コラム
【11.03.10】TV中継で日産「使い捨て」雇用を告発
首相と対面、緊張の10分間
質問が終わって、質問席から移動するとき、足の震えに気がつきました。
やっぱり緊張していたんだ…。
質問途中にも、口の渇きは感じていましたが、足が震えるほど緊張していたとは。
質問の最中は、体中にアドレナリンが猛烈にかけめぐっているような感覚でした。
気持ちが前へ前へといくのに、ブレーキをかけて、早口や感情的にならないようにと言い聞かせる自分がいました。
日産自動車の問題をとりあげたい、と考えたのは、2月に神奈川労連の方から直接お話を伺ったことがきっかけです。
その1人は、リーマンショック後、契約期間中に「派遣切り」された土屋さんでした。
「派遣切り」の裁判は今も続いています。
土屋さんたちが私に話してくれたのは、自分たちが切られた後の日産の雇用問題でした。
裁判もあり、東京労働局からの指導もあり、日産は事務系の派遣労働者700人を直接雇用にした。ところが正社員ではなく、わざわざ「契約従業員」と制度をつくって雇用切り替えをおこなった。
時給1400円、有給休暇はいったんゼロ、契約期間6ヶ月、更新は最長2年11か月、退職金はなし…。
話を聞くほどに、これが「是正」なのかと、怒りのマグマがこみあげてきました。
1時間半ほど話をうかがったでしょうか。話の最後の方で、「女性が多いのですか?」と聞くと、「全員女性です」という答え。
瞬間、鳥肌がたちました。「ほんとに全員女性なの?」
「事務系派遣はもともと女性だけだから、私たちは疑問に思ったこともなかったけれど、確かに女性だけというのはおかしいですね」
後日、契約従業員として働いていた女性からも直接話を聞くことができました。
彼女も、もともと女性ばかりだったために、逆に疑問をもたなかったようです。
「同じフロアで同じ仕事をしている正社員にも男性はいないの?」
「いえ、正社員には男性はいます。そういわれると、確かに不自然ですね」
もちろん、「使い捨て」は男性だろうと女性だろうと許せません。
けれど、「雇い止め」を予定している非正規雇用は女性だけ、という扱いに、なんともいえない嫌なものを、どろどろと感じてしまったのです。
「女なんだから、切り捨てても、結婚して家庭に入ればいい。親元に戻ったっていいじゃないか」という女性観が透けて見えてくる…。
そう思いながら、質問にどう生かすかは悪戦苦闘でした。
先輩議員、議員団事務局や秘書のみなさんと、意見交換し、原稿を練り上げる。
入手した日産の管理職限定の文書をどう使うか。
質問の筋ができてからは、答弁含めて10分にするために言葉をそぎ落とし、彼女たちの思いを代弁するよう書き直し…。
最後に書き加えたのは、
「彼女たちはどんなにがんばって働いても正社員にはなれない、待っているのは退職金なしの雇い止め。これは企業の利益も本当は損なっている」
質問の10分間は、実はよく覚えていません。
最初の一問に首相が、たった一言で答弁したのが想定外で、ややあせったこともあります。
野次一つない、傍聴している共産党議員の合いの手ともいえる不規則発言が背中をおしてくれる、日産の文書にあわてて目を通している首相がいる…。
質問後、すぐに国会の事務所に電話もかかってきました。
「涙が出ました。首相が日産のやり方はおかしいと答弁したことは力になる」
神奈川労連の方からの感想に、とりあげて本当によかったと実感がこみあげました。
質問は終わっても、本当のたたかいはこれからです。
日産で彼女たちが正社員への道がひらかれなければならないのです。
そして私でいえば、とりあげたい課題は他にもたくさんあります。
次の厚生労働委員会(15日)にむけて、さっそく次の質問作りが始まりました。