日本共産党 田村智子
コラム

【12.02.08】TV中継の予算質問にたくさんの反響

大臣答弁めぐり質問後も追及は続く

2月7日に生中継された参議院予算委員会。
質問直後から電話やメール、翌日からはハガキなども含めて、たくさんの激励をいただきました。
(激励とともに、言い方がきつすぎるとのご意見も…。落ち着いてと自分に言い聞かせて質問にのぞむのですが、どうしても気持ちが入りすぎてしまいます。回数を重ねて、身につけていこうと思っています。)

反響が大きかったのは、質問の最後にとりあげた原発事故の賠償金の全額差押え問題。
賠償金が払い込まれた直後、390万円をこえる全額が、年金事務所によって差押えられたという事件です。

酪農の事業所の経営者Aさん。不況で経営は苦しく、社会保険料の滞納がありました。
震災の前年、数回にわたって分納の努力をしていた中で、原発事故が起きたのです。
搾乳しても出荷停止、廃棄を続ける毎日。牛も移動禁止とされて、動くこともできない。
それでも、牛に餌を与え、事業もあきらめなかった。

東電と賠償金の交渉が始まると、突然、差押え予告通知が年金事務所から送付された。
もうすぐ賠償金が払われる、その中から払っていく、Aさんは年金事務所に話をしたそうです。
ところが、賠償金が支払われた直後(本当に直後だったようです)、逆にAさんの預金残高はゼロになっていたのです。

厳正な調査を求めました。まず事実を確認して、行き過ぎは是正する、当然のことです。
ところが、小宮山厚生労働大臣は驚くべき答弁をしました。
「Aさんの滞納額が●●万円で、何度も差押え予告通を送付したのに誠意がみられなかった」――生中継の国会質疑で、個別案件について、よりによって事実と違うことを答弁したのです!

事実を精査すると言いながら、確認もしていない事を、結局大きく事実からかけ離れて答弁する、ありえません。
私達が、大企業の派遣切り、非正規切りをとりあげれば、「個別案件にはお答えできないが、調査する」としか答弁しないのに、個別どころか個人の案件をすらすらと答弁する(しかも間違って)。

実は、この質問が終わってから、大臣答弁をめぐってバトルが繰り広げられています。
予算委員会の理事懇談会で、大門実紀史議員が「事実と違う。大臣答弁を議事録から削除すべき」と問題にしています。

普通の市民感覚ならば、事業にとってもAさんの生活にとっても命綱となる賠償金を、全額差し押さえるということに、強い違和感をもつでしょう。
とれるものは何でもとって、滞納処分をする。そんなことが、民間企業ではなく、公的社会保障の制度のなかで行われているのです。
一体、大臣の答弁にどんな政治姿勢が貫かれているのか。

 

原発事故賠償金への反響が大きかったのですが、実は、質問のほとんどの時間は、被災地の雇用問題でした。
1月31日に訪ねた宮城県石巻市での調査をふまえてとりあげた、被災地での雇用問題。
実は質問の翌日、NHKの朝のニュース番組で、同じ角度でのトピックスがあったと聞きました。
実は、ハローワーク石巻に伺った時、入り口に求職者へのインタビューをしようと待ち構えている女性を目撃していました。同じ問題意識で同じ日に取材をしていたのですね。

本格的な産業復興には2年、3年かかる、それまでどうやって雇用と生活をつなぐのか。
失業給付は3月までに7000人がうちきり。
当面は、緊急雇用創出事業でつなぐというのが、厚生労働省の雇用政策の柱です。
(国が交付金を県に出して、県や自治体が直接または民間に委託して、仕事をつくり被災者を雇うもの)

しかし、月9万円〜12万円、雇用期間は2カ月〜半年というものが多い。
これで2年、3年と「雇用をつなぐ」「生活をつなぐ」というのは厳しい…。
住宅再建しなければならない、2重ローンをかかえている、となればなおさらです。
賃金や勤務期間の改善に努力すると、厚生労働大臣は約束しましたので、実らせるところまでがんばります。