日本共産党 田村智子
コラム

【12.03.07】月120時間、160時間の残業協定なんて!

「過労死をなくす基本法制定を」

 
昨年から、過労死防止基本法の制定を求める署名運動が始まりました。
遺された家族のみなさん、労災認定を求める訴訟で遺族とともにたたかってきた弁護士のみなさんが、よびかけの中軸です。

議員会館で開かれた署名提出の集会。
配布された資料には、過労自殺した小児科医の遺書が直筆のまま印刷されていました。

小児科医の圧倒的な不足がなぜ起きたのか、医療崩壊ともいえる現実の深刻さ、当該病院の問題点、整った文字で冷静な分析さえ感じさせるものです。
これだけの文章をしたためた直後に自ら命を絶った…。

医療の現場の問題点を的確につかみながら、その解決の希望が全く見えない。
今の医療政策のもとでは、心身の極限の過労状態から抜け出す道がない。
出口が閉ざされている「絶望」は、どれほどのものだったのか。

10歳で父親を過労自殺で喪った20代の女性。
「一緒にご飯を食べた直後に父が死んだ」「なぜ死ななければならなかったのか」、答えのない問いを抱き続けているのです。
「労働=死、働くことへの否定的な感情をもたざるをえない」

弁護士の報告。
残業は労働基準法で禁じられている。使用者と労働組合が、残業を合意しその上限時間を定めた協定を結んだ場合に例外的に認められる(このこと自体、あまりに知られていません)。
ところが、「過労死ラインとされる月80時間を超える協定が横行している。労基署も問題のある協定をただ受理するだけ」
調べてみると、80時間どころか、120時間、160時間という協定まであった。

医師の報告。
過労死・過労自殺が労災として認定されても、死者はかえって来ない。
ある飲食チェーン店の労働者の過労死が、労災として認定された。ところがその直後、過労死110番の電話相談に、同じチェーン店の労働者から「もう死にたい」と相談の電話。

なぜ過労死が繰り返されるのか――会場には、静かでかつ猛烈な怒りが満ち満ちていました。
集会には超党派の議員が次々に参加して、遺族の思いにこたえる発言をしていました。
過労死や過労自殺を根絶しなければならない、このことに異議をとなえる政治家・政党は皆無でしょう。
ならば、労使の話し合いで決めるべきものとか、経営方針は当事者にゆだねられるものとか、長年とられてきた労働行政の「言い訳」を許さない法律をつくるのは当然です。
結果が問われている、私自身にも。