日本共産党 田村智子
コラム

【11.05.20】原発作業員の内部被ばく把握わずか40人

予算委員会で東電副社長に質問

与えられた質問時間は10分間。
議員団の予算対策チームで2時間、3時間と検討を重ねて、練り上げた質問です。

これまで、東京電力の原発事故に関連する質問を2回、厚生労働委員会でしていました。
住民の健康について、そして、原発構内で働く作業員のみなさんの被ばく量について。

被ばく量の把握が、原発内でさえもちゃんと行われていないのではないか、
そのことを政府もつかんでいないのでは…
過去2回の質問や、他の議員の質問を聞きながら感じていたことです。

原子力安全保安院にきいても、厚生労働省に聞いても、作業員の被ばく調査の状況がよくわからない。
内部被ばくまで調査したのは何人か、これまでに原発構内で作業したのは何人か、数字さえなかなかでてこない。
ねばりにねばり、東電本社にも直接問い合わせ、わかってきたのは、内部被ばく調査をする体制がつくられていないこと。
これをテレビ中継の前で、周知の事実にして、抜本的な改善を迫ろう!

「武藤副社長にお聞きします。3月11日から今日まで、事故収束の作業についた作業員のうち、内部被ばくの計測したのは何人で、そのうち内部被ばく量がわかったのは何人ですか」

「作業員の総数は7400人」「ホールボディカウンターによる、内部被ばくの計測を行ったのは1400人、内部被ばく量が判明しているのは40人」

この答弁に、ちょっと動揺しました。
作業員総数は約6000人と、昨日聞いていたのです。それがさらに膨らんでいた。
事態は日々深刻になっているのだと、怒りがこみあげました。

ホールボディカウンターでの計測も、昨日までは1000人に達していない数字をつげられていました。
(その前には、なんと福島第2原発の作業員を含めたと思われる数字を示されました)
結局、本社は、作業員の被ばく量をまともにつかもうとしていないのではないか。

「最初の水素爆発が起きたのは3月12日です。その瞬間から、現場にいるみなさんは大量の放射性物質を吸い込む危険性にさらされていたのです。事故から2ヶ月以上がたって、内部被ばく量を把握する体制すらつくられてこなかった」

「7400人の中には、派遣労働者も臨時雇いの労働者もいます。現場から離れている人もいるでしょう。どうやって全員の内部被ばくを把握するのですか」

これまでの質問以上に、語気が強くなってしまう。
作業員の方が置かれている状態の劣悪さ、現場の苦しさ、不安は、この間、報道を見るたびに、いてもたってもいられない思いに駆られていました。
現場にいって事実をつかむことができない焦燥感。
そのなかで、少しでも不安に答えることができればという思いでした。

本当は、政府の責任ももっと追及したかった。
厚生労働委員会でとりあげたときには、「東京電力は1ヶ月1回は内部被ばくを全員について調査するよう、内規で決めたと聞いている」という答弁もありました。
これは、何ヶ月も働く人がいるのが、必ず全員が1ヶ月に1度は検査を受けるという意味です。
ところが、「7400人全員を調べるのには2ヶ月かかる」と副社長は答弁したのです。
東電は口からでまかせ、政府はそれを検証もせずに鵜呑みにするとは。
国会で、同じ課題にしがみついて質問を続けることの大切さもわかりました。

質問を終えて、席に戻るとき、チームワークで質問を練り上げてくれた議員団のみなさんと握手。
部屋にもどると、テレビを見ていた方、週刊誌の記者さんなどから電話があったとのこと。
この質問が、作業員の方やその家族の方から、直接に声が寄せられるようなきっかけになってくれたら。
現場を離れた方も含めて、私たちに、現場の状況をぜひ教えてほしい。
命と安全とひきかえの事故収束作業、そんなことにならないように。
議員だからできることをやり続けていかなければと思っています。