コラム
【11.07.26】予算委での質問が「朝日」の記事に
被災地・医療再建に新たな支援策がとられるか…
朝食を食べ終えて、見出しだけでも新聞をみておこうと紙面をくくっていたら、「えっ、これはもしかして…」
「被災診療所の再建支援 首相『前向きに対応』」
昨日(7月25日)の予算委員会で質問した際の答弁です。
記事には「共産党の田村智子氏の質問に答えた」と、ちゃんと書いてありました。
報道が支援策実現の後押しになってくれれば、と思います。
予算委員会では、細川厚生労働大臣の答弁が既存の制度の説明にとどまり、苦々しい気持ちでいっぱいだったのです。
地震と津波で被害を受けた病院・診療所は、東北3県だけで約2500施設(診療所はいまだ全体掌握できていないとのこと)。
ところが、災害復旧補助金の申請をしている医療施設は東北3県では240にとどまっています。
ほとんどの民間診療所はそもそも補助金の対象外となっているため、申請件数少ないのだと考えられます。
救急医療、周産期医療、へき地医療など、国が定める「政策医療」に参加してきた病院や診療所だけが補助の対象。
このハードルをなんとしても超えなければ――その一念での質問でした。
入院ベッドをもつ病院の再建には数十億、個人の開業医でも億単位の費用がかかるでしょう。これを「自助努力」でとか、「融資制度を利用して」というだけでは、再建への道は本当に険しいものになってしまいます。
「補助対象を広げるべきではないですか」
2回、3回とくらいついて質問しても、「検討する」の一言さえ、厚労大臣からは出てこない。
岩手県出身の平野復興担当大臣に矛先を変えました。
「東北の太平洋沿岸部は、医師不足で大変な苦労をしてきた地域ですよね」
再建を断念して、医師が被災地を離れてしまったらどうなるのか。
「震災後も生まれ育った町に住み続けたいとがんばってきた高齢者の方、その家族が、病院や診療所がないために、泣く泣く町を出ざるをえない、そんな事態が起きてしまう」
さすがに平野大臣は、その現状を認めました。
「医師、施設の確保に、厚労省と連携して全力をあげる」
続いて管首相にもたたみかけました。
「大切な問題だと考えている。時間をかけると後戻りできない。前向きな対応を行いたい」
「前向きに」の一言がとれたことで、なんとか次につなげられる。
質問席で控えめな「よし!」の思い。
2次補正予算案には、医療再建の予算項目が何一つ入らなかった。
それが本当に腹立たしい。
現場がどれほどの切迫感をもっているのかが、全く伝わっていないと思えてならないのです。
この場にとどまって医師として働き続けられるかどうか、という苦悩。
町から入院機能のある病院がなくなってしまったら、地域の医療がどうなるのかという危機感。
かかりつけの医院の復活を、心待ちにしている住民の方々。
粉じんで呼吸器疾患が増えている、長期の避難生活で健康状態が悪化、仮設住宅での孤独死、仮設であれ診療所や病院が今すぐ必要です。
医療従事者の方々が使命感だけでがんばるのではなく、仮設から再建への希望をしっかり持てることが必要なのです。
街づくりの「青写真」など、待っていられません。
医療関係の方々は、「朝日」の記事に希望の一端をみるかもしれません。
この答弁が「思いつき」や「個人的見解」で済まされないよう、次にどういう手立てをとっていくか。
私も絶対にあきらめずに、現場の方々といっしょに、政府を動かします。