日本共産党 田村智子
コラム

【12.05.12】はじめての歌舞伎鑑賞

前進座の国立劇場公演

12日から始まった前進座の国立劇場公演。
夫から「チケットが手に入ったので一緒に行きますか?」と誘いのメールがきたのは公演直前のことでした。
久しぶりの観劇。しかも歌舞伎は初めてです。

国立劇場に入ったのも初めて。
舞台が客席に近い、舞台も花道も、離れた席からでも「すぐ目の前」と思える距離感があります。
役者さんに手が届きそうな雰囲気。初めてなのに懐かしい。
一言で表せば、「あ〜こういう会場で演説会をやってみたい」と思える劇場です。

歌舞伎の演目は「鳴神」(なるかみ)。
台詞、役者さんの立ち居振る舞い、一挙手一投足、現代人のテンポからは気が遠くなるような、ゆったりとしたものです。
この動きができるのは、足腰が相当に鍛えられていなければ無理だよなぁ。
舞台のすみずみまで肉声が届く発声、一言一言を観客に届けるせりふ回し、奥が深い!

前半は喜劇のような展開。笑い声や拍手がたびたび起こります。
上人を色香で惑わせようとする雲の絶間姫。
話術で魅了し、優しく接近し、近づいたと思うとすねてみせ…。
男性が演じているのに、この艶っぽさ。毅然としていた上人があれよあれよと懐柔されていく。

そして舞台は急テンポでクライマックスへ。
早変わりには、あっと驚かされました。
怒りもあらわな隈取、逆立つ髪、衣装の転換、すべて舞台上で行ってしまうとは!
何百年も前にこんな演出をつくりあげた先人たちに感服です。

第2部は、三遊亭園朝の人情噺「芝浜」を舞台にした「芝浜の革財布」。
面白かった! 子どもの頃、テレビで落語を見るのが大好きでした。
その頃の笑いを思い出して、寄席に行ってみたくなりました。

庶民の喜怒哀楽をぎゅっとつめこんだ舞台。
こういう舞台を観た後は、満足感・充実感がいっぱいです。
一緒に笑って手をたたいた観客のなかに、なんだか仲間意識が芽生えるようで、劇場を去りがたい気持ちになります。
映画とはまた違った楽しさがあるものですね。

公演するみなさんは、景気が冷え込めば、チケットの売り上げに直結し、厳しい時だと思います。
まして消費税増税などやられたら、客足が遠のくのは明らかです。
ここはなんとかふんばって、庶民の文化を守り、消費税増税のたくらみも砕かなければ。

そして私も。
忙しいから劇場には足が運べないと決めつけていたところがありましたが、それではもったいない。
時間は見つけるのではなくつくるもの。
また劇場にでかけましょう。
(歌舞伎、演劇、音楽もいいな、最近ちょっとはまっているバレエの舞台も…やっぱり時間がないかな。)