日本共産党 田村智子
コラム

【10.10.09】サーファーの街、千葉県一宮町へ

九十九里浜の視察と党演説会

あいにくの雨。九十九里浜の絶景がのぞめるかと期待していたのに残念…。
上総一ノ宮(かずさいちのみや)駅、特急で直行できるので東京駅から1時間ほどでたどりつきました。
房総半島は遠い!という印象でしたが、これなら通勤圏内です。

この交通の便もあり、一宮町はサーファーが移り住む街となっているそうです。
そしてサーファーたちが行政に声をあげ、署名にもとりくんでいるとのこと。
さっそく、党町議のあきば博敏さん、鶴岡巌さんに案内していただきました。

海岸は風が強く、時折、風におあられるように雨がたたきつけてきます。
そのなかで、黒いウエットスーツに身をつつんだサーファーたちの姿がみえます。
天候は関係ないようです。本格的なスポーツとしてのサーフィンという印象。
波にのみこまれることなく、波が消えるまで乗り続ける姿がみえて「すごい!」、思わずうなってしまいます。

九十九里浜は、サーフィンの世界大会がおこなわれるほどの海岸。
ところが、海岸に砂浜保全のための突起物が建設されていることで、波が変わってしまうのでは、という心配がひろがっているのです。

九十九里浜といえば、広々とした砂浜を思い浮かべますが、この砂が年々減少して砂浜が消滅する危険性があるといいます。
近くの岩が波で削られて砂となり九十九里浜をつくってきた。ところが岩が削られ過ぎた。
この屏風岩を守ろうと、波を緩和する対策がとられ、今度は砂浜消滅の危機が迫ってきたというわけです。
そこで今度は、砂浜に打ち寄せる波が砂をもっていかないように海に向かって突起物をつくって、その周辺に砂がたまるようにする。

う〜ん、これは難しい。
海という最も人間の手をくだしにくい、すさまじいエネルギーをもつ相手。
自然の摂理に任せるしかないのか、それで屏風岩が消滅しても仕方ないと考えるかどうか。

サーファーの皆さんも、突起物すべてを問題にしているのではなく、そのうちのひとつだけ建設をやめてほしいという要望。
県の事業ですから、県に向けた請願署名はインターネットで世界をめぐる、短期間に3万筆を超える規模で広がったとか。
この運動に、党の県議や参議院選挙の候補者でもあった斉藤和子さんも視察や懇談を繰り返してきました。
生物多様性の国際会議も開かれるとき、自然の営みを尊重しつつ人間が生きていく道を探らなければならないのでしょう。

砂に靴が埋まらないように気をつけながら海岸をあとにして、沿岸のホテルへ。
一宮町の町議選挙を目前にしての演説会です。
二人の町議が奮闘して、一宮町では国保料の引き下げを実現しています。
昨年度、大幅値上げをしたら特別会計が潤沢な黒字となり、これは保険料引き下げすべきではないのかと、町長との話し合いを何度もおこない、他の議員にもはたらきかけての実現です。
これは全国に勇気を広げる快挙です。

演説会では、応援弁士にサーフショップの若者がたってくれたり、日常会話のようなやり取りがあったりと、温かみと人間味がじんわりと伝わります。
国会議員となっての本格的な演説は、まだ数えるほどで緊張していたのですが、この雰囲気に助けられました。

本格論戦が始まった国会の様子も伝えながら、ゆきづまった政治や社会をどうやって切り開くのか、日本共産党の立場と役割を思いをこめて話しました。
医療の問題、尖閣諸島をめぐっての外交の問題、経済の問題等々。
あっという間に40分がたってしまいました。

演説会が終わり、会場の出口でみなさんと握手していると汗がふきだします。
「よかった。元気が出ました」「今の政治の様子がわかりました」
温かな激励が続きました。
「自分は自民党だけど、自民党も今日のような話をする政党にならないとだめだ」
二人の町議がいかに幅広く住民のみなさんと結びついているかを垣間見る思いです。

演説会をおえて、上総一ノ宮駅に送ってもらいました。
駅舎で電車を待っていると(周辺にお店がほとんどないのです)、高齢の女性が声をかけてきました。
「立派なバッチをしておられるけれど、それはなんのバッチ?」
「参議院議員なんです」
「そうかなと思ったんですよ」
電車を待っている間、満州開拓団で苦労したこと、シベリヤ抑留、引き上げの苦労など、短時間でしたがお話を伺いました。
「議員の方には、心を持ってほしい。私達がどんな人生を歩んできたか、それを心にとめてほしい」

私は電車に乗る時などは議員バッチをはずすことが多いのですが、この時は、まだはずさなくてよかったと思いました。
こんな出会いがあるとは…。
「心を持ってほしい」、まっすぐと目をみつめての言葉に送られて、一宮をあとにしました。