでのレンジャー訓練との違いがはっきりあらわれていました。
手に銃剣を持っていない。(肩にかついでの行進だったように見えます。)

写真からは疲労困憊、意識も朦朧としているような隊員の様子が伝わります。
「目はうつろ、ふらふらになって歩いている隊員もいた」とのこと。
この訓練がいかに非人道的なものかに怒りがわきます。

練馬駐屯地近くでは、散歩中の保育園児と避けようもなく遭遇したそうです。
子どもたちは、突然あらわれた黒塗りの異様な集団に驚いて、「こわいよ〜」と保育士さんにしがみつく姿もあったそうです。
恐れていたことが起きてしまいました。感受性の強い子どもたちが、子どもたちの目線からこの訓練を突然みせられたら、すれ違うようにして歩いたら、一体どんな思いが胸に刻まれたか…。

こんな訓練がどうして日本を守ることにつながるのか。
自衛隊は今、「動的防衛」を標榜して、まるでイラク戦争やアフガン攻撃と同じような訓練を繰り返しています。
日本や東アジアの平和は、軍事によってもたらせるのか、それとも外交力によってつくられるのか。
この訓練強行を契機に、ぜひ多くの国民のみなさんと考えあいたい。
もちろん、国会では、こうした論戦で、こうした訓練の目的を暴こうじゃありませんか。

 
(ジャーナリストの斎藤貴男さんが、私たちの宣伝に飛び入りでマイクを握ってくださいました。といっても私は、国会に向かう電車の中で、メールでこのことを知ったのですが。今回の訓練に黙っているわけにはいかない、という連帯の広がりを感じます。)