日本共産党 田村智子
コラム

【11.11.21】福島第1原発で1000人規模の削減計画

予算委員会で告発しました

東京電力が福島第1原発構内の作業員を大規模に減らす、情報が寄せられたのは1カ月ほど前のことです。
慎重に事実をつかむ作業をすすめてきました。
12月、1日約3000人の作業員を2000人程度にまで大幅に減らすことがわかりました。

実行される前にとりあげたい、予算委員会で質問してもよいかと、情報をよせてくれた日立系列の2次請け事業所の社長に最終確認。ゴーサインとなりました。
質問は21日(月)の予算委員会。質問時間は片道5分。

18日(金)、質問事項を通告。質問の相手は、東電社長と細野事故担当大臣、野田首相と決めていました。
11時、東電本社に議員室に来てもらい、1時間にわたって直接話を聞きました。
最後に「国会で質問したら、2000〜2100人になると答弁するのですね」「本社で確認していますので、大丈夫だと思います」
政府への通告は、ステップ2終了について、その後の人員配置について。「質問時間は5分ですから、人員体制が大丈夫かを確認するぐらいで終わってしまうと思います」

質問の核心である具体的な告発内容は、もちろん通告しません。
おそらく1000人規模の削減は認めても、それは例えば原子炉建屋へのカバーのとりつけなど建設関係の仕事で、一定目途がついたからと理由づけすることが予想されました。

原子炉プラントメーカーの一つ、日立系列で300人の作業員が70人に削減される、すでに熟練の原発作業員たちが仕事を切られて事故現場を離れている。
削減の理由は、「東電の予算がないから」と日立の現場責任者が説明している。
これで事故収束が本当にできるのか、現場を離れた労働者のやむにやまれぬ思いでの告発を、東電は認めるか、政府はどうするか。

試合に臨むような気持ちで、朝9時前、委員会室に入ろうとしたとき、緊急の連絡が携帯に入りました。
今朝になって、東電が1000人削減は見直した、説明がまちがっていたと、私の事務所に連絡してきたというのです。

質問の組み立てが土台から崩れるのか…、質問は11時過ぎの予定。どうするか…。
急きょ、先輩議員にも入ってもらって短時間の打ち合わせ。
冷静になってみると、東電あまりの無責任さに怒りがつきあげてきました。
「説明をころころ変えること自体が大問題。信用ならない。東電社長に答弁を求める必要はない。こちらがつかんだ事実を政府に示して質問しよう」

1000人規模削減、事故収束のいわば中枢部分での作業員切り捨て、予算の不足なのか作業用具も不足してドライバー1本がとりあいになる…
細野大臣は「初めて聞いた。確認してみたい」
答弁を求めたわけではないが手をあげた枝野経済産業大臣は「能力の高い方をやめさせるようなことがあったとすれば…厳しく経営陣の責任を追及する」と答弁。

後ろの自民党の委員席などから「東電社長に聞け」という声(声援?)。
それに押されて、18日から今朝にかけてのことを告発(後ろからは、どよめきの声が聞こえました)、「もう東電は信用できない」と宣言してしまいました。

これから政府がどんな事情聴取をするのか、これは東電だけでなく、協力会社と言われる東芝や日立への事情聴取も欠かせないはずです。
事故収束、労働者の被ばく量をできるだけ低くおさえるための人員配置、予算の不足を理由に脇におくようなことは絶対に許さない。

この間、何度か原発労働者の問題を国会でとりあげてきたことが、現場からの告発につながりました。
私達に原発労働者とのホットラインがあるわけではありません。
共産党に話をすれば…と思ってもらえたことが何より嬉しい。勇気をもっての告発を、事態の改善に必ずつなげる、質問で終わりじゃないことを示そうと思います。