日本共産党 田村智子
コラム

【11.01.08】大企業と裁判でたたかう人たち

神奈川労連、千葉労連の旗びらき

 
午後の穏やかな日差しが暖かい、みなとみらいの観覧車がみえる桜木町駅。
神奈川県労働組合総連合の旗びらきに招かれました。
受付で渡された新年号の組合機関紙の1面は、いすゞ自動車、日産自動車、資生堂、JFE(日本鋼管)と裁判でたたかう人たちの対談記事。
「私たちはあきらめない」と大きな見出しの記事に、さっそく目を通しました。

神奈川で、演説会やさまざまな集いに参加をすると、必ず争議団支援のコーナーがあります。
「雇い止め」の撤回を求め、正規社員としての雇用を求める争議。別の会社で正社員として働くわけにはいかない。
アルバイトで最低限の生活費を工面しながら、裁判支援のよびかけで各地を飛び回り、大企業相手の裁判の準備をする、それは想像を絶する困難や不安があることでしょう。

「誰もが名前を知っている大企業が、収益をあげながら人間を使い捨てる、これが経済をゆがめているおおもとではないでしょうか」
「裁判長の判断が問われているだけではなく、政治が、労働者の側に立つのか、目先の利益追求に走る大企業の側に立つのかが問われている」
来賓あいさつで、争議団のみなさんへの連帯の思いをこめて決意を述べました。

会場をまわってみなさんと握手をかわすと、争議のこと、労働相談のこと、国会でとりあげたい課題が次々に語られました。
市の納税課で働く方もおられて、「滞納者は増え続けていて、職員一人あたり100人超える世帯の相談にのっている」とのこと。
多重債務の解決など、文字通りの生活相談、生活再建の仕事です。
「お金のない人から徴収しようとするのは無理なこと。もっと政府も納税者の生活実態をみるべき」
その通りです。

夜は千葉市へ。千葉駅から外房線で一駅の本千葉駅。
わずかな距離なのに、千葉駅の喧騒とはうってかわった静かな駅です。

千葉県労働組合総連合の旗びらきは、モーツァルトで始まりました。
ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉の労働組合のメンバー。
フルート、バイオリン、チェロのカルテット演奏は、華やかでかろやか。

 
あいさつでは、「昨年は8人の新人を迎え入れました」と笑顔の報告。
ところが、この8人は正規の団員ではないというのです。
「請負」扱いで、コンサートごとにオーディションをして契約する…???
話を聞いて、驚きと疑問がわきました。

他の団員も1年契約の不安定な身分ですが、それでも直接の雇用関係にあります。
その契約すらしないで、コンサートごとの契約とは! ついにここまできたか、という思いです。
オーケストラのハーモニーは、一人ひとりの演奏家の技術だけでできあがるものではないはずです。
ハーモニーとは「調和」。一体感・連帯感が求められるオーケストラで、「請負」という契約形態が広がったらどうなるのか。
文化予算の切捨てと、雇用責任の後退が、芸術を志す若者たちの活躍の場をますます狭めてしまう、反撃しなければなりません。

二つの県の旗びらき、どちらも県の雇用対策の担当者が来賓として参加していました。
そしてどちらの県の職員の方も、政府の雇用対策には意見があるようでした。
「つなぎ雇用では不十分、正規雇用をどう広げるか対策が必要と感じている」(神奈川)
千葉の担当者の方には、懇親の時間にあいさつして話しかけてみました。
「高校生の就職率について、厚生労働省は抽出調査していないが県は全校調査をした。内定率は4割台。高卒の未就職者は4月までに就職できないとあきらめてしまう人が多い。親もまだ現役世代なので、アルバイトでいいよ、となってしまい、自立が困難になっていく」

就職支援は、一つには人が必要。
未就職の若者によりそって、どんな支援が必要かを一人ひとりの状況にかみあうように考える、地元にはどんな中小企業があってどんな人を求めているのかを手のひらにのせる、人と企業を結ぶ仕事として自治体や県の体制をつくるときではないのか。
高校にも卒業生の相談にのるしくみができないか…。

考え込んでいるときに、抽選の福引が始まりました。
最初のくじの番号が読み上げられ、ふと手元の番号をみると、なんと私でした!
話し込んでいたら聞き逃すところでした。
今年の幸運はこれが山、なんかじゃないよな、と一瞬マイナス思考がよぎりましたが、みなさんから
今年は当たり年だよ」と激励されて、とたんに前向きに戻りました。

「紙袋に包まれた景品どれでも」「それでは持ち帰りやすそうなサイズのを」
開いてみたらスティッチ(ディズニーのキャラクターです)のレジャーシート。
娘は大のスティッチ好き。これはよいお土産になりました。