コラム
【12.04.18】尖閣諸島を東京都が購入って…
外交力はどうしたら発展するのか
沖縄県の一部である尖閣諸島を沖縄県には相談もせずに、都知事が独断で東京都の所有物にしようという――これをスタンドプレーと言わずして…と、頭を抱えたくなります。
石原都知事は、中国政府に対しても、日本政府に対しても、「一泡吹かせてやれ」とでも考えているのでしょうか。
東京都が購入してその先は一体どうなるのか、いえ、どうしようというのでしょうか。
次の一手も見通せずに、ただただ強硬姿勢を見せ付けて、それで領土問題が解決するのでしょうか。
ウガンダでのIPU会議では、いくつかの国の代表から、「なぜ日本は中国にもっと直接にものを言わないのか」という疑問の声が聞かれました。
本当に、正面からの外交が行なわれているのかどうか、本当に疑問です。
尖閣諸島の問題を、日本の外から見てみたらどんな光景がみえてくるでしょう。
A国とB国が、諸島の領有権を互いに主張する。
A国の国民が島に上陸すれば、B国の国民も上陸し、A国が軍隊を増強したのをみてB国も周辺の島に軍事部隊を増強する。
これで解決すると思えるでしょうか。
話し合いを申し込んでも拒否されるからと、話し合いの努力もしないのは、解決を放棄しているのと同じです。
歴史的な経緯にそって、互いに冷静に意見を交換する、2国間のみの話し合いが困難であるならば中立的な国の仲介を得る努力をする。
外交としてやるべきことを棚上げしているように思えてなりません。
石垣島の島民のみなさんは不安を強めています。
――東京都が購入騒動が中国を刺激し、それが引き金となって近隣の海の安全が脅かされるのではないか。
北朝鮮の「人工衛星」を口実とした弾道ミサイル発射の騒動。
軍事対応を「有事発生」とばかりに大騒ぎですすめ、結果、近隣国との連携や協力はあいまいにされ、発射情報もつかめずに終わった…。
ミサイル発射や核兵器開発を外交カードだと、とんでもない誤解を抱く北朝鮮だからこそ、軍事力よりも道理ある外交力こそ必要ではないのか。
世界の国々は、アジアの経済大国として、民主主義の根付いた国として、日本の外交力を期待しているのではないか。
あるいは、現状の日本の外交力の欠如に首をかしげているのではないか、そう思えてなりません。