日本共産党 田村智子
コラム

【12.05.21】私も見ました!金冠日食

持つべきものは「ご近所さん」

朝、起きてすぐに空を確認。薄く雲はあるものの陽が射しています。
よし、これなら大丈夫!
いつもより早めに、お弁当と朝食の準備をして、スープに牛乳を入れて出来上がり。
けれど「牛乳、コーヒーに入れる分がない」、戸棚をみるとパンもない。
急いで近所のコンビニに向かいました。

家を出ると目の前に、近所のおじさん。日食グラスで太陽を見上げています。
「おう、始まったぞ」
「もう、だいぶ欠けていますか?」
「ほら、見てごらん」と日食グラスを渡されました。
見上げると、右上が丸くかわいく欠けた太陽。
「わあ、本当に良く見えますね」

これは急がなければと、歩いて3分の店まで自転車で往復、まだ布団の中の娘をたたき起こしました。
今日は土曜日の体育祭の振り替え休み、起こさなければ日食が終わるまで寝ているでしょう。

日食グラスを買わなければと思いつつ、粗悪品があるという情報もあって心配になり、気がつけば今日になり、ピンホール方式で見てみようと思っていたのです。
小さな丸い穴をあけた紙を用意して、穴を通して壁などに映る太陽を見る。
ところが、うまくいきません。雲がかかっているためか、どうやっても丸い光が映るだけ…。

ベランダから通りを見ると、ご近所の方が何人か日食グラスで空を見上げています。
ここは、ご近所さんのお力に頼るしかない!
「外に出れば、さっきのおじさんみたいに、ほら見てみなと、声をかけてもらえるかも」――すみません、厚かましくて。でも、歴史的な瞬間を見逃すわけにはいかないのです。

まず躊躇する娘をつれて、空を見上げているご近所さんのそばへ。
けげんな顔をされてしまいましたが、「すみません、ちょっと見せてもらえませんか?」とお願いすると、ああ、という表情。
この時点で三日月型に。娘も初めて見る太陽の姿に驚いた様子。

もう一度、家に戻り、朝食をかきこみ、もう一度ピンホールを試してみましたが、やはりうまく映りません。
いよいよ金冠日食が近づいてくる、よし、みんなで外に行くぞ!

私の家の前は、車がほとんど通らない東西にのびた1車線道路。
さえぎるものなく太陽がみえるので、この時間になるとあちこちに数人ずつかたまって、順番に日食グラスを使っています。

朝一番に出会ったおじさん、私が三度外に出るとすぐに、「ほらもうすぐだから、早く」と手まねしてくれました。
この方、他のご近所さんにも「ほら、みてみろ。もう生きているうちは見れないぞ」と、声をかけていたのです。

私と娘、通学の支度をした息子、順番に太陽を見上げます。
そして、いよいよリングができるという時間になると、雲が厚くなり目を凝らさないと太陽がみえません。
え〜、せっかくの瞬間が。みんなで空をみあげ、雲が切れることを願っていると、また少し陽が射してきました。
「よし、一列に並べ」、おじさんの号令で、6人ほどが一列に。
おじさんの指示のもと、次々に金冠日食を確認!
あたりは夕暮れのよう。気温がさがったこともはっきりわかりました。

最後まで見ていたら私も仕事に間に合いません。
おじさんも、再び明るくなり始めた頃、「それでは、今日の日食鑑賞会を終わります」と宣言。
みんなで一礼して解散しました。
家のベランダでじっくり鑑賞するのもいいですが、お祭り好きの私は、こんな鑑賞会ができたことが大満足。

ご近所の方と、老若男女問わず、わあ〜すごい!と笑顔で騒ぎ、
雲が晴れてよかったと喜び合い、
道を見渡せば、同じような光景が何組も続いていて、この町に住んでいる喜びも実感しました。
金冠日食、最高です!