日本共産党 田村智子
コラム

【11.02.08】日野自動車本社へ申し入れ

工場移転で地域経済へのダメージは…

 
トラック等の大手製造メーカー、日野自動車。
名前の由来である東京都日野市の本社工場「閉鎖」との報道を受けて、急きょ、党日野市議団の本社申し入れに同行しました。

茨城県古河市への移転は2012年から始まり、2020年までに工場はすべて移転する計画とのこと。
42万平米の敷地の9割は工場ですから、日野市から本社工場がなくなれば、地域経済や地域のまちづくりに大きな影響を与えることは明らかです。

申し入れでは、この影響を調査し市とも協議することを、まず求めました。
また、日野市の工場についても、あらたな事業開発などで、地域の雇用や経済への前向きの役割を果たしてほしいということも求めました。
民間企業の計画ではありますが、大企業には、その地域の成りたちへの責任がある、という立場です。

申し入れの窓口になったのは、総務部、人事部の担当者。
「工場閉鎖ではなく、移転。本社機能は日野市にとどまる」ことを、まず強調されました。
「コスト削減等のための移転ではなく、海外輸出の拡大のために、より広い敷地が必要となる」とのこと。

国内での販売の低迷、一方でアジアを中心に海外での流通は拡大にむかっているのです。
輸出は完成車ではありません。
「プラモデルのように、部品をパッケージにして輸出し、海外工場で組み立てる」、この「パッケージ」作業を拡大するには、日野工場の敷地が手狭になっているというのです。
パッケージ作業の専門工場(ノックダウン工場というそうです)があることに、まず驚きました。
自動車工場といえば、製造が中心だとばかり思っていました。

続いて不安がわきました。
部品で海外に出されれば、製造技術がさらに海外に移っていくであろうことは想像に難くありません。
これまでも、国内の中小企業の優れた金型技術などが、中小企業の了解もないままにそのまま海外流出した事例をたくさん聞いてきました。

日野工場の労働者は、基本的には茨城に移ってもらうとのこと。
通勤圏内とは言い難いだけに、家庭的事情で移れない人が出てくるのではという不安があります。
「非正規労働者はどうなるのか?」と尋ねると、「茨城に寮をつくるので希望者は全員移れるでしょう」という回答。
期間工として契約しているそうですが、「入れ替えが少なくない」という説明もありました。
今日の申し入れの主眼ではないので、追及はしませんでしたが、どういう労働条件なのか…。「最長2年、それ以上の契約更新はしません」と断言するあたりも、「なぜ2年なのか」を質したい気持ちになります。

計画が形になってきたので、「これからは日野市との協議も行う」ことを確認。
これから、どんな計画がすすむのか注目していかなければ。

大企業工場誘致が、また各地でさかんになっているように思います。
当面の固定資産税を免除する、工場団地造成で事実上の設備投資を肩代わりするなど、優遇措置も競争のようになっているのでは?
それが本当に日本の経済の活性化につながるのか、一つの工場がつぶされて、別の場所に移っていくことの繰り返しだとしたらどうなのか。
一地域の問題としてだけでなく、日本の産業のあり方を、どこで検討・検証すればよいのか、大きな宿題を与えられました。

(申し入れの写真は撮影を認められませんでした。帰路、東門の前で党日野市議団と一緒に写真撮影)