コラム
【11.03.19】参議院本会議は黙祷から始まりました
救援そして復興へ 議会も動き始めます
午前11時、本会議場は静まり返っていました。
いつもなら、議長の入場に拍手がわいたりと、ざわめきがあるのですが、静かな緊張が議場を覆っているようでした。
地震防災対策についての法案と、来週にも始まる地方選挙を被災地に限って遅らせる法案の採決、それが今日の議事日程です。
議事に入る前に、全員で黙祷。党派の違いも立場の違いもこえて、国会に何ができるのか、おそらく誰もがそう思いながら頭を垂れていたのではないでしょうか。
知事選挙、県府議はじめ各地の地方議員選挙、この時期をどうするかは、この間、各党代表の会議で何度も話し合われてきました。
「全国の自治体や議員が、救援活動に入ることになる。また、落ち着いた政策論議をする環境にもない。全国的に選挙の時期を遅らせるべき」と、最初に提起をしたのは、わが党でした。
各党持ち帰りで議論となり、自民、公明などから、被災地以外は行うべきとの意見。民主党は各党意見をふまえて政府案をまとめる、ことに。
法案では、「著しい被害を受けた地域」に限定して、総務大臣が県選挙管理委員会の意見を聴いたうえで延期を決定するというもの。それでいいのか。
被害が甚大な地域の選挙を延期することはやらなければなりません。
もっと対策をとるべきと意見をこめて、賛成ボタンをおしました。
本会議を前後して、茨城県、千葉県の党のみなさんと、災害救助法がどのように適用されるのかのレクチャ―に参加。
茨城は利根川周辺が大規模に液状化して、家屋が広範囲に損壊。避難所への救援物資も足りず混乱が起きているようです。
北関東ブロック選出の塩川てつや衆院議員が、県党と協力して、県全体の被害状況をつぶさにつかんでいます。勉強になります。
この間、いくつか政府の説明を聞いて、液状化への対策のしくみがない、ということもわかりました。
液状化して家屋が損壊した場合、住宅再建への支援は地震による全壊・半壊などの評価に応じて行われます。これをつくるのも「私有財産への補償はできない」という政府の態度を変えさせる、ねばりづよい運動があってのことです。
液状化した地域は、その地盤への対策が必要になります。
がけ崩れについては国や県・自治体の予算も入れて復旧させる。ところが、平地の液状化については、今の法律には仕組みがない!
知恵と運動が猛烈に求められる、覚悟を決めてとりかからなければ。
国会で仕事に取り組んでいるこの時間、実は、息子の中学の卒業式でした。
おそらく予算委員会の時期だから、18日だけは、予算バッター(質問者になることをこう呼びます)にならないようお願いしようと思っていました。
本会議は欠席するわけにはいきません。
「ごめん、卒業式行かれない。おとうに行ってもらう?」と息子に聞くと、「いいよ」という返事。
最近、男親との距離は微妙なので、結局、卒業式は息子だけに。
夜、せめて息子のリクエストでメニューをと食事を準備しました。
卒業式の後、出掛けたままの息子。友達と別れをおしんでいるのだろうと思いつつ、「もうご飯だから帰っておいで」と携帯に連絡しました。
帰宅した息子は機嫌が悪いというか、ふさいでいるというか…。
せっかくの食事も不機嫌な顔で食べていました。
食後、「機嫌がよくないのは、別れがさびしいから?」と尋ねると、「卒業式のあと、なんだかわびしくなった。親が来てないのは俺だけだったし」とポツリ。
卒業式後、親が見守る中、友達同士で写真を撮ったり、別れを惜しんだり。そんな光景が思い浮かびました。
「ごめん、そうだよね。帰りに一人っていうのはさみしかったよね」
「周りにかわいそうって見られるのが、なんか嫌だった」
この1年ほど、自分の気持ちを言わないことが多かった息子。
この言葉は、ぐさりとつきささりました。
「国会議員の子どもになっちゃってごめんね」
どんな言葉もその後のフォローも、その時経験してしまったをぬぐいさることはできない。
「大丈夫」という言葉に、そう大丈夫だよねと軽く考えていた自分が情けない…。
被災地の子どもたちの苦しみやさみしさは、息子の比ではないでしょう。
阪神淡路大震災の年に生まれた彼ら、彼女ら。
その人生に受けたあまりに大きな衝撃が、これからの人生に何を与えるのか。
この災害の大きさに、胸のざわつきがおさまりません。