コラム
【12.05.24】米軍からの訓練通告はメールだけ!
防衛省・外務省の説明で明らかに
米軍厚木基地での突然の離着陸訓練(5月22〜24日)。
昨日、現地調査に出かける直前、防衛省と外務省に「なぜこんな事態になったのか、明日私の事務所に来て説明をしてほしい」と求めました。
夕方5時、防衛省と外務省の役人が神妙な面持ちで私の事務所に来ました。
現場で騒音のひどさを体感してきただけに、私も厳しい姿勢で説明を求めました。
まずは、訓練の通知が当日になった事実経過の説明。
神奈川県、東京都、基地周辺の自治体に、防衛省から訓練実施が伝えられたのは22日朝、その直後に轟音が町を襲ったのです。なぜこんな傍若無人の事態になったのか。
防衛省地方協力局の説明に驚愕しました。
米軍から防衛省への連絡は、前日5月21日の午後9時頃。
「どのように連絡がきたのですか」と確認すると、「メールです」!!
連絡メールに署名入りの文書が添付されていたそうです。
あわてて防衛省から米軍に連絡をとり、事実確認をした時点で、すでに自治体とは連絡がとれない深夜の時間。
翌朝、自治体に電話で連絡がついたのは22日朝8時半頃。
訓練開始予告の9時までわずかの時間となり、中止要請をすることも許さず訓練が始まったのです。
メール一本の通告で、戦闘機が3日間、市街地を飛び続けるとは…。
驚愕と屈辱感と、煮えたぎるような怒りを抑えられません。
この事実経過の中で、もう1点、ただしておかなければならないことがありました。
防衛省から関係自治体に出された通知は、訓練時間を「9時から20時」と記しています。
訓練の状況で20時を過ぎることがあるとの但し書きが付されています。
ところが、在日米海軍のホームページには、「AM9〜PM10」と訓練時間を記しているのです。
「訓練時間を正確に自治体に伝えたのか」と厳しく問いただすと、防衛省には20時までという通知だったとの説明。
ホームページの記載は知らなかった様子。
「いったいどういうことなのか、米軍に確認して、厳しく抗議すべきだ」と求めました。
こんな異常事態に対して、日本政府として米軍に何も言わないのか。
防衛省地方協力局の課長が22日に文書で、住民への影響が非常に大きいことを伝え、十分な配慮を要請したとのこと。
「課長レベルの話なのか」と問いただすと、「23日には局長が、厚木基地の司令官に要請した。司令官は特別の配慮をすると言明した」とのこと。
「特別の配慮とは何か、23日には前日よりも遅い時間まで訓練が続いていたではないか」
「配慮」の一言で終わらせるわけにはいきません。
防衛省も苦情電話がなり続けているとのこと。
22日はつながった電話が300件以上、23日は約460件。通話がつながらなかった電話も相当数あるでしょう。
「住民の皆様の叫び、苦しみは、私たちもよくわかります」と、ひたすら低姿勢の防衛省。
そもそも、なぜ突然の離着陸訓練が強行されたのか。
原因は、原子力空母ジョージ・ワシントンが、横須賀の基地を出航できなくなったからです。
「22日朝、横須賀を出航する」と外務省に通知されていたのに、21日夜8時に「出航できなくなった」と連絡が入った。
ジョージ・ワシントンには戦闘機が多数配備されています。
パイロットは空母への着陸技術を常に身につけるため、離発着訓練の間隔を10日以上あけてはならないという米軍のルールがあります。
横須賀を出て、洋上で離着陸をすることで間隔をおかないはずが、空母が洋上に出られなくなった、そこで厚木で訓練することにした。
この経過にも重大な問題が含まれています。
原子炉をエネルギー源とするジョージ・ワシントンにどのようなトラブルが発生したのか。
これは外務省が窓口。説明を求めると、「原子炉のトラブルではない」というだけ。
何が原因かは「この場では、運用上の問題としかお答えできません」と繰り返すだけ。
説明を聞けば聞くほどに、ことの重大さが明らかになります。
この怒りをどこに持っていけばいいのか。
神奈川県知事も、地元の自治体首長も怒り心頭で、調査と要請を繰り返しています。
日本政府は、防衛省の担当者任せ、外務省の担当者任せにするつもりなのか。
だから「なめられる」のです。
日本政府が、米軍に毅然と抗議し訓練の中止を求める、そうしなければ国民の怒りは米軍には届きません。
日米同盟は同盟などではない、アメリカへの従属を強いられているだけ。
こんな政治はもう終わりにするときです。
(最初のコラムのアップで日付を一日間違えた記述になっていました。申し訳ありません。訂正しました。)