コラム
【10.11.16】派遣問題(専門26業務)で国会質問
銀行の意に沿う政治に怒りをぶつけて
5回目の国会質問。質問日程が示されたのは12日(木)の午後。正式に決まったのは15日(月)の夕方。この国会は何が起こるかわからない状態です。
「次に一般質疑(法案審議ではなくテーマは自由)があれば、労働問題をやろう」
秘書のみなさんと相談し、聞き取りや勉強をしていました。
銀行で大規模に派遣労働者が減らされている。違法が疑われる事例も多々ある。――党のある地区委員会から寄せられていた情報です。
裁判に訴えて公になっている事例もあるとのこと。
当事者の女性から話を直接聞けることになり、Aさんと会ったのは先週の半ばのことでした。
三菱東京UFJ銀行。いくつもの銀行が吸収合併されて誕生した、メガバンクです。
吸収される側の東海銀行で直接雇用のパート労働者で働いていたAさん。もともと正社員でしたが、妊娠・出産を機にいったん退職。子育てもひと段落して、パート労働者として職場に復帰したのだといいます。
半年ごとの契約を続けること10年。ところが契約期間2ヶ月を残して「派遣切り」にあったのです。
「自分が派遣社員だったんだと、裁判に訴えて初めてわかった」とAさん。
合併に向けての煩雑な作業の合間に、「契約更新」の書類だと、何枚もの書類にサインをした、その中に「退職願」があったとは、全く気がつかなかったというのです。
半年後とにいつもやっている手続き、書類を持ってきた社員はいつもの人、「今までと何も変わりませんから」との説明。5分ぐらいの「手続き」作業。
裁判で提出された「退職願」をみて、退職理由の筆跡は自分ではないこともわかったそうです。
聞けば聞くほど、「人間扱い」されていない非正規労働者の実態がみえてきます。
Aさんは契約期間途中で「派遣切り」されました。
税金の計算などにミスがあると、正社員の行員と一緒にやった作業でも、「行員じゃないこの人がやったこと。正社員じゃないのでなれなくてすみません」、顧客にこんなクレーム処理がされる。
おかしいのでは、と業務日誌に書くと、「その日をミスを書くんじゃない」と上司から叱られ、これをきっかけにパワハラも始まったというのです。
「派遣切り」直前まで、Aさんはフルタイムで働いていました。
ところが「フルタイム業務はなくなった」という理由で契約期間途中に「雇い止め」。
「私は10年近く、銀行のためにがんばってきた。残業も休日出勤もやって、若い行員に仕事を教えて、合併の困難を2度も乗り越えてきた。それなのにこんなに簡単に切り捨てられるのか!」
やむにやまれぬ思いで提訴を決意。
「こんなに時間も労力もかかるとは思っていませんでした」
笑いながらも、裁判の大変さが伝わります。
銀行側は非がないことを主張するために、時にAさんの人格を攻撃するような証拠をつくることもあるでしょう。
さらに、厚生労働省の局長通達や課長通知が、銀行の窓口後方業務を専門26業種であるかのような内容を示していることも、銀行の主張を強気にしているのです。
裁判事例は、国会で質問をしても「係争中の個別案件については答弁できない」と逃げられてしまいます。そういう場面も何度もみてきました。
そこで、銀行の窓口後方業務は専門業務なのか、ということにふみこんで、答弁を逃がさない作戦をたてました。
専門26業務は、派遣を派遣のまま使い続ける隠れ蓑になっています。
一般の派遣ならば原則1年、最長3年という派遣期間の制限があります。これを超えるような仕事ならば、常用雇用で人を雇うべき、ということです。
とくに事務系の仕事をしている女性労働者が、次々に「雇い止め」になっている、どこに要求をぶつけていいのかわからず、途方にくれている方が大勢いるのでは…。
その声や実態を届けることができたか…
質問の様子は、参議院のホームページのからも視聴できます。ぜひ忌憚のない意見、感想をお寄せください。