日本共産党 田村智子
コラム

【10.12.17】法人税減税しても雇用は増えない

民主党はどこまで迷走を続けるのか…

午後1時、財務省のゆるやかな螺旋階段をのぼって吉田泉政務官の部屋へ。
党東京都議団の来年度予算について要望に同行したのです。

特に緊急に必要なこととして、住居を失った人への年末年始の対策です。
2年連続、東京で「年越し派遣村」がとりくまれました。
一昨年末は日比谷公園に労働組合や市民団体、有志の方々がやむにやまれぬ思いでテント村をつくり、昨年末は国と東京都が「公設派遣村」を実施。

今年の年末は、それまでに住居の手当てができるようにと、ハローワークを窓口に仕事と生活の両面の支援策をすすめているとのこと。
それで「大丈夫」といえるのかどうか、不安は募ります。

税制についても、東京都内の企業が納める法人事業税が一部国税化されているために、本来、東京都に入るはずの財源が崩されているという問題があります。また法人税減税が行われれば、地方財政がさらに苦しくなる危険性もあります。
この点では私も「法人税5%引き下げで1兆5000億円近い減税というのは、この厳しい財政状況のときにやるべきことなのでしょうか」と率直に意見を述べました。
研究開発現在など、個別の減税策をやめても5000億円分はまるまる減収です。
「決めてしまいましたからね」と吉田政務官。「決めた」ということだけを繰り返していました。

閣議決定で方針を決めても、最終的には国会で議決することです。
それでいいのかという大議論を、来年の通常国会を待たずに急いで広げなければなりません。

夕方6時前、新宿駅西口での街頭宣伝。
ここでも法人税問題について話をしました。
「雇用の拡大を期待して、法人税減税を行うというけれど、かつて法人税を下げて正規労働者を大幅に増やしたり、給料の額が大きく増えたことがあったでしょうか」
「経済界のトップ、日本経団連会長は、雇用の拡大を期待するというのは資本主義の制度にそぐわないと、はっきり記者会見で述べているではありませんか」

日本の経済界、大企業の役員は、ここまでモラルもなにもなくなったのかと唖然としてしまいます。
「法人税は減税しろ」「雇用を増やせというのはとんでもない」と、あからさまに政府に物を言っているのです。

政党の立ち位置がこんなにはっきり見える時代は、私の経験のなかでは初めてです。
経済界・大企業の代弁者になって、法人税減税、消費税増税を主張するのか、国民の立場で経済界に物を言うのか。

この20年間をみれば、法人税を減税すれば、株主への配当金と役員報酬が増えるだけ、大企業の内部留保が増えるだけになるだけでしょう。
考えるほどに怒りがこみあげてしまい、落ち着いて演説をと思っているのに、ついつい語気が強くなってしまいます。
街はもう夜の闇で、宣伝カーの上からでは立ち止まっている方々の表情がわからないのですが、サラリーマン風の人も熱心に話を聞いている様子。

法人税減税は、日本の大企業のモラルを一層低めてしまうでしょう。
目先の利益を追い求め、日本社会の発展に寄与する立場はかなぐりすて、労働者は使い捨て、国民には消費税増税に耐えろと宣伝。
日本の大企業はこんな情けない存在なのか!
もっと歴史に残るような社会的貢献をしてもらおうではありませんか。