コラム
【11.01.27】「命と安全」を正面から問う 志位委員長の質問
JAL整理解雇と「空の安全」
衆議院予算委員会で志位和夫委員長の1時間の質問。
久しぶりにたっぷり時間をとった、日本共産党の質問。否が応でも気持ちは高揚します。
「JAL再生」の名の下に、1万6000人もの大リストラが行われた問題。
機長の年齢構成を示すパネルが掲げられました。
55歳以上の棒グラフは点線、機長が一人もいなくなったことを示しています。
50代の機長の数も少なく、JALはいまや、40代の機長が圧倒的多数を占める構成になっているのです。
いつどんな気象条件になるか、機体のトラブルが起きるかわからない、技術と知識だけでなく、乗務員の経験が「空の安全」を守るうえで不可欠。
アメリカのハドソン川に、エンジントラブルを起こした飛行機を不時着させた米国人機長も58歳。
委員会室は、水を打ったように静まり返って、志位委員長の質問に聞き入っています。
「空の安全が担保されるのか」、不当解雇への怒りだけでなく、何度となく繰り返された航空機事故の悲しみが胸にこみあげてきます。
この事実は、菅首相にとっては「初耳」だったようです。
リストラ計画の詳細までは、民間企業が行うことなので、政府は詳しくは聞いていない、という答弁。
恐らく、政府関係者も、少なくない衝撃をうけたのではないでしょうか。
このグラフは、整理解雇された機長の方々が資料を集め作成に全面的に協力してできたもの。
質問後、傍聴者のみなさんとの懇談でそのエピソードがあかされました。
「30分も時間をとって質問していただき…」、当事者の方が感慨で何度も声をつまらせて発言。
参加者の何人ものみなさんが、ハンカチを取り出していました。私もその一人です。
「グラフをつくってみて、私も事態の深刻さを再認識した」
「自分たちは、解雇の不当性を前面に訴えてきたが、乗客、国民のみなさんにとっても重大な問題だ、もっと知らせていかなければ」
これからの運動への勇気や希望を語る発言が続きました。
団結した労働者のなんと力強いことか!
質問では、TPP問題でも「命の安全」が問われました。
関税だけでなくその他の規制も取り払うことを求める米国。
その要求のなかには、「有機栽培の農作物に、収穫後つかわれた殺虫剤の残留を認めること」というものまであるというのです。
そして質問のラスト10分。国民健康保険の問題。
年間所得の1割をはるかにこえる保険料、年間所得300万円、4人家族で40万円超の年間保険料、どうやって払えというのか。
滞納して、市役所の窓口で相談して分納している人に、突然、学資保険の差し押さえ。
高校生二人の家庭、一人は今年大学受験。子どもの教育費への積み立てさえ許さない。
先日、横浜市で聞いたガン保険の差し押さえの事例を思い出してしまいました。
末期がんの患者にさえ容赦なく差し押さえを執行したというのです。
これが社会保障なのか!
本格論戦がやっと始まった、と実感する1時間。
この質問に続いて、党議員団の本格的なたたかいが始まりました。
私も参議院の予算委員会に立つことになるでしょう。
山積みの課題から何をとりあげ、短い時間で(答弁入れて10分〜せいぜい20分になってしまうでしょうか)どう追及するか。調査と検討の日々が始まります。