日本共産党 田村智子
コラム

【10.10.13】過労死、B型肝炎…国会での集会が次々と

「リップサービスはいらない」の言葉も

衆議院での予算委員会が行われている国会。
様々な要求が直接、議員のもとに届く毎日でもあります。

「ストップ 過労死!」の集会。
全国過労死を考える家族の会の主催です。
過労死が労災として認められることさえ困難な日本の現状。労災認定を求めての裁判が後を絶ちません。
弁護士のみなさんは、労働行政への怒りをたぎらせて報告をしていました。

「厚生労働省は、月80時間を超える残業は過労死につながりかねないと警告している。それなのに、過労死ラインを超える『36(さぶろく)協定』をただただ受け取っている」
この矛盾はあまりにもひどいものです。
労働基準法は労働時間を1日8時間と決めています。残業は法律上認められていないのです。
しかし、使用者(会社)と労働組合が残業についての協定を結べば、残業は合法化されます。
これが労基法36条に規定されているため、残業についての協定を『36協定』といいます。

議員の一言ずつの発言では、高橋千鶴子さん、そして私が日本共産党からの参加者としてマイクをにぎりました。
民主党の議員も多数参加していました。「知人が過労死をした」という発言もあり、それならば、本気で過労死根絶へとりくもうよと、心の中でつぶやく私。
「残業の上限を決める、休養の連続時間を定める、これは最低限の働くルール。命を削るような長時間労働の正社員か、使い捨ての派遣労働か、こんな究極の選択を若者たちに迫るような異常な日本をなんとしても変えていきましょう」
参加した民主党の議員にもよびかけるつもりで、あいさつしました。

残された家族のみなさんの発言。胸に迫ります。
「あの時休ませていれば、仕事はやめてもいいよ、と声をかけていれば…」
その思いをずっとずっと持ち続けていかなければならないのです。

なぜ命を落としてしまったのか、なぜ自殺にまで追い込まれたのか…
この家族の思いをふみにじるように労災も認めない。
裁判を起こせば、事実までゆがめて「当事者が仕事が遅かったから」等々、死人にムチ打つような証言まで企業は行うのです。
失われた命は戻ってこない。過労死のない社会をつくることで、亡くなった方々の思いにこたえよう、怒りと苦しみと、あきらめない決意が会場いっぱいの方々に満ち満ちていました。

次に向かったのは、B型肝炎被害者の集会です。
10月12日、予防接種の注射からウィルス感染したと訴える原告団に、国の和解案が示されました。
薬害であるC型肝炎とは大きなひらきがある低い賠償。肝炎を発症していないウィルス感染者は対象外。
「命の線引きをするな」と原告の怒りは頂点に達しています。

許されないのは、「これ以上の賠償は国民に負担を求めることになる」という政府の態度。
「私たちを国民と分断するやり方です」「国の謝罪と責任を求めることがいけないことなのか」
裁判に訴えること自体が、被害者にとっては社会的偏見との戦いでもあります。その被害者を脅しつけるような物言いは異常です。

「私はお金なんかほんとはほしくない。余命宣告をされている今、もとの身体を返してほしい、時間を返してほしい、それができるんですか?」
「国は集団予防接種を受けることを義務とした。国民をウィルス感染の危険にさらしたのと一緒。その責任が問われているのだと自覚してほしい」
「国会議員のみなさんには、政治主導で何ができるか真剣に考えてほしい。リップサービスはいりません」
厳しい発言が続きました。C型肝炎の被害者を特別措置法で救済したように、B型肝炎の被害者にも立法府が何ができるかを考えなければなりません。

当事者だけでなく、支援する学生たちもマイクをもちました。
私も1ヶ所だけ参加した、山手線1周のリレー宣伝についての報告です。
ほぼ1ヶ月をかけて山手線の駅を回っての宣伝は、色々なドラマを生んでいるようです。

「先週ビラをもらって私も参加しようと思って」と飛び入り参加してくれた方。
私が参加した池袋駅では「前に宣伝を見かけたときに署名はしたけれど募金を忘れていた」と5000円札を渡してくれた方。
小学生が「がんばってください」と50円募金。

学生の力のこもった発言が終わると、「元気の出る報告、ありがとうございました」
涙をうかべた原告の方の声が会場に響きました。

質問時間がたっぷりあったら、もっと色々な問題をとりあげることができるのに…。
いや、質問だけが政治を動かす力ではないんだぞ、何ができるか、一生懸命に考え、行動しよう。
国会議員の仕事の大きさを、つきつけられた一日でした。