コラム
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【11.02.15】認定こども園、防災未来センター、海保第5管区へ(その1)
委員会視察2日目は兵庫県内を足早に
朝8時半にホテルを出発して、神戸市を北上。北区の学校法人・五葉幼稚園の玄関では、大きな雪だるまが出迎えてくれました。
園庭も雪がいっぱい、子どもたちは雪まみれで遊んでいます。
幼稚園としての歴史の長い園、認定こども園として1・2歳児の保育(教育)を始めて今年で5年目になるそうです。
3歳児の前にも、子どもの教育に関わりたいという、園長先生はじめ職員の皆さんの熱意が伝わります。
幼稚園型なので保育所運営費は補助されず、経営的には「持ち出し覚悟」の様子がうかがえます。
満1歳からの入園が可能とのこと、事実上の0歳児保育をかねていることになります。
実施するにあたっては保育園との交流を深め、1・2才児の発達、必要な施設整備など、参考にすることが多かったようです。
「幼稚園でも、保育園でも、子どもにとって必要なことは何かに徹して制度を考えるべきではないか」という問題意識は、共感できるところです。
園内を視察し、お話も伺い、幼稚園が3歳児の枠をこえて子どもを受け入れているのだと理解しました。
給食は申し込みで、週2日はお弁当の日。
学芸発表会などの行事のときは、終了時間は12時。夏休み、春休みもある.
この時間をこえての保育は「預かり保育」として行う。
直接契約で、利用料金も園独自に設定。
インターネットや口コミで保護者の方が自分で選んでいる。
こういう「こども園」があることを決して否定するものではありません。
働いている保護者が、幼稚園と同じような環境に子どもを通わせたいと願う気持ちも理解します。
五葉幼稚園は、「保育で利益をあげよう」という目的とは対極にあるだけに、子どもたちや保護者にとって大切な幼児教育の場であることも、落ち着いた保育環境や施設のつくりをみても、伝わるものがあります。
同時に、そこまでの幼児教育・保育をやろうとすれば、「持ち出し覚悟」と園長先生が言われたことの意味を、政治に関わる者は考えなければならないのです。
保育運営費と比して、幼稚園への補助金が足りないこと。
保護者が5歳児で月2万円を超える利用料を払ってもなお、「持ち出し覚悟」にならざるをえない。(給食費や預かり保育の料金は別ではないかと思います。)
長時間保育については、園の正規職員の負担が重くなりすぎるので(労働時間の制限もあります)、フリーの非常勤職員が担当せざるをえない。
率直に園長先生にお聞きしました。
「直接契約で利用料も直接園が徴収する。滞納という事態が生じた場合はどうなりますか?」
「幸い、今のところぎりぎり滞納にはなっていませんが、滞納という事態が起きることは困ります」
学校法人と保護者の任意の契約ですから、もし長期滞納という事態が生じれば、退園を促すしかないでしょう。
そういう事態が起こらないことを切に願わずにいられませんし、「措置」ではないというのは、こういうことだと直視しなければなりません。
視察の最後に、5歳児の子どもたちが歌を披露してくれました。
発表することを楽しみにしながら練習してくれたとのこと。
私の子どもたちのお遊戯会やクリスマス会での発表も思い出すようなひと時でした。
私たち一行が園を出発するときには、子どもたちが階段や廊下にも並んで、元気に楽しそうに見送りをしてくれました。
きちんと並んで、元気に歌う姿、見送りする姿は、先生(保育者)と子どもたちの良い関係を直感させるものでした。
「幼保一元化」という時、「保育所に通っている子どもにも幼児教育を受けさせたいという親のニーズがある」という意見があります。
そこには、保育園への大きな誤解があるように思えるのです。
私は自分が幼稚園に3年間通い、自分の子どもたちは保育園に通わせました。
子どもが集団のなかで学び成長する、これは幼稚園も保育園も大きな差はないというのが私の実感です。
運動会やお遊戯会などの行事を通じて、保育園もまさに幼児教育をしています。
日々の朝の集まりで、0歳児もあいさつをしあい、保育士さんの働きかけで、子どもどうしの関わり方を学び、食事のなかでおはしの使い方も学んでいます。
同時に、幼稚園の保育時間と比して、どうしても長時間になるだけに、安心できる生活の場という条件が必要で、それだけ幼稚園よりも手間も予算も必要となっているのだと、私は理解しています。
幼稚園での預かり保育や、一元化で、どうしても気になるのは、夜7時まで残る子どもたちは、午後2時で帰宅する子どもたちをどう見て、何を感じているか、ということです。
帰りが遅くなり、保育園に1人残っている子どもを迎えに行く時、私自身も親として何度も辛い思いをしました。
それでも、保育園のなかではどんなに早くても4時過ぎの迎え、6時、7時までの保育も少数ではありません。
保育園が大好きで遅くに迎えに行っても「まだ帰らない」と、保育士さんとの1対1保育を楽しんでいた姿もありましたが、本当のところ、子どもの心にどんなものがあったのか…。
家庭環境の違いは、子どもになんの責任もありません。
理想は、子どもの育ちにとって何が大切かの共通の認識をつくり、貧困や長時間労働の問題も本気で解決しながら、保育や幼児教育のあり方を考えていくことなのでしょう。
今の「子ども子育て新システム」の議論はそうなっているのかどうか。
その後の視察は、また別途、コラムに書きます。