コラム
【12.04.12】消費税増税ではなくやるべきことがある
5000人集会、ムダ遣い視察、そして演説会
正午過ぎ、初夏のような陽射しがふりそそぐ日比谷野外音楽堂は、人があふれかえっていました。
色とりどりの旗には、全国各地の地名がみえます。
消費税増税ストップ4・12国民集会、この熱気、胸が高鳴ります。
壇上の一列目には、主婦の会連合会の山根香織さん、ジャーナリストの斎藤貴男さんら呼びかけ人となった方々がずらりと並びました。
国会議員はその後ろ席に座ったのですが、志位和夫党委員長の隣に、あれ?共産党の議員ではない方が。
民主党の衆議院議員が1人、にこやかに、ちょっと居心地悪そうに座っているではありませんか。
志位委員長のあいさつのあと、出席した国会議員が自己紹介。
最初にマイクをにぎった民主党の議員は、「民主党ですが、石を投げないでください」「私は消費税増税にはいっかんして反対です」
石どころか、大きな拍手が送られました。
面白い時代です。
「消費税増税はやむえない」という世論作りにマスコミが躍起になろうとも、「増税なんてとんでもない」という声は、決して消し去ることはできないのです。
そして、その世論は、議員1人ひとりにつきささり、こうして日本共産党の議員がずらりと並ぶような集会に、勇気をもって参加する議員も生んでいるのです。
この集会の後、すぐに国会を出なければならずデモ激励ができませんでした。
参議院の議員面会所で、私を探してくれた方もおられたでしょうか。
とても残念です。
国会を出発して向かった先は、世田谷区喜多見地域。
東京外環自動車道路の建設予定地です。
市街地を見下ろす東名高速道路と東京外環を結ぶ、巨大ジャンクションをつくるために、地元説明会がくりかえされているのです。
来週月曜日、決算委員会で国土交通大臣を相手に質問することになり、急きょ、現地調査をいれました。
(ところが、この調査の最中に、自民党が国土交通大臣の選挙違反疑惑を理由に、審議に応じられないと言明し、委員会の予定がたたなくなりました。)
東京外環自動車道路は、国道ではありません。
国が税金をかけてつくる道路ではないということです。
料金徴収をする高速自動車道路は、民間株式会社が費用を調達して建設し、徴収する料金で建設費を償還するというのが大原則です。
ところが東京外環は、それでは返済が不可能なほど建設費を要します。
土地の取得、大深度の巨大トンネル掘削、1兆3000億円を超える建設費となることが見込まれています。
そこで、国が税金を入れてつくる部分と、高速道路株式会社が自前でつくる部分とにわけて費用を調達しようというのです。
最初の建設計画は40年以上前のこと。
住宅街を貫く高速道路には反対の声も強く、建設計画は凍結されたまま時が経過し、その間、住宅がつくられ、町がうまれ、コミュニティが形成され、静かな環境を求めて移り住む人も増えました。
ジャンクション建設予定地は野川の流れ、近くにはこんもりと丘があり、様々な野鳥が姿をみせるとのこと(なんとカワセミまで!)。
朝夕は、川沿いの歩道をジョギングや散歩する人が行き交う。
また世田谷区の中では珍しく、東名の高架のすぐしたには建設・金属・自動車修理などの事業所が軒を連ねています。
この事業所のみなさんは、国土交通省から「自分で代替地を探して移転を」と求められているとのこと。
「道路建設に反対ではない。しかし、住宅地として指定されている土地がほとんどの世田谷区で、私たちはいったいどこに移転できるのか」――死活問題です。
この視察から、夕方には横浜市へと移動しました。
久しぶりの演説会の弁士。総選挙勝利に向けた演説会のスタートです。
消費税増税を言いながら、一方で、凍結させていた高速道路建設に、国が負担する必要のない予算を大盤振る舞いで提供する。
日比谷の集会と、世田谷区での視察が、演説会で一つになりました。
震災復興や社会保障に予算が必要だという。
ならば、なぜ道路が網の目のようにはりめぐらされた東京に1兆3000億円を注ぎ込むのか。
津波に襲われた地域の道路、鉄道の復興になぜその予算をまわさないのか。
消費税増税をいいながら、スーパー堤防、スーパー港湾、高速道路、整備新幹線、リニア建設、八ツ場ダムまで、大型公共事業に一気にゴーサインを出すとは何事か。
「消費税増税の前にやることがある」ではなくて、
「消費税増税ではなくやるべきことがある」のです。
ついつい演説に力が入ってしまいます。
神奈川7区(横浜市港北区・都筑区)のみなさんも、合いの手や拍手でこたえてくれました。
畑野君枝さんを志位和夫委員長とともに衆議院に送り出す。
消費税での世論と運動を、今、大きく起こすことが、必ず、新しい政治の扉を開くでしょう。