コラム
【12.03.16】「待機児童の人数つかまない」と厚労大臣
予算委員会で保育について質問
質問が終わって、メールや電話でよせられた感想や意見は賛否両方ありました。
「完全シナリオは書けない論戦になる」と、覚悟はしていました。
そういう論戦は初めてで、私自身、反省点の多い質問でした。
自分の質問を終えてからずっと、「こういう聞き方をしたらよかったのでは…」と、考え続けています。
論戦の組み立てだけでなく、もっと冷静に質問しないと、という反省も。
ご意見をくださったみなさん、ありがとうございます。
同時に、「やってよかった」とも思っています。
「子ども・子育て新システム」の問題点が具体的にみえてきたからです。
視聴者の方にとって「みえてきた」「わかった」といえる質問ではなかったという反省から、以下、少しまとめてみます。
今回の質問は「待機児童問題の解決がすすむのか」に焦点をしぼりました。
現に毎年、2万5000人、どの保育所にも入れない、保育ママさんにもみてもらえないという子どもたちがいる。
おそらく1万人を大きくこえるお母さんたちが「仕事をやめる」「就職をあきらめる」という状態に追い込まれている。
この問題の解決が、保育施策の柱だと考えるからです。
今の児童福祉法では、自治体に待機児童に対しても保育を行なう義務を課しています。
ところが「新システム」では、「市町村の保育実施義務」規定を削除します。
このことが何を意味するのか、そして待機児童はどうなるのか…。
厚生労働大臣の答弁は、
「自治体は「保育ニーズ」をつかんで施設やサービスの整備計画をつくる義務を負う」「民間やNPOの力ももっと生かして、保育を提供できるようにする」
――自治体は、保育サービスを増やす責務を負うから大丈夫、ということが繰り返されたと思います。
ポイント① 「自治体が自ら保育施設をつくる」ということではない。
こういう規模で施設やサービスが必要、では民間につくってもらいましょう、ということです。(質問でここをつめればよかった…反省)
待機児童の多い地域では、自治体は「公立保育所をつくる」「自ら保育所を整備する」ことが必要だと思います。
保育所つくるまで待っていられない、目の前の子どもをどうするか、ということに対しても、緊急の保育先の確保などやるべきでしょう。そして国もそのために自治体を支援する。
それが保育実施の義務を果たすということだと思います。(この対案を鮮明にすべきだった…これも反省)
ポイント② 「保育のニーズ」はつかめるのか。
「新システム」でいう「保育ニーズ」は、親が働くなど「子どもに保育が不可欠」ということではありません。
母親は働いていないけれど、子どもの成長・発達のために保育を利用したいという「ニーズ」も含みます。もちろん、そういう保育も必要です。
では、自治体はどうやって「保育ニーズ」をつかむのでしょう。
何に責任をとる保育環境整備をするのでしょう。
ポイント③ 自治体は、待機児童の把握もやらない可能性がある。
今は、待機児童の名前・住所・家族の状態など、自治体は把握しています。「保育実施義務を負う」ということがその根拠です。
それすら「新システム」ではやらないのではないか。
ここは質問で鮮明にみえた点です。
「待機児童の人数をつかむのか」にこだわったのは、それが、待機児童対策の出発点だから。
人数という聞き方がよかったかは反省点で、「自治体が待機児童を1人ひとりつかむのか」ということです。
「つかむというように(法律には)書きません」と厚生労働大臣。これは重大な答弁です。
これまで認可保育所の増設計画は、待機児童の人数がひとつの根拠となって、前年の待機児童数を上回る定員になるように、という予算がくまれています。
「新システム」では、これが完全にあいまいになってしまう。
1人ひとりの待機児童をつかまなければ、その子どもにどう保育を提供できるか、自治体自ら検討することもできないでしょう。
質問全体を通じて、あらためて「新システム」の根っこには、あいもかわらぬ「構造改革」路線が貫かれていると感じました。
「保育を提供できる施設やサービスは、民間に任せて、企業にも参入してもらえば増やすことができる。結果として待機児童は解決するでしょう」
「保育所入所は自治体が関与して決めるのは古いやり方。これからは、保護者が自分で選んで、自分で決めてください」
これは、国や自治体の保育に対する責任の後退そのものです。
この国会に提出するという「新システム」の法案。
幼保一元化をふくむため、厚生労働省と文部科学省が内閣府のもとに集まって法案化の作業をしています。
そのため、法案審議の場は内閣委員会。参議院の内閣委員会に、日本共産党の議席は残念ながらありません。
それだけに、法案の形もみえていないもとでしたが(これも苦戦の原因の一つです)、どうしても今、質問しておかなければと、あせるような思いでした。
法案が出てくるのを待つのでなく、法案提出を断念させる。
自治体が「保育実施の義務」を果たすために今、どんな施策が必要なのかを鋭く求める。
保育関係者のみなさん、お母さん、お父さんたち、子どもの保育に関心や心配な思いを寄せているとみなさんと、広く力をあわせたい。