日本共産党 田村智子
コラム

【12.06.06】就活シンポ(5月27日)を振り返る

情報化時代なればこその新たな問題も

今朝(6月6日)の朝日新聞の「リレーおぴにおん」に、つい最近お会いした大学教授が登場していました。
法政大学キャリアデザイン学部長 児美川孝一郎さん。
5月27日の「就活シンポ4」のパネラーとしてご一緒した方です。

私は、国会議員として政治の責任を話す役割。
非正規雇用を規制するルールが必要、というのが、発言の柱でしたが、それだけでは今まさに就活で苦悩する学生たちの思いにこたえることはできません。
発言の準備過程でも、「正解」がすぱっと見えるわけではない課題に、思い悩みました。

児美川さんは短い時間の発言のなかで、「大企業に就職することが、本当に人生を豊かにする道なのか」と率直な問題提起をされていました。
大企業といえども、20年、30年と存在し続けるかどうかもわからない時代、自分はどういう人生を送るのかを、可能性を狭めずに考えてほしい…。

大企業と比べて給料が安くても、中小企業には大企業とは違う働きがいがあるかもしれない。
故郷にもどって就職して、自然豊かな環境で、生まれ育った時からの人のつながりを大切に生きるという選択もある。

お話を聞きながら、そういえば私も大学入学するときには、卒業したら実家に帰ると心に決めていたよなと、思い出しました。
そういう人生もありえた、と思うのです。

もう1人のパネラーは、斉藤一隆さん(中小企業家同友会 全国協議会主任事務局長)。ナンバーワンの仕事をしている中小企業がいくつもあることを紹介。
私も、大量生産・大量流通を主に担う大企業に対して、中小企業はオンリーワンの仕事ができることを強調しました。

大企業が正規雇用を抑えに抑え、非正規雇用の比率を増やす、これが日本社会にとって大きな負の影響を与えている。
企業の善意に期待するのではなく、一律に規制をかけて、正規から非正規への置き換えに歯止めをかけなければなりません。

同時に、日本経済の主役は中小企業、という事実に、もっと目をむけるべきでしょう。
学生が、というよりも、政治が中小企業の役割と力にもっと注目するならば、日本の経済、就職活動、今とは違ったものになる可能性があると思うのです。

大企業中心の就職活動が、何をもたらしているか。
今は情報化時代。名前の知られた企業には、インターネットからのエントリーも集中する。
数十名〜100名くらいの募集に、何千人という学生がエントリーする、学生1人が数十〜100社にエントリーする、これは企業、学生、双方に弊害は明らかです。

エントリシートも、私が学生時代には考えられないシステムです。
何枚も何十枚も、手書きで、自分の長所短所や就職を希望するのがなぜかなど、自己評価・自己PRを書き続ける。
学生もそれを読む企業も労力が大きすぎるし、このことがむしろ視野を狭めたり、就職後に理想と現実のギャップを不必要に大きくしていると、問題点を指摘する意見もあります。

学生、企業、大学が、今の「就活」の弊害を率直に問題提起する場がもっと必要ではないか。
こういうシンポジウムが、大学で行なわれてもいいのでは。

学生たちが自ら実行委員会をつくり、こうしてシンポジウムの回を重ねていることが、とても心強く思えます。
「就活」の弊害を白日の下にさらし、一歩でも二歩でも改善させる――その一助になれるようがんばりましょう。