日本共産党 田村智子
コラム

【11.05.02】「液状化、冠水被害に支援を」と質問

直後に液状化の被害認定基準が発表!

午後、災害対策特別委員会で12分間の質問。
液状化被害と冠水被害についてとりあげました。やっと国会質問につなげることができたのです。

液状化で家が沈みこみ、上下水道もガス管も破壊された地域。
被害認定の基準では、まっすぐ沈み込んだ場合、一部損壊としかみなされず、補償の対象となりません。
床が波打ってもいても、傾きが5度未満でも同じです。
この見直しを求める声は、被害のあった全ての町からあがっていましたし、国会でも何度かとりあげられ、「検討する」と答弁がありました。

「震災から2ヶ月近くが経っている。急いでほしい。すでに修復工事をしている家でも、写真や記録などで被害認定をしてほしい」
こう質問した数時間後に、被害認定の基準が示されました。内容はよく検討して不十分なところがあれば、あらためて要請していきたいと思っています。

新たな問題としてとりあげたのは、「個別の家の修復でよいのか」という課題です。
道路と家の高さが大きく違ってしまった場合、どの高さに合わせるのか、これは大きな問題です。
液状化は重いものが沈み込む被害が起きていますから、玄関が道路より1メートル近く沈んでしまったところもあるのです。
雨が降れば、家に水が流れ込むことになります。

もう一つ、地盤はこのままでよいのか、という課題。
「ここに住み続けられるのか」「また液状化するのではないか」、不安の声が起こるのは当然です。
私が視察した千葉県浦安市でも、地盤かためをした家は傾いていませんでしたが、隣の家のブロックが崩れ、道路も液状化で電柱が沈み込んだ状態でした。
地域一体の地盤かためが行われなければ、弱いところから泥流が噴出しかねません。

中越沖地震で液状化被害をうけた柏崎市の山本団地。以前にも、このコーナーで紹介しました。
地盤強化をしなければここには住み続けられない、国には宅地の地盤強化について財政支援をする制度がない、ないのなら新たにつくるしかないと、団地住民が一致団結して国を動かしたのです。
今回も、地域で新たな動きが始まっています。

経験したことのない被害、自治体と住民がよく協議することが大切だが、知恵も技術も財政的支援も、国が力をいれてほしいと、あらためて求めると、国土交通担当の政務官、松本防災大臣からも前向きの答弁がありました。
実際に、地盤強化へ国を動かすには、住民のみなさんの団結力が求められています。私たちも頑張らねば!

冠水被害もまた、同じように、国の技術力、財政的支援がどうしても必要です。
床下・床上浸水を繰り返す住宅、一部損壊としか認定されなければ、やはり補償音対象外ですが、補償への前向きな答弁がありました。

そこに住み続けるためには、どんな対策がとりうるのか。
地盤沈下で、海水面よりも低くなってしまった町をどうするのか。
技術的なことを含めて、いくつかの対策案を示すなどして、自治体や住民に説明をしてほしいし、有効な対策は積極的に支援してほしい。

実は、この質問(要求)を省庁に伝える過程で、頭を抱えたくなる問題がみえてきました。
「こういう質問をします」と前日に、国土交通省の担当課にも来てもらって伝えるのですが(質問レクといいます)、補償にかかわる内閣府を含めて、14人もの担当者がきたのです。

下水道菅から海水が上がっているという問題なら下水道の担当。
海につながる掘割や河川からの浸水は河川の担当。
あげく、漁港に隣接する地域は農水省の担当、と言われ、思わず私も「それはそれぞれに質問しなければ答えられないということですか?」と語気が強くなりました。

液状化対策でも同じようなやりとりがありました。
「道路の高さを問題にするなら、道路の担当課になりますが、公園だったら別の課です」
液状化、冠水、という事態に総合的に調査や対策を考えるという体制になっていないのでしょう。

もちろん、予算の箇所付けなど、それぞれの部局、別の省庁で、それぞれに行うことはありうるでしょう。
しかし、これでは被害のあった自治体は一体どうやって国と相談をしたらいいのか。
瓦礫の処理でも同じ問題がおきているそうです。
住宅地、道路、公園、農地、瓦礫処理を必要とする場所、瓦礫の種類…。それによって担当省庁や部局が異なっていたら大混乱です。
「事件は現場で起きているんだ!」と叫びたくなるような現実。

政府の各省庁、とりわけ国土交通省という巨大組織が、緊急事態に対応できる組織なのかどうか、そのことが問われています。
あわせて思います。公務員を減らせ減らせの大合唱で、現場に行く人がまず減らされているのではないのか。霞ヶ関のなかで仕事をする最小限の人員になってはいないか。
被災地にとどまり、チームで十分な調査をし、地元自治体や住民とも時間をかけて話ができる、仕事人の役割を各省庁のみなさんにぜひとも果たしてほしいと切望します。