コラム
【11.11.11】これを暴挙と言わずして… TPP交渉参加表明
国民の議論は「聞く」だけで独断とは
これが民主主義の社会なのかと、腹立たしくまた恐ろしくなってきます。
衆議院・参議院の予算委員会でTPP問題の集中審議。
どんなにTPPへの懸念を具体的に示しても、野田首相は「そういう懸念があることは承知している。慎重に検討して結論を出したい」の一点張り。
ところが、その日の夜には「交渉参加」の記者会見。
独断専決が首相の役割だといわんばかり、能面のような表情での記者会見には背筋が凍る恐ろしさを感じました。
なんといっても農業です。
アメリカ、オーストラリアという世界最大の農業国と例外なき貿易自由化をすすめるのです。
それでどうやって日本の食料自給率をあげるのでしょう。
日本国内で消費される食料には限界があるでしょう。
今、40%台の食料自給率をあげるには、どう考えても、大豆や小麦、家畜の飼料などを輸出に頼らずに日本の農業生産量を増やすしかないはずです。
「TPPに関係なく日本の農業を守る、食料自給率をあげる」というのなら、貿易自由化をしても海外(とくに米豪)からの食料輸入は増やさない、ということなのでしょうか。
自給率がまだそれほどおちこんでいない米などは、輸入規制をするということなのでしょうか。
「農地の大規模化で競争力をつける」という主張に、10人中9人の農家が農地を手放すことになる、それは農村の過疎化を一層進め、地域を崩壊させることにならないのかと質問しても、「危惧の声をふまえて結論をだす」と答えるだけ。
参議院の審議では、議員の傍聴席から思わず何度も不規則発言を繰り返してしまいました。
「どういう結論を出すのですか」
「何にも答えていないですよ」
「それでは参加表明なんかできないでしょう」
こんな卑怯で姑息な手法は国民が認めない、そういう世論を本気で起こさなければなりません。
消費税増税、医療の「3割+定額負担」、年金受給年齢引き上げ、どれも「危惧の声があるのは承知している」「ぎりぎりの決断をせざるをえない」と結論だけ押し付ける議論になりかねません。
自らの意見、立場、具体的な指標など示せないのは、野田政権にも日本の政治の未来像が描けていないからでしょう。
もう時の政権が提案するものを待っている時代ではない、それではろくな政策は出てこない。
日本の政治のあるべき姿、現場から練り上げた政策、国民の側からどんどん提起していく時代になったのだと思います。
TPP交渉参加反対の運動は、政府をはるかに上回る政策分析を、農林漁業者、医療関係者、消費者団体、学者のみなさん等々が提起する運動でした。
この流れをここで終わらせるわけにはいかない、それは運動にとりくんだ方々の共通の決意でしょう。
政党である私たちが、この運動とどうつながるか、新しい挑戦です。