日本共産党 田村智子
コラム

【11.03.20】液状化で大きな被害 浦安市を調査

 
新浦安、舞浜、ディズニーリゾートの玄関ともいえる駅です。
浦安市のこの駅周辺は、震災で広範囲に液状化。
住宅街では、地下に敷設されたライフラインが大きく損傷。今も約1万5千世帯が水道が使えない、トイレを流すこともできない状態です。

新浦安駅で待ち合わせた井原めぐみ市議、防災服です。
地震にあったときは生活相談で、自宅近くの交番に相談者と一緒にいたそうです。
地震直後、車で移動するときにはあっというまに泥水が道路に広がり、生きた心地がしなかったとのこと。

舞浜駅から海側に向かう道は、いたるところに亀裂、割れ目、段差、歩道が波打つ…。
この地域一帯の液状化のすさまじさが一目瞭然です。

被害の大きい入船地域。
元木美奈子市議の自宅にあがると、目で見てはわからなかった傾きを体感しました。
すぐ近所の一級建築士の方に調べてもらったところ、高低差は15cmにもなるとのこと。
みせ麻里市議もかけつけ、みんなで地図を広げてうちあわせ。さっそく歩いて周り、住民のみなさんにもお話を伺うことに。

 
歩くほどに、お話を伺うほどに事態の深刻さがわかります。
一級建築士のNさん、ご在宅でした。
「家屋は耐震性があるから、あの地震でも大丈夫だった。けれど土台が崩れていたら、そのまま住むことはできない。この一帯はそういう家ばかり」
「どうしたら住み続けられるか、どこに手をいれればよいか、これから検討して、街のみなさんの力にもなれるようにしたい」
この日の午後には、Nさんが講師となって、町内の集まりももつとのこと。
地域コミュニティが形成されていることが心強い。

高齢のご夫婦。
「家があるだけいいか。うちらが生きているうちに家が倒れなければ大丈夫だ」
事態を受け止めて、悲観しないエネルギーはすごい!
それでも、水が使えない、トイレが使えないという1週間は、相当なストレスのようです。
「食器もなべも洗うわけにいかないから料理ができない。トイレも公園の仮設トイレで、いつまでこれが続くのでしょう」

 
仮設トイレ、最初はテントの布で覆ったような簡易トイレで、海風の強いこの地域では覆いが風に飛ばされたところもあるそうです。
やっと赤旗まつりでも設置するような仮設トイレができたとのこと。

あるお宅では、自宅敷地内の排水溝を確認していました。
吹き上げたドロが入り込み「これは完全につまっているよな」とのこと。
市の復旧作業は行動部分だけで、敷地内は個人責任だというのですが、公共部分と一体に直さないとまた破損につながりかねないのでは?

続いて舞浜地域へ。
ここは宅地造成も新しいのか、しゃれた趣向をこらした家々が並ぶ地域です。
平日は仕事の方が多かったのか、家の敷地から土砂をかき出す作業がまだ続いていました。
液状化のひどい区画と、ほとんどドロをかぶっていない区画があり、宅地開発をした企業によって基礎部分の工事に差があったのではないかとの憶測がささやかれているようです。

さらに高洲地区へ移動していくと、電柱がずっぽり沈み込んだ通りがありました。
電柱にある住所表示が地面にめり込んでいるのです。
状況をカメラにおさめている私たちに、家から次々に人の姿が。
「こっちも写真にとってくださいよ」と、犬を抱いた女性。
「うちは新築1年なんですよ。それでこんなことになるなんて」

阪神淡路大震災では、液状化はヘリポートや公園、道路など主に公共物への被害でした。
これほどの規模で、町全体が被害を受けたのは、初めてのことでしょう。
それだけに対策のしくみがない。
しかしこれを「個人責任」とするわけにはいかないでしょう。
東京湾岸の埋め立てと宅地開発は、国策に基づいて、行われたものです。その安全確認はどうだったのか、阪神淡路大震災後、まともな検討がされてきたのか…。

これは大きな宿題になります。
住宅被害、地盤のゆるい地域のライフライン敷設のあり方、地下が激しく損傷する地域での災害対策。
市民のみなさんのストレスも限界にきているようです。
それでも「東北のみなさんに比べたら」という方が何人も。
この浦安でも24日からは県知事選挙、そして県会、市会の選挙があるのです。
こんな状況で政策をじっくり語れるのかと、怒りさえこみあげてきます。

党市議団、党支部のみなさんは、独自のニュースも発行して、避難所や給水の情報、固定資産税などの減免申請など、市民のみなさんの生活の安定へと奮闘しています。
そして東北方面への救援募金も。
隠れた被災地ともいえる浦安市。国にもこの状況をしっかり伝えていかなければ。