コラム
【11.06.16】震災復興とは何か――国会外の意見に耳を傾けて
参議院・復興特別委員会で参考人質疑
東日本災害復興特別委員会。
私の質問の機会は、参考人質疑となりました。
政府への質問ではないので、政策を議論することはできませんが、国会外の方から意見を聞く機会は大切です。
前日に渡された資料で、参考人の方々のインタビュー記事などを頭に入れて、15分ずつの意見陳述に耳を傾けました。
NPO法人「難民を助ける会」の長有紀さんが、「復興とは何か」という、そもそもの理念にふれて話をされたことで、私も、この復興基本法に本来貫かれるべき理念、復興計画やその政策の土台にすべき立場について聞くことに決めました。
長さんは、相馬市長の言葉を紹介しました。
「復興というのは、突然断ち切られた人生の設計が、お年寄りならお年寄り、若い人なら若い人なりに、それぞれがそれぞれの人生の段階でそれぞれの人生設計を再び立てられるような状態になること」
被災した方々が、失った暮らしや失ったなりわい、仕事を、自らの力で取り戻していく、それを行政はとことん支援する――私が被災地を訪ねて胸に刻んだ復興への決意です。
一方で復興構想会議では、何もなくなったところに何をつくるか、という議論が先行しているのではないか。
日本経済を復興を機に元気にする、これまでにない新しい街をつくる、これは目的ではなく、後からついてくる結果ではないのか。
自らの主張を示すようなこの質問を、3人ともが大きくうなずいて聞いてくださったのが、とても印象的でした。
東日本大震災支援全国ネットワークの代表、栗田鴨之さん。
ボランティアは被災者の方々から、こうしてくれたら立ちあがれるという意見や要望をたくさん聞いている。それをもっと行政につなぐ努力がボランティア団体に求められていると思う。
市町村は、そうやってすぐにできることをすすめていいのか、支援の全体の枠組みができてからでなければ…という躊躇がある。
京都大学教授の藤井聡さん。
「的確な質問をありがとうございます」との冒頭の言葉に、この特別委員会の議論を国会外の方がどう見ているかが伝わりました。
社会機会論で復興を考えれば、壊れた機械の部品を取り換えればよいということになる。
社会有機体論で考えれば、病気やけがや自らの自然治癒力があって、薬や外からの働き掛けが有効に作用する。どちらの立場をとるか、ほとんどの方が後者の立場をとるのではないのか、と力説されました。
長有紀さん。
被災者の方それぞれに、すぐに立ち直れる方もいるかもしれない、長い時間が必要な方もいる。
難民キャンプでの体験でも、5年、10年たっても時間が止まったままの方もいた。
そういうことに細やかに行政がむきあっていくことが大切ではないか。
それぞれに考えさせられる視点であり、意見でした。
同時にやはり確信しました。
現場では、こういう支援や制度があれば立ちあがれるという知恵も、要望もたくさんあるのです。
それを現行法制度にしばられて、「これはできない」となるのではなくて、その要望にこたえる制度、仕組みを、どんどんつくっていくのが復興政策ではないのか。
国からおりてくるスキームを待っている、今の状態を逆転させなければなりません。
「スピード感を持って」というのは、被災地から離れたところで計画を急いで立てる、ということではなくて、現場の要望に次々にこたえていくということ。
「漁船を国がつくって、漁師に貸してくれれば、私達はすぐに働ける。立ちあがれる」
4月に訪ねた宮城県石巻市で漁協の方からお聞きした要望を思いだします。
現場の要求をどうしたら実現できるかに徹して、勇気と決断力をもってことにあたる。
そうしてこそ、行政の側も、被災者のみなさんも、やりがい、変化を実感できるはず。
復興への道がみえない、政治はなにをやっているのかと、あきらめや絶望がひたひたと迫るなか、国会外のみなさんの意見に真摯にこたえようではありませんか!