日本共産党 田村智子
コラム

【11.05.23】「脱原発」4人の参考人 傍聴席は満席

異例づくめの行政監視委員会

午後1時、行政監視委員会は静かな「熱気」に包まれていました。
法案審議ではない委員会で傍聴席が満席!
秘書時代からを思い返しても経験がありません。

「ネット上で話題になっている」「傍聴希望者が大勢いるようだ」「テレビ中継を求める声があがっている」など、異例の注目を集めている様子は、数日前から伝えられていました。

何しろ、4人の参考人が全員「原発から抜け出す」ことを呼びかけているのですから。
賛否色々な意見を聞く、というのではなく、「脱原発」で一致している方々を招いて意見を聞く、超党派でよくぞ一致したものです。

その4人とは、
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏
芝浦工業大学非常勤講師 後藤政志氏
神戸大学名誉教授 石橋克彦氏
ソフトバンク株式会社代表取締役社長 孫正義氏

小出氏は、夢の資源エネルギーだと希望をもって原子力分野の研究に。
しかし、ウランは石油・石炭・天然ガスと比しても圧倒的に埋蔵量の少ない資源であることを知り、愕然としたそうです。

後藤氏は、原子炉格納容器の設計を担当してきた技術者。
「格納容器は絶対に壊れない」という前提のうえに原発は設計されている。
しかし人間の行為に「絶対」はありえない。

石橋氏は、地震についての研究者。地震大国である日本に原発がつくられていることの危険性を、政府にも国会の場でも直接指摘してきた方です。
日本の原発は「地震付原発」、地震によって何が起きるかを全て想定することは不可能である。

孫氏が、3・11後、脱原発、自然エネルギー政策を大胆にすすめるべき、と発言し行動していることはマスコミも注目するところ。
原発事故後、自ら線量計で各地の放射線量を計測しているとのこと。
「政府の発表はガンマ線だけ。アルファ線、ベータ線を含めると倍の線量。なぜガンマ線だけの計測なのか」という問題提起も。

参考人への質問も、原発の危険性、自然エネルギーへの転換という立場でのものばかりでした。
これもまた異例のことです。

私は浜岡原発について、石橋氏に聞きました。
先週金曜日の予算委員会でも、原発推進派と思われる議員たちの巻き返しはすさまじいものです。

「浜岡をなぜ止めたのか」という追及、他の原発には絶対に波及させないといわんばかりの勢いです。
また菅首相も経済産業大臣も、「緊急安全対策がとられれば再稼動を認める」「耐震性に問題はない」との発言を繰り返しています。
このことについてどう考えるか、直球で質問してみました。

「政府の発言は間違っています」
防潮堤がつくられても、地盤の隆起がその場所で起これば破壊される。
大地震によってどこがどのように破壊されるかは予測不可能。
原子炉建屋とタービン建屋との間で隆起が起きたらどうなるのか…。

今度こそ、こうした科学者のみなさんの発言に政治が真摯に耳を傾けなければなりません。
石橋氏には他の議員からも、他の原発の危険性についての質問が相次ぎました。
「どこで次の地震が起きるかの予測は不可能。しかし、必ず大きな地震が起きるのは若狭湾。ここに14基の原発があり、しかも老朽化している」
踏み込んだ発言に、自民党議員も「福井県知事に働きかけたい」。

この委員会審議は、参議院のホームページから同時中継でみることができます。
「インターネット中継をみようという人が多くてパンクした」という情報も伝わってきました。

この委員会がこれからどう動くのか、そして原発推進してきた政党に所属する議員のみなさんがどうするのか。
委員会の理事懇談会、理事会にもオブザーバーで出席している私も、大いに発言していきます。
ここまで国会を動かした国民世論の力を体感しています。