日本共産党 田村智子
コラム

【12.04.09】ウガンダ記その2

第1日目から発言に挑戦!――女性議員会議

IPU(Inter-parliamentary Union)の会議は、年2回(春と秋)に行なわれています。
特に春の大会は加盟する159か国(パレスチナを含む)の議会が、ほとんど全て参加する一大イベントです。
本会議のほかに、テーマ別の会議やパネルディスカッションなどが多彩に行なわれます。

私の担当した会議の一つが、開会式にさきがけて行なわれた女性議員会議(3月31日)。
討論テーマの一つが、女性の議会への進出について。
会場には、各国議会の議員総数にしめる女性議員の割合を示す世界地図が配布されました。
日本は、143位中なんと106位(第1院である衆議院10.8%で測られています。ちなみに参議院は18.9%)。

北欧などの議会で、一定割合の議席を女性に割り当てるクウォーター制度が実施されていることは知っていました。
私は、「日本ではむずかしいだろうな」という思いに加えて、「女性であればいいのだろうか」という疑問も感じていました。
(何しろ、日本の国会では女性議員が「選択的夫婦別姓反対」「ジェンダーフリーはとんでもない」等々の主張をすることが珍しくありませんから。)

しかし、他国の女性たちの発言を聞いているうちに、問題意識が急速に発展しました。
「政党は、女性を人気取りの手段ではなく、当選させる対象として位置づけているか」
「女性を育てるための努力はなされているか」
歯に衣着せぬ発言は、実に刺激的だったのです。

国連の男女平等の取り組みでは、女性議員30%を早期に達成することが、掲げられ続けています。
日本ではこの目標達成のために一体何をしているのだろう、私はどんな問題意識をもっていただろう…。

開催国ウガンダは、女性議員の割合は35%。議長も女性で、開催国としてIPU会議の議長も務めることになっています。
女性が政策決定に関わることを、意識的に、計画的にすすめている国がいくつもあるなかで、日本はこのままでいいのだろうか…。

(昼食休憩前にウガンダ議会のカダガ議長との写真撮影に成功)

 

昼食休憩。
猛烈な問題意識の発展を何か形にしたいという思いに駆られました。
私と行動をともにしている参議院の国際課S課長に、「日本の女性議員の割合を経年で出してみてください」とお願いしました。
すぐにIPadで検索して、簡単な手書きの表を書いてくれました。

日本を発つ前に、基本的な資料を用意しておくべきだったと後悔しつつも、午後の会議が始まる前に、発言したいことを猛スピードでメモにしてみました。
英訳してもらう時間はもちろん、清書する時間もないまま、「発言します」とS課長に伝えて発言通告用紙を提出してもらいました。
以下、予定外の発言の概要です。
(これは日本語で、通訳ブースから同時通訳で英語がヘッドフォンに流れたはずです)

・日本では女性議員の進出はとても遅れている(それでも過去最高の比率なのですが)。
・1990年代後半、女性議員が大きく増えたとき、児童虐待防止の法律やDV被害者を救済する法律の制定にむけて、議員のワーキングチームが活発に行動した。
・女性の議会への進出は、女性と子どもの権利を前進させる力であることは明らか。

・比例代表選挙で政党が女性を当選可能な位置につけることが有効。
・しかし日本では、比例代表の議員定数を減らそうという動きがある。
・選挙制度、議員定数を検討する際には、女性やマイノリティの政策決定過程への参加を正当に考慮すべき。
・今日の討論が日本の議会への重要な問題提起となったことに感謝したい。

なぜ女性の議会への進出が遅れているか、それは様々な要因があると思います。
町会・自治会でも、一家を代表するのは男性。
同業者の団体などでも、役員に女性がいることは非常にまれでしょう。

しかし、議会自ら、政党自ら、もっと努力できること、意識をもってとりくむことはできるはずだという思いがむくむくと、自分の中にふくらんでいくのです。
まして選挙制度の議論で、多様な意見、これまで議会に届かなかった分野や立場の意見をどう汲み取るか、そんなことが日本で議論されているだろうか。

むしろ、大阪にみられるように、異なる意見をあからさまに切り捨てるやり方が、最近、あまりに多いのではないか。
多数決で少しでも多かった主張が「正義」で、対決する意見は無視して当然というやり方でいいのか。

日本は先進国だなどと思い上がっていてはいけないと痛感しました。
議会のあり方、多様な意見の反映、女性の議会への参加に、たくさんのいわゆる発展途上国がチャレンジをしているのです。
それが活気をつくりだしているのです。
日本に帰ってからも、この刺激、この問題意識を絶対に手放してはだめだと思っています。