日本共産党 田村智子
コラム

【12.01.17】ソニーの震災リストラと闘う若者たち

厚生労働委員への要請行動がスタート

午後3時過ぎ、キャリーバッグをもった若者たちが、私の議員室に到着しました。
ソニー仙台工場で「雇いどめ」を宣告され、今も、会社との交渉を続けているみなさんです。

昨年、参議院予算委員会で山下よしき議員がとりあげ、被災地で中小企業が雇用継続に懸命の努力をしている時に、体力のある大企業が、被災リストラ・雇いどめをすることが許されるのかと、与野党問わず共感が広がりました。
私も青年大集会の実行委員のメンバーとともに、厚生労働省にソニーへの指導を要請していました。
昨年末、山下議員が小宮山厚生労働大臣にあらためて要請した際、大臣が「9回指導を行っている」と言及。
これが現場を励ましたのです。

「9回も指導を受けながら問題解決にいたっていない」
「ぜひ国会議員のみなさんの実情を知っていただき、事態打開を支援してほしい」

話を聞くほどに、ソニーへの怒りがこみあげます。
津波被害にあったのは、宮城県多賀城市にあるソニー仙台テクノロジーセンター。
1階が浸水。あたりは泥まみれ、車や流木なども散在していたそうです。
非正規の若者たちも、翌日から工場の泥出し、瓦礫撤去に懸命にとりくみます。
1カ月近い復旧作業で、ようやく床がきれいにみえるようになり、新しい機械をいれる条件ができ始めました。
その時、非正規社員約150名はいっせいに雇い止め、正社員約280名が広域配転をつげられたのです。

「自分はソニーの一員だと思って働いてきた。がんばれば正社員にもなれると言われてきた。今、正社員にしてほしいとは言わない。自分が働いてきた工場で働きたいだけ」
「工場では、正社員も非正規も良い人間関係で働いてきた。自分らが正社員の新人をさそって飲みに行ったり、正社員の人に食事に誘われたりが当たり前の職場。また一緒に働きたいというのは、正社員の方々も思っているはず」
「経営がこんなに苦しくてもう雇えないというのなら、その数字を示してほしい。交渉の場でそう主張しても、なんの資料も示されない」
「ソニーのハワード・ストリンガー会長は、9億円も役員報酬を受け取っている。そのことを知って本当にショックだった」

彼らは直接ソニーに雇われているわけではありません。
100%子会社との雇用契約。本当は、ソニーと交渉したいのだという思いが切々と伝わります。
今、雇い止め撤回を求めて交渉を続けているのは15人。
15人を戻すことができないほどの経営悪化など、断じてありえません。

聞けば、15人はこれまで4年〜8年、仙台テクノロジーセンターで働いてきたのです。
ラインの立ち上げに関わったり、プロジェクトの一員になったり、正規も非正規も垣根のない仕事をしてきた。
有期雇用のありかたを見直そう、5年超えて働いている場合は例外なく正社員にという法案をつくろうと厚生労働省が動いている時に、ソニーを指導できないなんてありえません。
(厚労省案はあまりに不十分。1年超えていたら期限の定めのない雇用と同じじゃないかと思うのですが。)

「多賀城市は人が少なくなって、活気がないんです。ここで働いて、活気を取り戻したい」
ソニーは、「再就職先を探せ」と、被災地から若者を追い出したのと同じではないのか。
要請にこられた1人は、赤旗新年号にも紹介されていた、もうすぐ父親になる若者。
被災地で働き続ける、家庭を持ち父親になる、それができてこその復興です。

泊りがけで議員要請を、ソニー本社や厚生労働省前での宣伝行動をとがんばる彼ら。
「何がなんでも」の決意に私も新たな火がつきました。