日本共産党 田村智子
コラム

【11.02.21】調査会の視察で2日間の岡山視察

レトロな商店街の魅力、努力、そして苦労

 
参議院には調査会という、省庁に直接対応しない審議・調査の場があります。
私は、「共生社会・地域活性化に関する調査会」のメンバー。
今年は、地域活性化をテーマに、参考人質疑や視察を行うことになっています。

先週の行政監視委員会に続いて、2週連続の視察。今度は岡山市へと出かけました。
視察1日目(21日)は、外務省・防衛省要請から駆けつけることに。
県庁でみなさんと合流し、現地視察は、岡山駅近くの奉還町商店街。

 
大政奉還でお役ごめんとなった武士たちには、退職金として「奉還金」というものが支払われたそうです。
そのお金を元手に武士たちが集まって店を出した、それが名前の由来とのこと。
武士が商売をするという珍しさから、当初は客が多かったそうですが、高飛車な店主の姿勢に怒り出す客も続出。ほとんどは短期間で店じまいになったとか。
そんななか、発足当時から今日まで続いた店が1軒。タネ屋さんだそうです。

商店街の生き残りをかけて奉還町商店街では、アーケードの改修にともない空き店舗をコミュニティセンターに改装。
地元の学生さんと連携して、入口には商店街オリジナルの小さな神社をつくり、コミュニティセンターの1階はアートギャラリーとして開放。
1年を通じて、様々なイベントにも力を入れているとのこと。

 
長いアーケード街のあちこちにその工夫のあとがみられます。
カラータイルの舗装には、違うデザインの青い鳥。これも学生さんたちの作品だとか。
バナーも地元の子どもたちの作品として飾られる季節があるようです。
昔ながらのお茶屋さんの隣が、シックなコーヒー豆自家焙煎の店。
昭和30〜40年代の雰囲気がただようお店が何軒も。

元気な商店街77選にも入る商店街ということですが、平日の夕方、買い物客の姿はまばらです。
シャッターをおろした店は少ないとはいえ、やはり目に入ります。
居住人口が減少しているもとで、イベント以外の買い物客を呼び込むことは、本当に苦労があることでしょう。

イベント費用の負担もあると思い、案内してくださった商店会長さんに「月々の商店会の会費は?」と尋ねてみると、店の間口によるけれど2間ぐらいの店で1万2000円ほどとのこと。
間口の広い店では月3万円になることも。「負担が重いと、空き店舗に新しい人が入ってくれないし、かといって会費はみんなで支えあうしかない」、ここにもご苦労が感じられます。
買い物しながらお話をうかがいたかったところですが、ここでタイムアウト。
「あのレトロな雰囲気を残して、古くなった店の支援ができればどうかな…」などと、よそ者だから思いつきで考えてしまうのですが、なんとか商店街として魅力を発揮してほしいと願わずにはいられません。

夜は、岡山県知事、県の職員の方々との懇親会。
岡山の鰆やチーズを使った料理、いちご、マスカットのワインなど、おいしくいただきながら、ざっくばらんに地域活性化に重ねた話がはずみました。
中国山地の山間の集落は、高齢化率が6割を超えるところもあるとのこと。
集落を維持することがもう困難という厳しい現状。移住をとよびかけても、働く場がない現実。

どこに希望を見出すか…、この調査会の参考人質疑でも、「う〜ん」と考え込むことが何度もあります。
この調査会で1年間、さまざまな意見を交換して、希望をどう見出していくか。
私の活動範囲はこれまで長く首都圏でしたから、私にとっても全く新しい課題です。

 
(商店街の店先にありました。今でも30円で動くそうです)